見出し画像

427反社会組織トップの責任

卑劣な行為を許さない国民的合意が重要であると思う。
その方向での対応が見られるのはよいことだ。暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の31条の2には「指定暴力団の代表者等は、当該指定暴力団の指定暴力団員が威力利用資金獲得行為を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」という規定が置かれている。
不当な経済被害に対しては、日本国民および居住者は民事賠償責任を追及する権利がある。これを国家の権限で支援することになっている。これが民主主義国の法治システムだ。
まず相手に対してその非道を指摘し、自発的な対処がなされなければ裁判所に訴える。裁判所は法令や道理によって賠償命令を出し、その確実な執行を行う。システム的には完璧になっているが、果たして被害者に寄り添った実行がなされているか。
加害者が尋常ではない者の場合、加害者からの逆切れ的な報復の可能性があるため、訴えるには心理的恐怖がある。また裁判で個々の加害行為を特定できても、末端の行為者の賠償支払いの履行は期待できない。
そうした現実を踏まえて導入されたのが31条の2。指定暴力団のトップが個々の「威力利用資金獲得行為」にどの程度具体的に関与したかの立証はほぼ不可能だ。ならば絶対に関与していないという証明ができない限り、代表者に賠償義務を負わせればよいとの考えだ。
この規定により特殊詐欺で現金をだまし取られた被害者が指定暴力団の会長らに賠償を求め、物心の被害額を取り返した事例などが報道されている。「お礼参りを覚悟しろ」といった裁判官への脅しも効かない。脅しに屈したら、その裁判官が任務懈怠で処分されることになる。

国内の反社会組織への対応はできた。では海外のより悪質な反社会組織に対してはどうか。例えば北朝鮮である。多数の日本国民を不法に拉致したことは明々白々。にもかかわらず居直ったままだ。末端の工作員の仕業という論法のようだが、工作員は北朝鮮が抱えられている。すべての権限がトップに集中する共産党的組織であれば、暴力団以上にトップの不関与の言い訳は通用しないし、させてはならない。
暴力団代表に対する賠償責任規程は民法の一般原則を超える例外規定である。わが国会はそうした法律を制定した。ならず者国家指導者に対しても、同様の法制度を作るべきだろう。
いずれ北朝鮮独裁政体が瓦解して幹部たちを民主主義の敵として裁く国際法廷が開かれることを想定してみよう。その場合、責任を明確にする法規定のあるなしによって罪の重さが変わってくる。言い逃れをさせないためにも必要な法整備があらかじめ必要なのだ。
ちなみに日本はその憲法で民主主義を普遍の政治原理であると定義し、この普及を国家の使命と誓っている。日本国憲法前文を左翼史観にとらわれず、常識的日本語力で読んでみれば、日本国民が何をしなければならないかは自明である。護憲派の人たちがよもや読み落としをしているとは思いたくないが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?