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「もしトラ」が現実になったら?

「もしトラ」が流行語になっているようだ。ここでの「トラ」は阪神タイガースではなくて、アメリカの元大統領トランプ氏。
 秋の選挙で返り咲くのではないかと、戦々恐々グループと期待するグループとでそれぞれどう立ち回るかで右往左往、甲論乙駁している状況。
 しかしはっきりしているのはアメリカ人の選挙であって、下の論説を書いた人(日本人と思うが)を含めてわれわれには投票権はない。アメリカは国民主権の国家であるから、アメリカ国籍保有者にしか選挙権がないのは当然。
 トランプ氏は相手を口汚くののしるなど選挙方法はたしかに尋常ではないが、ロシアなど権威主義国における選挙と比べて見ることが必要ではないか。共産党式選挙とは、①候補者は一人だけで信任するか否かの投票になる、②棄権すれば処罰される、③不信任の場合に限って記入台に向かうことになっていて管理人やカメラでしっかりチェックされている。④国によっては投票用紙に通し番号がついているから不信任票を入れたことの証拠は残る…。
 常識的に見て、これでは信任票100%以外はないと思われるが、それでも数%があるという。当局が正当選挙を装うために適当に持ち出した数値ではないかと思われるが、ほんとうに反対票があるのだとすれば、よほど勇気があるか、処罰されても体制を支持しない意思表示をしておきたい人ということだ。
 日本は憲法で「民主主義以外の国家を世界から追放することを国家の名誉をかけて誓う」と書いている。ウソだと思うなら憲法前文を読み返してごらんなさい。したがって日本政府は非民主主義政体の国民を救済し、民主主義国家に生まれ変わるように働きかけなればならないのである。
 権威主義政体とはそもそも付き合わないか、それとも政体改変を働きかけるか。どっちでもいいが、「世の中は非民主主義政体もあっていいのです」と考えることは、日本国政府の高官には認められていないのだ。「プーチンに会ったけれど人情家でいい人ですよ」なんて思う人は日本国憲法下では国会議員であってはならない。

 ところで「もしトラ」になったらどうするか。社説は「日本への影響も避けられない。在日米軍の駐留経費負担の引き上げを求めたり、外国製品への関税を引き上げたりする可能性がある。」とするのだが、まさか日本政府が今頃慌てているなんてことではないでしょうね。自国の領土、財産、国民を守るのは自国政府と国民の決意次第。安全はタダではない。カネを払うか(傭兵)、自ら防衛体制を固めるか、防衛同盟で相互に代償を払うか。無策では国が滅びてしまうのだ。

 非武装運動をしていると名乗る人に話しかけられた。武装がなければ戦争を仕掛けられないでしょうと言う。そのとおりなので、この運動には中国共産党に人やロシア国内のプーチン氏シンパ的な人も参加しているかと聞いてみた。答えは働きかけの相手は日本政府と日本国民限定という。運動方法としておかしくないかと聞いてみたが、僕の頭で理解できる説明を聞けなかった。

米大統領予備選 「もしトラ」に備えが必要

西日本新聞社説 2024.3.9

 もし米大統領にトランプ氏が返り咲いたら-。「もしトラ」が軽口にならないほど現実味を増してきた。
 11月の大統領選に向けた共和党の候補指名争いは、トランプ前大統領の勝利が確実になっている。
 15州の予備選と党員集会が集中する5日の「スーパーチューズデー」で14州を制し、元国連大使のヘイリー氏に圧勝した。ヘイリー氏は選挙戦からの撤退を表明した。
 本選は4年前の前回と同様に、民主党の指名が確実視される現職バイデン氏との対決になる見通しだ。
 圧勝を支えたのは岩盤支持層である。トランプ氏のスローガン「米国を再び偉大に」の頭文字を取って、MAGA(マガ)と称される。
 MAGAが求めるのは、インフレや不法移民の対策といった目先の国益だ。国際協調への関心は低い。バイデン政権の内政への不満もトランプ人気を増幅させている。
 予備選におけるトランプ氏の選挙手法は相変わらずだ。敵と味方を区別して対立をあおる。相手候補と議論せず、一方的に持論を振りまき支持者を熱狂させる。
 2021年1月の米連邦議会襲撃など四つの事件に絡んで刑事訴追されたことも、バイデン政権による政治弾圧と印象づけて支持者固めに利用している。本選でエスカレートすれば米国の分断はさらに深まるだろう。
 トランプ氏は敗北した4年前の選挙結果を受け入れず、「選挙は不正だった」と根拠なき陰謀論を今も主張する。大統領としての適格性は強く疑われる。
 ヘイリー氏が予備選の一部で勝利したのは、共和党内のトランプ批判の表れと捉えることができる。トランプ氏では挙党態勢を築くことは困難と指摘されている。
 一方、81歳のバイデン氏は高齢による認知能力低下の不安から、強い支持が広がらない。最近の複数の世論調査によると、両氏が対決した場合の支持率はトランプ氏が数ポイント上回った。本選は再び激戦になりそうだ。 「もしトラ」は米国外にも波紋を広げる。
 ロシアのウクライナ侵攻に続き、パレスチナ自治区ガザで戦闘が勃発した。国際社会は4年前よりも強固な結束が必要である。
 米国第一主義のトランプ氏はウクライナへの追加支援に反対している。大統領時代にほのめかした北大西洋条約機構(NATO)脱退の懸念は残ったままだ。中国との対立は国際社会のリスクになりかねない。
 日本への影響も避けられない。在日米軍の駐留経費負担の引き上げを求めたり、外国製品への関税を引き上げたりする可能性がある。
 政府は欧州各国や韓国、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国と協調し、トランプ氏再登板への備えを冷静に進めなくてはならない。


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