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788 共産党が党首公選を拒否 民主主義原理に反する政党は許されるのか

日本共産党から有力党員が除名されるとの報道がされています。対象は松竹伸幸さん68歳。
普通、組織から追放になるのは、ワイセツなど反社会行為をしたか、カネを横領したかが通り相場。でも松竹さんの場合は違います。「党首公選制」導入を求めたことが党の規約への許されざる違背理由だというのです。
 
代表権を持つ者を権限者が自由意思で選出する。これが民主主義の基本であることは自明の理。そう教わり、憲法にも明記されています。それが国政政党において否定されている。驚愕すべき事態です。
 
文部省が昭和23年に公刊した『民主主義』教科書で世界の共産党をどう書いているか。抜粋してみましょう。
 
「いわゆる「プロレタリアの独裁」によるところの共産主義では、共産主義の主張だけが正しいとされるから、ほんとうの意味での言論の自由はなく、これに対する批判も許されない。そこでは、独裁者の命令が絶対の権威を持つから、多数決ということも形式的には尊重されても、実質的には否定される」。
さらに続けて、
「共産主義の目標とするところは、けっして一国の内部だけのプロレタリア革命ではないのである。、、、共産主義のこれまでの動向からすれば、そこに、世界じゅうが、いずれはそれと同じ経済組織になるという目標が含まれていることは、明らかであるといわなければならない。今日、世界のほとんどすべての国々には共産党があって、多くの議員の出ているところでは他の政党と議会での多数を争い、議員の少ないところでも、いろいろな策略を行なっている」。
したがって、
「少数党である間だけ議会政治と妥協点しているにすぎず、ひとたび絶対多数を獲得した暁には、多数決によって多数決原理そのものを否定し、いわゆる「プロレタリアの独裁」へ転換しようという底意を秘めている」。
 
文部省作成といっても75年前の出版。今の日本共産党がここでの記述に該当するのか否か。即断する材料を持ちません。
でも日本国民にとって重要なのは、政党に限らず、あらゆる組織において民主主義の実践状況を点検する必要があるということです。
日本共産党に限らず、社会福祉法人、学校法人その他の公的組織においてなぜこの人物がトップにいるのか、堂々説明できない組織があっちにもこっちにもあるのではないか。選出の正当性がないのに権力を壟断している事例があれば排除し、正さなければなりません。そうしないと社会が非民主的になっていく。
 
近い例では日本大学が好例です。
世論の批判で悪しきトップと取り巻きがようやくにして一掃されました
するとどうでしょう。受験生が増加したと報じられています。民主主義回復が評価されたのでしょう。日本国民の民主主義尊重の反映でしょう。
 
先の文部省の教科書『民主主義』では、「民主主義は、きわめて幅のひろい、奥行きの深いものであり、人生のあらゆる方面で実現されてゆかなければならないものである。民主主義は、家庭の中にもあるし、村や町にもある。それは、政治の原理であると同時に、経済の原理であり、教育しての精神であり、社会の全般にゆきわたってゆくべき人間の共同生活するの根本のあり方である」としています。拳拳服膺、噛み締めたい文章です。

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