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406現代美術を見に行く

「横尾忠則展を見に行こうよ」と誘われた。一般入場料は2000円。躊躇(ちゅうちょ)するボクに「一見の価値があるから。お小遣いがないならおごってあげるわ」と家内。もともとの財布は一つなのだが、気分をよくしてついていった。チケット売り場で歳を聞かれ高齢者割引があることを知った。それでも一人1300円、二人で2600円。
さすが世界的な巨匠。作品には圧倒された。
だが、その後で見た常設展示らしき方は、ボクが現代アートへの関心が低いせいかもしれないが、「????」。

都立現代美術館は木場公園内にある。散歩エリア内だが、実は行ったことはなかった。いかにも現代風でしょうとアピールしている感じの大型建築物。玄関わきにはポールが林立し、何十もの国の旗を掲揚(けいよう)できそうだ。建物内も広々している。天井は高いし、エアコンはしっかり効いているし、中庭もある。床面積は3万㎡を超え、建築費は415億円かかったという。施設や外観だけならMoMA(ニューヨーク現代美術館)にも負けてないのでは。

展示を見終わった後、館内の感じのよい喫茶室でサンドイッチを食べつつ考えた。
これだけの施設の運営はどうなっているのだろう。
運営受託している東京都歴史文化財団の収支予算(令和3年度)を見た。
収入額189億円。うち入場料収入は13億円とある。感覚的に高い入場料にもかかわらず、収入に占める比率はわずか7%。どのようにして採算を合わせるのか。東京都補助金21億円、東京都負担金23億円、管理運営受託収益81億円、東京都出えん金振替額26億円。要するに東京都の持ちだしが8割。
支出欄も見たが、減価償却費は1億円にも満たない。豪壮な建物の建築費は運営経費とは別枠ということか。展示すべき美術品の購入費も見当たらない。これも都が別途購入するということだろうか。

売店では展示品の写真集などを売っていた。印刷物とネットで見るのは変わらないのではないか。都民に美術品を広く鑑賞させたいのであれば、いっそネット配信にしてはどうか。それならば美術館という建物は要らない。どうしても実物を見たいという人向けに都庁内の一室を充て、現在の10倍の鑑賞料金を徴収することにすれば、経費の持ち出しはなくなるだろう。
美術館運営費の軽減と建物賃貸収入で都財成は好転、ネット鑑賞で見たい人には便益。都民税がいくらかでも安くなれば、すべての人に恩恵が及ぶ。

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