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9/n ナローカーフ チェンソー、ソーチェーン(チェンソー用チェーン)、目立ての正しい理解

ソーチェーンサービスジャパン(略: SSJ)です。

SSJは当事業体(2024年2月スタート予定)の宣伝も兼ねて、タイトルの記事をシリーズ化してnote上に公開することにしました。本記事の内容はXアカウントのhttps://twitter.com/SSJP2023 固定ツイートで先行公開していますが、noteで公開する内容は、Xアカウントで公開中の資料 「4D Sawchain Study」の「 V.1.25」以降の内容となります。

ベーシック: ナローカーフ

ナローカーフとは

カーフとはソーチェーンを上から見た時の切幅のことです。ゲージ、ピッチとはまた違ったソーチェーンの構成要素で、狭いほど切れ味が良いソーチェーンとされます。「アサリが薄いチェーン」や「薄刃」と言われることもあります。

ゲージ、ピッチのように規格というほど、〇〇mmからナローで××mmからはナローじゃないという厳格なものはありませんが、既存のピッチ、ゲージの組み合わせのものより細ければそれはナローカーフ(以下NK)です(逆にワイドカーフもあります)。NKのものはメーカーサイトやショッピングサイトなどでNKと記載がありますが(例外: スチールのヘキサチェーン)、スタンダードやワイドなものは逆に明記されません。

効果

 カーフが狭くなったことで木材に接触する面積が少なくなり、少ない抵抗で切れる=エンジンやモーターへの負荷が少なく、高い回転数を維持できるというのが仕組です。

デメリット

「耐久性が低くなる」と言われますが、具体的にどういうことかというと、リベットの金属量が少ないのと、カッター以外の構成部品も、バーを含め全体が薄く作られているので、非NKと比べて曲げや破断のリスクが高くなります。「挟まれやすくなる」というのは三平方の定理です。ここで数学の解説をしても仕方ないので、分かりやすく画像掲載します。

左の細い三角がナローカーフのイメージ図

アドバンス: ナローカーフ

ナローカーフは20インチ(50cm)まで?

非NKの.325が24インチのバーまで純正展開しているのに対し、NK .325は20インチまでの展開です。3/8LPでもNKが16インチまでなのに対し、非NKは18インチ(スチールはMS261用に、91比較で材質量が多い=耐久性がある≒重いピコチェーン用に20インチまで)と、ワンサイズ以上短い展開になっています。

チップフロー

同じピッチで非NKより負荷が軽いのなら、長くしたいと思うところですが、切子(=チップ、切り屑、木くず)が関わってきます。負荷が軽いということはそれだけ1つのカッターが切り出せる切子の量や長さが増大し、バーを長くすると、NKカッターの小さいトンネルと相まって「詰まり」が発生します。「詰まり」とは切子の抵抗で回転数が落ちたり、詰まった切子を後続のカッターが再度切ってしまったりすることです(インパクトやドリルで木に穴あけする途中で一旦引き抜くとまたビットが勢いよく進み出すのと一緒です)。

スチールの23RS Pro
デプスの下側、切子のキャリースペースを大きくする設計

上=91PX(丸ヤスリ4.0mm)、下=90PX(丸ヤスリ4.5mm)
90PX=切子が通るトンネルを広くしている
ナローカーフ化には、バランスを取らなければならないようです。

クロスカット、ボアカット、枝払い

カーフによる恩恵が大きいので、先述したこと以外のデメリットは特に考えずにNK化しても支障ありません。

バイアスカット(斜め切り)

 まず、NK云々の前に、バイアスカットの時の話をします。受け口を作る時のバイアスカットでは切子が粉っぽく、切り口は波打ちがちになります。ここからはメーカー情報も第三者の研究結果も無いのでSSJ独自見解になります。「信じるか信じないかは…」ということになるので注意してください。

通常は頂点が材に刺さり、捲り上げた材の下に、トッププレートとサイドプレートが潜り込んで、1枚の切子にします。しかし、バイアスカットでは、バーを進めたい方向に対して、カッターの頂点はどうしても裂けやすい年輪の方向に逃げるようになります(+木材繊維は縦引き方向が最も強度があります。薪割機でも繊維が入り組んだ材だと、何トンという力でも、刃が逃げる代わりに材が割れずにズレたり薪割機本体が動く程です)。この時、頂点は年輪の裂け目を空転=スタックしている状態になり、頂点が消耗した時と同じような切れ方をします。また、頂点が年輪を通っていない時は、木材繊維は横引きと縦引きの中間になっているので、切子がクロスカットより長く、加えて、切子が材から離れ辛い状況になります(縦引き用のカッターは縦引きの時に横ブレと切子の詰まりを抑える為に、上刃仕上角度は10度+マイクロチゼルです)。負荷も高く、後続のカッターが残った切子をもう1度切ってしまいやすい状況になっていると考えられます。

縦引きの時の切子

 このスタックですが、カーフとは別で発生するようです(複数報告例有)。まだ実証が進んでないのでどうかなぁと思うのですが、どうやら特定のバーの角度×ワーキングコーナーの幅でスタックの度合いが変わるようです。ナローカーフは上刃の幅だけでなく、ワーキングコーナーの幅も狭いチェーンです。頂点以外で年輪の周りを広く削り取ってしまえば、後続のカッターの頂点は年輪を避けられる、と考えると、そのソーチェーンの進みに最適な角度があるのかもしれません。


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