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5/n 機械研ぎ シン・ベンチグラインダーの正しい使い方 チェンソー、ソーチェーン(チェンソー用チェーン)、目立ての正しい理解

ソーチェーンサービスジャパン(略: SSJ)です。

SSJは当事業体の宣伝も兼ねて、タイトルの記事をシリーズ化してnote上に公開することにしました。本記事の内容はXアカウントのhttps://twitter.com/SSJP2023 固定ツイートで先行公開していますが、noteで公開する内容は、Xアカウントで公開中の資料 「4D Sawchain Study」の「 V.1.25」以降の内容となります。


目立て: 手研ぎと機械研ぎ

 今回の内容は2/nの続編からです。機械研ぎに関する渦巻く論争の正体と背景… に繋がる機械研ぎでよくあるエラーについて解説します。

「機械研ぎ」とは何か

「機械研ぎ」と、1言で言っても1種類ではなく、目立てをする為の仕組みが異なります。代表的な3種類を紹介します。

機械研ぎその1:ベンチグラインダー式

チェンソー専門店で使われているタイプで、国内で主に出回っているのはOREGON(TECOMECのOEM製)のもの。既に販売終了したSTIHL製のものも、仕組、原理は全く同じで、差異は横刃目立て角の0度の起点、ダウンアングル機構の有無、あとはホイールの内径が違います(スチールの新品時のカッター角度をオレゴンのベンチグラインダーで再現することは簡単ですが、逆はできません。たまたまホイールの減りとセンターで同調することはあるかも知れませんが…)。海外では上記URLのデグレード版とアップグレード版があり、デグレード版は安いですが、センタリング機構が無いので、機械研ぎ+手研ぎを行わないと左右のバランスが取れません。上記URL版やアップグレード版(ヘッドの上げ下げが楽になるのと、ロック機構の信頼性が上がる)でも、ソーチェーンとベンチグラインダーの仕組を理解していないと満足な仕上がりを得ることは不可能です。

機械研ぎその2:ビット式

手研ぎのストローク動作を補助してくれる機械。カッターの仕上がりは手研ぎと変わりませんが、遊びがあり、角度、研ぎ量がブレるので、感覚的な部分で補わないとなりません。

機械研ぎその3:ホイール式

ベンチグラインダーの角度設定をホイールの形状で補うタイプ。ビット式に同じく遊びがあり、角度、研ぎ量がぶれやすいので注意してください。書き忘れていましたが、どの機械を使ってもダメージ部分をしっかり削り落として尖らせ、デプスも合わせないと???な結果になります。

専門店で使われているベンチグラインダー式=機械研ぎの評判が悪いのはなぜか

訂正版↓

使い方の説明ではなく使用している方向けの説明なので画像掲載は省略します。


 使い方を間違えると左右の仕上がりが揃わないのと、使用前&中の微調整に時間が掛かるからです。ホイールが垂直ではなく、角度がついて下がってくるのが混乱を生む大きな要因です。ホイールが下がる程、内側に巻き込むようになり削る量が多くなります。チェーンの送り量=削り量を決めるアジャスターが別であるのですが、ホイールの下がりの下限を決めるアジャスターも実は削り量に関わってくるのです。それを「上刃の残り」だけで判断して送り量だけで無理矢理揃えようとすると、今度はホイールのセンターがずれているので横刃仕上がり角が左右で大きく変わります。ピッチごとにカッターの高さ=下限が変わるので、ホイールのセンターも実はピッチごとに最初に設定しないとなりません。よくあるエラーの流れと正規の手順をまとめます。

ベンチグラインダー 誤った使い方①

  1. 各角度、送り量、下がりの下限を決める

  2. 片側のカッターを1周分削る

  3. 残った側のカッターに取り掛かる(ここで送り量や下がりの下限をいじってしまう)

  4. 横刃仕上角が左右でずれたソーチェーンの完成

ベンチグラインダー 誤った使い方②

  1. 各角度、送り量、下がりの下限を決める

  2. 片側のカッターを1周分削る

  3. 残った側のカッターに取り掛かる

  4. 上刃の残りが左右で異なるソーチェーンの完成

ベンチグラインダー 正しい=仕上がり精度を求める使い方

  1. 削るカッターのピッチ(シャシー)の高さに合わせて、ホイールの下がり下限とホイールのセンターを同調させる

  2. 各角度、送り量を決める(下がりの下限を調整する際はホイールのセンターも微調整する)

  3. 片側のカッターを1周分削る

  4. 残った側のカッターに取り掛かる(更に完璧を求める場合はホイールの半径の減りに合わせて下限、センタリングを再度調整)。

  5. ホイールの減りに見合った完璧さのソーチェーンが完成

 国内で入手できる純正仕様のベンチグラインダーですと、91-45が1本でも仕上がりを求めたら20分は掛かるだろうと思います。特に半径が減り続けるのでセンタリングがとてつもなく厄介です。さらに1本1000円程度なので専門店では購入者以外の目立てを断ったり、目立てサービス自体を取り止めた店舗も多いのが現状です。こういった背景が「機械研ぎは良くない」の事実と思われます。もちろん上刃や横刃のずれ、熱を無視するのでしたらデプスを含めても5分で終わります。

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