知らない冬のこと探しに(沖縄二泊三日旅)
おやすみを利用して、月初の三連休で沖縄旅をしてきました。今年のお正月は関西では日中の気温が15度前後と比較的あたたかいお正月だったのだけど、さすがは沖縄、夜でも18度ぐらいと快適な温度でした。秋の残り香を嗅ぎに行ったような、新しい春にひと足先に会いに行ったような、……と旅人目線ではそのような旅情を感じたのだけど、沖縄のお正月、しめ縄飾り、新春セールなどなど、現地はやはり新年ムードで、「ああこれが沖縄の冬、私の知らない冬の風景なのだな」と思いなおしました。
さてさて、おじゃまします。
🍍🌺🐠
土曜日の18時過ぎ、機材遅れもありつつ那覇空港着。家を出たのは13時ごろ。夫と「どこかには行こう」と、いつも以上に行き先と決め(られ)ぬまま必要最小限の泊まり道具を持って外に出て、電車の中であれやこれやの予約を取るという荒技。家を出るまで北か南か、もはや国内か国外かも定かではないので、恐ろしいけどもう慣れた。一応、パスポートも持って家を出た。
南国の空気?というか、ヒューミッドを感じる那覇空港。体感的には韓国に行くとき以上に遠いのに、空港も街も道路も、どこを見ても言語が分かるのが不思議だなあ。と、沖縄に行くたびに新鮮に思う。レンタカーを借りて、ひとまずディナーとしけこむ。
ディナーは幹線道路沿いのステーキ屋さん「SAM'S」にて。おいしかった。アメリカン!な味がガツンと来るのだけど、前菜のサラダや付け合わせの野菜もあるので、あまり罪悪感を感じない。贅沢な旅の開幕である。
パンorライス?と問われると、大体私がライスを選び、夫がパンを選ぶ。肉でご飯をもりもり食べたい私と、パンでお皿についてるソースを拭きあげて食べたい夫。しかし、このボリュームである。この時ばかりはパンにしたらよかったと思った。おまけにパンにはめちゃめちゃおいしい「特製 パイナップルバター」が付いていて、羨ましかった。
那覇市内のビジネスホテルを予約していたのだけれど、那覇市を通り過ぎて浦添市内のショッピングセンターに。ちいかわのシーサーの沖縄限定ショップがここにだけあるのだ。きゃわわわわわ…。友人へのお土産をササッと調達し、階下にあるスーパーでさんぴん茶などを買って那覇市内方面に戻る。
快適な夫の運転をありがたく思いつつも、道が広くて走りやすそうな沖縄の道路に「今回の旅中は、一度ぐらいハンドルを握ろうかしら」と、大きな気持ちになる。大学生のときに、沖縄で運転したことはある。ネタバレになるけれど、この旅においても、一度も運転をすることはなかった。心の隅で、今年の目標がひとつ決まった。
ホテルにチェックインし、国際通り方面にお散歩をしに行く。夜11時をまわっているが、観光客なのか地元の人なのかわからないけれど、にぎやかだ。
「もしも私が 家を建てたなら 玄関に二体の シーサーを置きたい それはいかつく そしてしなやかで するどい目つきの かっこいいやつ〜」
酔っ払いの笑い声が聞こえる、あたたかくて開放的な夜の那覇を歩きながら、替え歌を歌う。着てきたダウンコートはホテルの部屋に置いてきた。厚手のトレーナーで全然平気。けど、吹いてくる風は北からなので「やはりここも冬なのだな」と感じる。地球はひとつなのだ。
沖縄でコンビニを選ぶとすると、断然ファミリーマートだ。レジ横に沖縄の天ぷらやサーターアンダギーが売ってたり、スパム入りのおにぎりやチャンプルーなど、沖縄のご当地フードがたくさん売ってる。何軒か回ってやっと見つけた。深夜24時、ホットスナックコーナーの、アッツアツかりっかりのサーターアンダギー。レンジであっためてくれる。牛乳と一緒にいただく。歩きながら、「かりっかり」の部分をかじると、おいしくて涙が出そうになった。咆哮した。
もうこんなん、オレンジレンジ聴きたくなるやん。レンジとかけまして、武士と説くやん。
ホテルの部屋に戻り、うだうだとシャワーを浴び、布団に入る。24時間前は、明日の夜は那覇で眠るなんてつゆほどにも思わなかった。不思議だ。深夜のNHKの放送は、能登の夜の空が厳しく吹雪いている様子がリアルタイムで映っており、ときおりキャスターに切り替わり、地震の被害の様子が報道された。
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2日目。ゆっくりチェックアウトし、沖縄本島の北部を目指す。
国道58号線を行く。助手席から見る国道はだいたいつまんないけど、沖縄は面白い。米軍基地がある関係で英語の看板をかかげたお店が連なった地域があったり、高級リゾートっぽい街並みになったり、よくあるロードサイドな街並みになったりと、目まぐるしいのだ。
ため息をついてしまうほど美しい、エメラルドグリーン色の海を横目に北上する。途中、許田(きょだ)というところの道の駅に寄り、天ぷらを買う。大学生の時に友人が言っていて憧れていた、「沖縄旅行の途中に食べる、道の駅で売っている天ぷらがめちゃうまい」と聞いて、早何年か、やっと夢が叶った。ほんとに美味しい。サクッサクッで香ばしく、いくらでも食べられる。食べられてしまうのだ。
夫の希望で、珍しい構造で有名な「名護市役所」を見に行く。
ちらりとガラス戸越しに中を見ると、いたって普通の、どこにでもありそうなお役所の雰囲気なのだけど、外観や意匠が異国っぽくて、ここはどこなんだろう?と不思議な気持ちになった。沖縄、なのだが。
車はさらに北に。沖縄本島の最北端を目指す。
古宇利島にはおしゃれなハンバーガー屋さんやお土産屋さんなどのショップがあり、観光客でにぎわっていた。車を停め、砂浜を眺めて佇む。日差しが強い。夏のソレである。日焼け止めを塗ってはいるものの、ちっとも防げている気のしないほどの、強い日差し。マンゴースムージーがうまい。あたたかくて、眠くて、車に戻るや否や助手席で爆睡ぶっかましてしまった。
沖縄本島の最北端地区、やんばる地域に着く。お腹が空いたので、またもや道の駅に立ち寄る。ご飯だご飯だ。
夫は沖縄そばを。私はお米が食べたい気分だったので、くわーじゅーしーを頼む。シェアして食べる。沖縄そばのかつお節が効いたお出汁を胃に入れると、ホッとした。テーブルに置いてあった「こーれーぐーす」という、泡盛に唐辛子をつけた調味料を何滴かそばのスープに垂らすと、味に深みが増して異常においしかった。味のオーケストラや。こうやって使うのか。
お腹を満たし、ふくふくとしながら最北端に着く。
最北端には資料館があり、そこにも観光客が多かった。人のことは言えないが、よくぞこんな端までも人が来るものだ。北海道の野付半島に来た時にも同じような資料館があり、全く同じことを思ったのを思い出した。
岬は、遮るものが何もないからか、北風が強く、しっかりと寒い。こんな時は温泉に入りたい、などと思う。しかし、沖縄本島に温泉は少なそうだ。
最北端を堪能したので、那覇方面に向かって、今度は本島の西側を行く。先ほどまで通ってきた東側の賑やかな国道沿いとは異なり、野趣あふれる田舎道が続く。「ヤンバルクイナ飛び出し注意」の看板が立っている。ヤンバルクイナって、さっきの資料館にも写真があったけど、はて、どんな鳥だったっけ?と、画像検索をしようとしたが、電波がなかった。
ときおり家畜の気配(におい)を感じながらも、暮れゆく沖縄の森と森の狭間の道を走る。何度か抜かされたり抜いたりはするが、すれ違う車はほとんどない。本当に遠くまで来たのだな、と、来た道の距離をうかがい知る。
道中の道の駅で休憩を挟みつつ、今宵の宿の予約もやっとこさ取る。20時過ぎ、那覇市内に戻る。「チェックインしたら、すぐ街に出て、今夜は居酒屋さんでも覗こうか!」なんてさっきまで言ってたけれど、ホテルの部屋に入ると長距離ドライブの疲れがドッと来て、階下にあったファミマで沖縄っぽいご飯を買って食べ、泥のように眠った。
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3日目。帰るのは夜の便なので、まだ余裕…とは言え、車を返さないといけないのでバタバタする。眠り過ぎた。早起きできたら、沖縄の南の方もドライブしたいね!なんて言ってたのに、次の機会までお預けだな。
日本最南端の道の駅「いとまん」で朝ごはん兼昼ごはんを摂る。
この道の駅はかねてより行ってみたかったのだ。農協の物産売場、海鮮市場、パン屋に天ぷら屋など、沖縄のおいしいものが一堂に会していて、胃腸のキャパシティでは追いつかないほど、いろいろとおいしそうなものがある。レンタカーの返却時間が近づく中、ギリッギリまで胃に詰め込み、舌を喜ばせる。あー、まだ帰りたくない。来年も冬に沖縄に来たいな。来年のことを正月から言うなんて、鬼も苦笑いやわな。
車を返却し、うみかじテラスというごはん屋さんやスーパー銭湯があり、空港に離着陸する飛行機が近くで見られる施設で夕方まで過ごすことにする。ここも観光客がいっぱい。全体的に、映える。暑い。台湾や韓国のお客さんが多いようだった。
スーパー銭湯で汗を流す。気持ちがいい。関西に帰るとちゃんと寒いんだろうけど、ここでは持ってきたタイツもダウンコートも脱ぎ捨てたいほどに暑い。
しっかりと蒸され、夕暮れを見届けて、我々と帰る場所に向かう。ここからは怒涛。飛んで、電車に乗り、眠ったら明日が来る。日常が始まる。なんだか夢みたいで、本当に沖縄に行ったんだろうかと思うけれど、記憶をこのように旅行記として書き出せば、夢じゃないことの証明になるので、温度も匂いも残せるように、今年も楽しく旅行記が書けるといいな。いい旅の年明けでした。
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