SNS活用を考えるその前の「ブランディング」
SNSを活用したマーケティングと人材採用 研修(2022年2月22日)より抜粋記事
ちまたでは、SNSの活用についての記事や特集を見ることが多くなってきています。それもそのはずで、SNSをWEBコミュニケーションツールとして活用している人は増加し続けており、Twitter、Facebook、Instagram、LINE、YouTube、TikTokなど、日常的に何かしらのSNSにふれている方が多いと思います。
そこで、企業でもニーズが出てくるのが「SNS活用」ということになると思いますが、今回はSNS活用を考える前に、まずは自社の「ブランディング」を考えてほしいということお伝えしたいと思います。「なぜ?」と思う方もいると思いますが、これは自然なことで「SNS活用を何のためにするのか?」を深く考えていくと、どの会社もおのずと「ブランディング」に行き着くのではないかと思っています。その繋がりも含めて後述していきます。
「ブランディング」って何なの?
「ブランディング」を考えるうえで、とてもわかりやすいイラストがあります。
四象限の左上は「マーケティング」です。男性が「僕は頭が良いです」と言っています。では、右上はというと「広告」です。「僕は頭が良いです」を繰り返しています。広告は伝えたいメッセージをあの手この手ですり込むので、それを良く表していると思います。それでは、左下ですが、これは「PR・広報」です。男性が女性に変わって、「彼はとても頭が良いんですよ」というメッセージなりました。つまりこれは本人ではない人が語っているということがポイントです。本人でないので信頼性が増すのが「PR・広報」ですね。通常のPRでは、新聞やテレビ、雑誌などのメディアで取り上げてもらうことを狙うので、これもイメージしやすいと思います。最後が右下の「ブランディング」です。これは言っている人が変わっています。左側が本人側であるなら、右側はお客さん側とイメージしてください。右の女性が「あなたは頭が良いと思います」と言っています。これまでの象限では左の本人側が言っているメッセージを右側のお客さん側がただ聞くだけでした。それが「ブランディング」になってお客さん側からメッセージが発せられるようになっています。このインパクトが他の象限と比べても大きいのです。
「類は友を呼ぶ」口コミの波及効果
ブランディングの重要性を理解したうえで、その波及効果についても考えてみたいと思います。
ホモフィリー(Homophily)という言葉あります。これは、同じような属性や価値観を持つ人とつながろうとする人間の傾向のこと。「類は友を呼ぶ」「似たもの同士」という言葉をイメージすればわかりやすいとおもいます。
基本的に私たちは気の合う仲間や家族に囲まれて生きています。気の合わない人とは進んではあまり会いませんし、疎遠になっていくので自然と価値観の近い人が周りにいる状態になります。
現在の情報爆発時代に「どんな情報を信頼するか?」と聞けば、自分の周りの価値観の近い人ということになり、Edelman Trust Barometer 2016の調査では情報源として最も信頼性が高かったのは、「家族や友人」という結果になりました。
ここまででピンと来た方もいると思いますが、「ブランディング」がうまくいいき、自社のことや商品・サービスのことを好きになった人が口コミをすると、その周りにいる価値観の近い友人や家族が情報信頼し、購買行動などを取りやすくなるということです。で、その新たな顧客の周りにも同じように価値観の近い人がいるので、好きになった人が次の好きになる人を呼んでくるという波及効果を生み出していくわけです。
そして、その効果をより生み出しやすくするのが「SNS」ということなのです。SNSも価値観の近い人たち同士で繋がっていることが多いので、「これいい!」「好き」という熱量を持ったつぶやきが、瞬く間にバズって(拡散して)すごい数の方に伝わることが起こります。
SNS活用の前に、顧客や従業員の熱量を考える
この「ブランディング」の「好き」とか「いい!」という熱量がまずあって、はじめて効いてくるのがSNSという、この順番が大切になります。ダメな例として、SNSで集客しようとしていきなり商品・サービスの売り込みをしても効果がないことは今なら想像がつくと思います。むしろブランディングとしてはマイナスの効果になることもあります。
なので、SNS活用の前に大切なことは、「自社のブランディングが醸成されているか?」ということです。口コミの熱量を伝播させ拡散させるのがSNSということなので、「そもそも自社や商品・サービスに熱量を持った顧客がどれくらいいるのか?」それ以前に「自社の従業員は顧客以上に熱量を持って仕事しているのか?」このあたりを見つめ直すところからはじめてみることをおすすめします。
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