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浜辺

娘と手を繋いで浜辺を歩く
どこかから俯瞰で僕が見てる
砂に足を取られながら
その不安さが繋いだ手から伝わってくる
でも大丈夫
ときに強く握り支えて歩く
お互いの顔をたまに見ながら
遠くへ向かって歩く
「これは海?」
娘が訊いた
生まれて何回目かの海
きっと絵や写真とは違って映るのかな
浜辺を歩くとサンダルに砂が入って気持ち悪いとか
間近で見る波が
まるで襲ってくるように感じるとか
岩場にフジツボがあってゴツゴツして歩きにくいとか
見つけたヤドカリに触るのは怖いとか
書いてないもんね
彼女が初めて肌で感じる海の風
寄せては返す波の音
海藻が打ち上げられて
綺麗には見えない浜辺
その全てが経験として染み込んでいるのだろう
そしてその風景にいる僕のこと
ずっと憶えていてくれるかな

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