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祭のない秋

人間には祭が必要だ

いにしえから日本ではハレとケ

漢字も輸入されていない時代から

ハレの日は大切な日だった

ハレの日のためにケがあり

普通の生活を大切に思うからこそハレがある

そのバランスが人間を人間たらしめてきた

武漢ウィルスでハレの日にハレることが無い今年は

きっと人類の歴史の中で忘れられない年になる

祭のあとの寂しさや切なさは

祭がないと味わえない

だから今年の夏はどんなに才能があるアーティストも

祭のあとの気持ちを想像で書くしかない年になってしまった

リアリティの欠けた時間が過ぎていく

かたちの無い出口のドアを探して右往左往する夏は終わり

かたちの無い喧騒までが凍りついて叩いても同じ音が響くだけ

太鼓の低音もお囃子の高音もピンクノイズにかき消されたこの秋

祭なのに祀られきれない神様は今何を思う

神様なんて口実だっただけなのに

今は心の片隅で神様に叫んでる

振れない振り子は筋膜硬直を起こす

振れる日が車で思い切り片側に振り切っておこう

祭が無い秋に狂う方法はそれだけなんだ


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