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カスタマーサクセスにおける「ヘルススコア設計」は生半可な気持ちじゃできない!だからこそ大事にすべきポイント

カスタマーサクセスを始めると確実にぶつかる壁の一つ「ヘルススコア」

もしかしたら今作ろうとしてる最中「一体何から手をつければ・・」と思っている人もいるかもしれません。真面目な人はいわゆる赤本や青本を読みより一層迷宮に迷い込んでいるかもしれませんね・・。今回は私の経験からヘルススコア設計をどのように進めていくのがいいかの考え方をお伝えできればと思います。

巷でいう管理方法やヘルススコア設計など再現性はほぼない


ヘルススコアや運用を考えるときに、出回っている情報を参考にすると思います。考えるきっかけとしては非常に重要なことでしょう。ただしそのまま真似することは非常に難しいということはまず覚えておいてください。それはなぜか。

「カスタマーサクセス」「SaaS」などと言っても提供しているサービスや内容、プライシングが全く違いますし、取得できる情報の粒度や質も全く違うからです。(全く違うにも関わらず、統一の正解を見出したかのような物言いをする人たちが本当に嫌でした・・)ですので、ヘルススコアを作るための公式なんて存在しませんし、近道はありません。しかし、どういう観点から作っていくとよさそうかということは少なからず伝えられますので、少しでも参考にしていただければと思います。


他社事例に再現性がない最大の理由

ちなみに出回っている他社事例に再現性がない最大の理由は、飽くまでその会社の顧客や事業フェーズに適したものだからです。顧客数が100社で顧客単価が月100万のA社と顧客数が1万で顧客単価が月1万のB社。売り上げの面から見れば事業の規模は変わらないように見えます。しかし、既存顧客の管理方法は天と地ほど変わるでしょう。

同じような規模感/価格帯の企業の情報が見つかったとしても、業界の色のようなものへの考慮も必要です。ITへのリテラシー、捉え方、その業界でのコスト意識、古い業界なら対面を強く意識せざるを得ない場合もあるでしょう。

これらの違いを考慮したときに、現状では巷にあるものの再現性はかなり低いと言っていいでしょう。


一番大切なのは「現場感」

ではどうするのか。飽くまで方法論として他者の事例を学ぶのはいいと思います。全く知らないと流石に思考することは難しいと思います。

そこで一番大事になるのは、「現場感」です。

これを強く感じたのには訳があります。私の入社時はひたすらに全員が受電をし、そこから各々様々な業務へシフトチェンジしていきました。しかし、ある時期からカスタマーサクセスの部署については受電を研修程度にしか行わず、ほとんど現場や顧客のことを知らぬまま業務に入るのです。するとどうなるか。想像上の顧客を前提にして会話が進んでいくようになります。

▶︎顧客はさらなる成功を求めている
▶︎顧客はもっと多くの情報を求めている
▶︎顧客は我々のコミュニティを求めている

そんなことを思い始めるのです。それは現場から離れた人が陥る本当に身近な罠です。スケールし出した時期に現場感のない人から発されると思うので、ぜひ覚えておいてください笑

そこで、そのような思い込みをしている同僚たちに、お客さんとお話をしてみる機会を作ったことがあります。当然想定したような優秀な顧客もいるのですが、大半は目の前のことに必死で、我々のプロダクトに期待や興味を持っていない顧客だということに気づいて驚いていました。

もしこのように現場を知らない人がフローやヘルススコアを作ったならどうなるでしょう?現場で使い物にならないものができあがり、顧客体験は悪くなり、会社は大きく遠回りをすることになるでしょう。


現場で顧客を見つめてきたあなたの感覚を言語化→数値化する

じゃあどうすればいいのか?現場感をしっかりと言語化し数値化するのです

顧客と話す中で、

「あっ、この企業素敵だな」
「この企業は厳しそうだな」
「この企業は私たちのことをパートナーとしてみてくれているな」
「言っちゃ悪いがこんな企業で働いている社員は可哀想だな」

こんなことを感じてきたはずです。当然担当者と接することでその会社の雰囲気を感じることもあるでしょうが、それだけでなく、提供しているプロダクトの状況を見て、なんとなく判断していることってないでしょうか。

こういう使い方している企業って、大概使いこなせてたり、現場まで浸透しているんだよなぁ

みたいな感覚のことです。そして、そのふわっとした感覚を「⚪︎⚪︎機能のこの部分を⚪︎人以上使っているパターンはいいんだよな」のように少しずつ具体性を持たせながら言語化していきます。そして最終的にそれをデータから判断する場合には何を組み合わせたらいいのか。そんな流れで考えていくと、スムーズです。

ちなみに、巷ではメールの開封や、セミナーへの参加などを指標の一つとしておくような例を出しているケースもあります。しっかりと網羅的にデータが取れているような状況であれば、そういったものを使うのもありかもしれませんが、多くの場合取得に多くの手間がかかったり、網羅性がなかったりします。

全顧客の5%しか参加しないようなセミナーの参加が重要指標にしてしまったり、話さないとわからない情報を指標にしてしまう場合なんかも「聞けてないからスコアが低い」みたいなことになりますので、そのスコアが何を表しているのかがわからなくなります。私たちがまずやりたいのは、全顧客の状態をざっくりと把握することですよね。とすると、網羅的に取得できる情報から組み立ていくということを心がけることが重要になります。


良い方の顧客をイメージしにくい場合は、

「この使い方をしているところはしんどいんだよな・・」

のようなよろしくない状態を定義する方向から入ってもいいと思います。そこから一つ一つ積み上げていく。自分の中で理想とする顧客をいくつか思い描いておくことも大切です。「自分の思い描いたあの顧客たちが高評価になるにはどうしたらいいのか」そんな切り口も持っていると、迷ったときに立ち返りやすくなります。

頭のいい人も普通に間違える。悩み抜いた人が一番正しい

実際に作り出すと非常に厳しい戦いになります。必要なデータが全然ない。そもそも前提とするスキルがない。そして自信をなくすこともあると思います。そもそも、このような難しいことは

ものすごく頭の良い人がやるべきなのではないか

そんなことを思ってしまうこともあるでしょう。

しかし、そんなことはありません。エリートタイプの人は知識が多い分、物事を単純化した経験則で考えたり、自身を基準にしてしまい目線が合っていないことなども多々あります。もちろん全員がそうだとは言いませんが。私は地べたを這いつくばっていきてきた、ゴリゴリの現場人間です。周りに優秀な人もたくさんいましたが、私の設計したスコアが未だに使われています。なぜかといえば、私が現場を知った上で、スコアというものに対して一番悩んだからに他なりません。

正解はありません。正解はないし、前例もないことをしなければならないからこそ、一番悩み抜いた人が一番正しいのです。戦い抜きましょう。


現場に「使ってもらえるか」も物凄く大事

上司に言われて作り出した「ヘルススコア」。上司には確認しつつ作ったけど、誰も使ってくれない。そんなことも往々にしてあります。

なぜか?「現場にとって必要なものになっていない」「現場はまだそのスコアを使えるフェーズにない」「スコアの意義を伝えきれていない」などがあります。使われない指標の多くは、作っている人間や上司の自己満足になっているケースというのが往々にしてあります。

作っている人間からすれば「より細かい情報を取れるものこそが素晴らしい」と思うかもしれませんが、ヘルススコアの作成に携わっていない現場の同僚からすれば「ざっくり知りたい」わけです。このような意識の違いに気づかないままヘルススコアを作ってしまうと、「あのスコアよくわかんないし、難しいし、業務のフロー変えるのとか面倒だからそのままでいっか・・」となり、そのスコアは浸透しないまま、作って終わりなんでてこともざらにあります。私自身、24段階の指標を作ったことがありましたが、理解して覚えておける人がいませんでした。そりゃそうですよね(笑)それをざっくり5段階に変えたところ、一気に社内で浸透したという経験もありました。

このような問題を回避するためにできることは、早めに社内でお客さんを見つけておくことです。一番の理想は業務で使えそうな人がいれば、その人に細かく意見を聞き、自分ごとにしてもらうのです。そのような人がいない場合は、顧客状態に課題感を持っている人や、新しい取り組みに前向きな人なんかを見つけるのも一つです。結構楽しんでくれます。自分が作ろうとしているヘルススコアの熱狂的なお客さんが1人できるとできないではその後の浸透具合が全く違います。

まとめ

▶︎現場感覚から考えていく
▶︎高評価すべき具体的な顧客をいくつか用意する
▶︎網羅的に取得できるデータしか使わない
▶︎現場に使ってもらうことが大事。早めに「お客さん」を見つけて巻き込む

これらのことを意識しながら、自分達らしいヘルススコアの作成に取り掛かりましょう。作る時はすごく辛いですが、いいものができた時の達成感は結構すごいので、頑張ってください!


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