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衝動買いに“戦略”を! おカネが貯まる家計簿の使い方

「一目ぼれしたものを、タイミングを逃さず衝動買いできる幸せ」。

家計簿の新しい見方を知れば手に入れられます。
3つの見方をつかって、家計簿の活用法をアップデートしてみませんか?

前提 収支管理の基本公式

総収入 - 総支出 = あまったおカネ

「最終的にどれだけおカネが余るのか」を示す単純な式ですが、この先は「毎月の“あまったおカネ”を1円以上にすること」を家計簿活用の目的として定義して話を進めますので覚えていてくださいね。


その1 あまる予定のおカネ

毎月1日の時点で、その月の「あまったおカネ」がどれくらいになるか予測してみましょう。「どれくらい羽振りよく暮らせるか」の目途が立ちます。

予測のポイントは支出を分解すること。まずはこちらをご覧ください。

総支出 = 固定費 + 当月支払分カード決裁額 + 生活コスト + その他現金支出

カギは「生活コスト」にあります。
平日と休日それぞれ、朝・昼・夜+間食に使っているおカネ(1日分)を計算してみましょう。シンプルに毎日の飲食代だと考えると、僕の場合はこんな感じ。

①平日:朝100円 + 昼500円 + 夜500円 + 間食100円 = 1200円
②休日:朝0円 + 昼1200円 + 夜ごはん1000円 + 間食600円 = 1800円

仕事のない日は大体カフェに行くので、休日の間食にカフェ代を含めています。ここから1ヶ月当たりの生活コストを計算すると、4.25万円は必ず出ていきそうです。

  1ヶ月当たりの生活コスト
=(年間平日数 * 平日1日分のおカネ + 年間休日数 * 休日1日分のおカネ)/ 12
=(245 * 1200 + 120 * 1800)/ 12
= 42500

あとは手取りの給与や固定費(家賃や通信費、月謝など)と組み合わせれば、毎月1日の時点であまる予定のおカネを予測できます。

例1-1.あまる予定のおカネを予測してみる
 あまる予定のおカネ
= 手取り20万 - 固定費8万 - カード決済額4万 - 生活コスト4.25万
= 3.75万

例1-1.では、あまる予定のおカネは3.75万円。つまり最大で3.75万円分は衝動買いしてもOK。(ただし「病院代」や「散髪代」も3.75万円から支払われるのでご注意を!)

一方で前の月にカードを使いまくったときは、衝動買いしている余裕なんてないと数字で明らかになります。

例1-2.前月にカードを使い過ぎ、あまる予定のおカネが赤字
 あまる予定のおカネ
= 手取り20万 - 固定費8万 - カード決済額8万 - 生活コスト4.25万
= -0.25万

あまる予定のおカネがマイナスなので、このままではおカネが貯まりません。
「カード決済額を後から分割払い(リボ払い)にする」という荒業を除けば、生活コストの調整で挽回するしかない状況です。カフェに行く回数を減らしたり、外食の予算をちょっと減らしたりしましょう。

このように、月初にあまる予定のおカネを予測できれば、「今月の過ごし方」をコントロールできます

--補足--
毎月コツコツ貯金していきたい方は、貯蓄額を固定費に含めましょう。
原理上は生活コストに含ませてもよいのですが、その2を考えると決してオススメできません。毎月の貯蓄は固定費扱いです。


その2 出費の進捗率・日数の進捗率

毎月の出費のペースをタイムリーに把握できる指標(KPI)です。
とても単純な指標ですが、僕はこれにすっかり財布をコントロールされちゃっています。飲み物代やお菓子代など細かな支出が多くておカネが貯まらない方には「強力なブレーキ」になるはずです。

出費の進捗率・日数の進捗率
 出費の進捗率 = 現時点での現金支出 / 1ヶ月当たりの生活コスト
 日数の進捗率 = きょうの日付 / 今月の日数

その1で登場した生活コストはただの予測値なので、実際は「生活コスト + あまる予定のおカネ」の分だけ毎月おカネをつかってOK。
とはいえ出費のペースを管理していないと、うっかり出費が増えすぎて結局あまったおカネがマイナスになることも。

この「うっかり赤字」を防ぐには、生活コストを「予算」として考え、予算の消化ペースが適切かを判断するのが有効です。

例2-1.4月10日の時点で、現金支出が1万円
 出費の進捗率 = 1万 / 4.25万 = 23.5%
 日数の進捗率 = 10日 / 30日 = 33.3%

日数の進捗率と対比してみると、4月の予算消化ペース(出費の進捗率)は比較的ゆるやかなようです。このままのペースでいけば、月末時点でのコスト進捗は70.6%に落ち着きそう。
おカネが多めに余りそうと分かれば、仕事で疲れた日は外食で済ませちゃったり、休日にカフェでケーキを頼んじゃってもOKだと判断できます。

逆に、こんなケースはどうでしょう?

例2-2.4月28日の時点で、現金支出が5万円
 出費の進捗率 = 5万 / 4.25万 = 117.6%
 日数の進捗率 = 28日 / 30日 = 93.3%

まだ4月は続くのに、出費の進捗率が100%を超えています。
でも気を付けてほしいのは、この指標の目的は、出費のペースが適正かを判断すること。出費の進捗率を100%以内に抑えることではありません。前提で触れたとおり、最終的にあまったおカネが1円以上になるなら、100%を超えていても気にしなくてOKです。
むしろ上旬・中旬で「出費の進捗率が日数の進捗率を大幅に上回っている」ときこそ要注意。そのペースで衝動買いしていると、結果的にあまったおカネがマイナスになるリスクがあります。

--補足--
その1で「毎月の貯蓄は固定費」とお伝えした理由について。
生活コストに貯蓄額を含めた場合、出費の進捗率が100%以上になったら「今月分の貯蓄額をすべて使い込んだ」ことを意味します。一方でこのような事故を防ぐために中途半端な数字(63.0%など)を目標にすると、数値の意味を解釈しにくくなるのでオススメしません。


その3 資産スラック

家計簿では聞きなれない概念かもしれませんが、ここぞの時に活躍してくれる指標です。意味するところは「万が一の時に、いくらまでならパッとおカネを出せるか」です。
きちんとご説明する前に、まずは「貯蓄」を3つに分けてみましょう。

貯蓄のカテゴリ分け
Q1. その貯蓄、使い道はハッキリと決まっている?
 ・決まっている→来るべき日のために取っておくおカネ
 ・決まっていない→Q2. へ進む
Q2. 使い道が決まっていないのに貯蓄する理由は?
 ・長期的な備えのため→将来のためのおカネ
 ・いつか何かを買うかもしれないから→資産スラック

「資産スラック」という大げさな用語を持ち出した理由はズバリ、積極的に衝動買いをするための軍資金と、堅実に蓄えをつくるための貯金とを区別するためです。

資産スラックが威力を発揮するのは、たとえばこんなケース。

例3.
ずっと探してたグッズが残り1点。
今月あまる予定のおカネでも資金は賄えないけど、絶対欲しい

こんなとき、もし十分な資産スラックがあるなら迷わず買ってOK。絶対に欲しいものなら、見つけた瞬間にお会計まで進んじゃいましょう。こういう大事なときに戦略的な衝動買いをできないなら、家計簿をつけて収支を管理している意味がありません

あまる予定のおカネを使っても足りないのに衝動買いしていい理由は、資産スラックを使えば「n万円分の支出を“なかったこと”にできる」からです。
単にカードを使いすぎてあまる予定のおカネがマイナスのときや、月初なのに出費の進捗率が異常に高いときも、必要な分だけ現金支出を帳消しにしてください(シンプルに臨時収入と考えてもよいです)。
こんな裏技が使えるのは、資産スラックは「使い道もなく貯めておく必要もない、浮いているおカネ」だと分かっているからです。キチンと貯めておくおカネと遊んでいるおカネは区別して管理すると便利ですよ。

--補足--
前もって支出のタイミングと金額が分かっていて、その分の貯蓄(来るべき日のために取っておくおカネ)が事前に準備できている場合について。いざ支出のタイミングが来たら、上記の裏技のように「支出を貯蓄で補填」しましょう。裏技を使うと、あまる予定のおカネが大幅に赤字になったり、出費の進捗率が異常に上振れたりしないので、大きな出費のせいで指標が機能しなくなることを防止できます。


まとめに代えて

ご紹介した家計簿の活用法では「いつ何円の出入りがあるか」こそが全て

極論を言えば「何に使ったか」の細かい記録は一切必要ありません。
収支の記録を細かくつけるのは大変だし、長続きしにくいです。そのうえ、細かな記録が役立つことは、ほとんどありません。貯金が1円単位で正確に分かるだけです(大学時代は鬼のように細かく管理してた僕の証言)。

収支の記録はもっと気楽で大丈夫。出入りだけをキッチリ押さえる形にして、あくまでも未来の意思決定のために家計簿を活用してみませんか?

本noteは以上ですが、より詳しい説明が欲しい方は遠慮なくコメントください。時間を見つけてお答えします!


かしこ

本記事を #Nサロン #WORDS文章教室 の最終課題として提出します。
以下の過去記事をリライトしました。


#curryengineering と称して出張カレー屋をやってます。サポートはレシピ開発費(食材費・名店調査費)として大切に使わせていただきます! スキを押したら、僕が好きなカレー屋が分かります。全10種類。