肉をくれ
安酒を飲みながら、図書館で借りた安西水丸さんの東京の大衆食堂を紹介したエッセイを読む。
こんな時間が心地よくて好きで愛しくて
自分らしくて?そんなん知らない。
けど、そんなもしかして自分らしい時間かもって最近やっと気づいた。
私は自分の家族以外と暮らした事がないな。
一人で暮らして10年になるんやもん、そりゃ心地のいい癖は体に染み込んでる。
水丸さんの展示を世田谷文学館で見て、時間もあるんで1時間半くらい歩いて帰った日。
久我山あたりでだだっぴろい素敵な公園に遭遇。
ここはいつか友達とこようと思った。
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その日は雨の予報。ウェザーニュース。
雨雲レーダーで確認しても小雨くらいは降るやろう。
でもニイさんはそんな合間を縫う晴れ女である。
久我山でニイさんと待ち合わせ。
神田川にはやはり前回見た時と同様に色ざやかな鯉が泳いでる。
私は「野性の鯉や!!!」と声を荒げる。
鯉が川におるというのは生態系がおかしくなると思い込んでる。
ニイさんは落ち着いている。実家の広島で飼ってた鯉の話をしてくれたり、
「あ、これ神田川なんだね」と言っていた。
短い探検をした感じ。竹藪がある。
到着したそのだだっぴろい公園は立地のせいか心地のいい風が通り抜ける。
少し高い位置にある遊具のところに行くとニイさんの髪がそよいだ。
風が通り過ぎたと思った。
公園にはいろんなお犬が散歩をしている。
私はどうしてもパグさんばかりを追ってしまう。
でも、パグさんはいない。
公園を後にして、富士見ヶ丘あたりをさらにぐるぐる散歩。
私は安酒を飲みながら友達と話をして散歩をしていろんな景色を見て、
それに付随する感情をおもしろがるから、そんな時間が大好きだ。
身の丈にあったもので遊ぶのが心地よくおもしろいと思う。
知らない街を歩く。
途中、未だかつて見た事がないくらい大きいサイズのいもむし?を見つけた。
車にひかれそうな場所を歩いてたのでニイさんと救出を試みた。
落ち葉で救おうとするニイさんにそのサイズの落ち葉では手につくからダメだと言って、私の持ってる傘で助けることにした。
なんとか植え込みの方に置いてやったら蟻にまみれそうになった。
私もニイさんもびっくりして、ごめんね!ごめんね!といった。
まぁ大丈夫そうでした。
そうしているうちに自転車に乗った女の子とお母さんがやってきて立ち止まった。
どうやらお母さんが虫好きらしい。少し話す。
いもむしは結局アスファルトに戻ろうした。
人間のおせっかいやったかい。
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歩いていつもの公園へ。
私は身の丈にあったものじゃないと幸せを感じいんじゃないかと思ったという
話をニイさんにした。
私は先日兵庫に帰省した際に但馬牛のステーキを両親にご馳走してもらったのやった。
それは3900円のステーキ。お店が忙しく長らく待ってお肉はやってきた。
お肉を食べた私はその値段とそのお肉の味が自分の中で釣り合わなかったのだ。
…。
申し訳なかった。
両親に「おいしい?」と聞かれて「うん…」と答えた。
それ以上いうと嘘になると思った。
自分の味覚というより人間性というか、
私なんかが美味しいお肉を食べてはいけないというか、
なんちゅーか冷やし中華…ごにょごにょ…
そんなことを思った。
とにかく自分と釣り合わずショックやったのだ。
その話をニイさんにするとケタケタ笑ってた。
写真を見せたら、「でもこれ東京で食べたら6000円くらいするよ!」と言われた。
この一言により私は救われたと思った。
だって東京やったら6000円のものが兵庫やったら4000円なんやったら
少し得をしたってことやもんね。その事実ひとつが救いになったの。
「え~そう言ってくれて救われた~」といったらニイさんはまた笑ってた。
2021年8月のあたまくらいの日記でした。
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