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外見補正アプリがヤバい件。

このところ、仕事でもプライベートでもオンラインで顔を合わせる機会が増えてきた、という人は多いと思います。

私は以前から人材評価の仕事もしており、先日も友人から中途採用についての採用方法について相談がありました。

彼女の勤務先は有名な企業。安定性、社会貢献など印象が良いことに加えてこのご時世ですから応募者が殺到し、まずはいわゆる足切りを行うところからの評価基準とその方法についての話となりました。

さて、本題はここから。

何回か面接して、最終的に一人を採用したという友人。1次はオンライン面接、2次からは実際に会ったとのこと。

そこでビックリの発言が。

『実際に会うと、「アレ? こんな顔だったっけ?」って人が結構いるんだよね』

仕事でもプライベートでもオンラインミーティングが増えてきた今日この頃、やはり実際に会わないと面倒だったり難しかったりすることがあると、私も実感しています。

そこで、「最近の就活は最初からオンラインで面接をするって、色々たいへんだなあ」と思っていました。私がこう言った後、友人が「今回も最初はオンライン面接をした」という話になり、そこで出たのがこの言葉です。ちなみに、正面からだけでなく、別の角度から見てもやはり顔が違ったとのこと。その違和感アリの応募者が一人や二人ではなかったそうです。

結局、彼女のところでは、そういった印象を持った人は次の面接に進めなかったそうです。別にそれが落とした直接の理由ではなかったとは言っていましたが。また、顔が違った原因のすべてが外見補正フィルターによるものとは限りませんが。

でも、限られた面接時間。最初に持たれた違和感が少しでも後を引くようでは、時間がもったいない。面接を受ける方も、100%の自己アピールができたとは言えないのではないでしょうか。

大量応募の書類審査を潜り抜け無事面接にたどりつき、緊張の1次面接をクリアしてさあこれから…!というときに、面接官から持たれる第一印象が「この人、こんな顔だったっけ?」では悲しすぎませんか?

「思ったより好感度が高かった」とのプラス評価とは違って、不信感にも似た「前回と顔が違う???」というマイナス地点からのスタート。できれば最初から、実物により近い映像からスタートした方がいいのではないかと思います。

そのうえで、照明の具合やカメラの角度のベストコンディションを整えて、話し方、表情などで良い印象を持たれるよう工夫をする。

あ、これはオンラインでなく実際に対面する面接とほぼ同じですね。


……などと私も偉そうなことを書いていますが、実はつい最近、初の仕事での初顔合わせをオンラインで行う際に、補正アプリを使おうと思っていたのでした。

でも、そのフィルターアプリを使用すると選択しただけで、何の設定もしていないうちから、かなり別人になります。これだけキレイなら余裕でOKでしょうとリラックスしていましたが、一方ではどうもコレジャナイ感がぬぐえず、もやもやしていました。

詐欺だとか道徳的なことは言いません。単純に、「実物とのギャップがあった時、リアルで顔合わせしたときに驚かれるのでは?」との疑問が付きまとっていただけです。

それが、今回の話で明確になりました。そして、「やっぱり補正アプリ使うのはやめよう」ときっぱりした判断となりました。私の場合はもう決定している仕事なので、不採用になるということは無いのですが、いずれ実際に会った時に「アレ?」などと思われるのは嫌ですからね。

というわけで、「アプリ使ったらこんなに別人になったんだよね~きゃはは」と笑いあえる仲なら問題ありませんが、それより少し距離のある人、実際に会う可能性がある人とはやめておいた方が無難といえましょう。

こういったものはどんどん感覚がマヒしていくもので、「補正後のキレイな自分」が本当の自分だと錯覚してくるようになってもおかしくありません。常に客観的に現実を把握できるようにしておきたいものです。

★★

私たち評価者としてそれなりに訓練を受けてきた者は、色々な観点から「評価軸」をブレないように持つことに慣れています。実際に会って顔が違うと思っても、内面や能力についての応募者への評価は、外見印象によって影響は受けないと言えると思います。

でも、一般企業の人事・総務の方々はそういったトレーニングを受けていない人がまだまだほとんどといってもいいと思います。評価をする立場にある人の「部下から受けた印象」や、「ふわっとした何か」を元にして昇進や昇給、採用が決まっていくことも多々目にしてきました。

実際に、大企業の新卒採用の現場で面接を終えた後に、人事部の方から「さっきの〇〇さんは、△△という理由で通したいんですけどいいでしょうか」という質問を受けたこともあります。その理由とは、私たちの見る評価基準とは全然違う点からの、ざっくりした内容でした。(たとえば、「体育会系だからガッツがありそう」、みたいな)

★★

外見による印象に左右されないためにも、映像補正はほどほどに、というお話です。

音声と映像だけではなかなか伝わりにくいところをなんとか伝える、捉える。そうか、たいへんなのは面接を受ける側だけでなく、面接を行う方も同じなんだ、と改めて気づかされた瞬間でした。

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