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【小説】ラヴァーズロック2世 #28「プレゼント」

あらすじ
憑依型アルバイト〈マイグ〉で問題を起こしてしまった少年ロック。
かれは、キンゼイ博士が校長を務めるスクールに転入することになるのだが、その条件として自立システムの常時解放を要求される。
転入初日、ロックは謎の美少女からエージェントになってほしいと依頼されるのだが……。

注意事項
※R-15「残酷描写有り」「暴力描写有り」「性描写有り」
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※連載中盤以降より有料とさせていただきますので、ご了承ください。


プレゼント


御者台にはふたりの女が座っている。

向かって左側、むっちりぷよぷよの二の腕で手綱を握っているのが、ブルーバードの母親。

息子に負けず劣らずの大女で、体を覆うグレンチェックのラシャワンピースはワンサイズ上の体型が隠せるタイプ。

色黒で眉毛は太く、低くかすれた野太い笑い声を前歯のない口から連射する。

本人は母親だと言い張っているが、息子のブルーバードには母親との思い出が全くないのだった。

右側に座る荷下ろし担当の姉は、母親より二回りほどデカく、ひっつめ髪にデニムのサルペットを着ている。

彼女のほうは母親とは対照的で、無口で無表情。姉との思い出も当然ながらないのだが、正直なところブルーバードにしてみれば、母親と姉というよりも、ただ単に食料を定期的に補充してくれるふたりの女であって、それ以上の価値は全く感じないのだった。

だから、彼女たちと自分は、はたして本当の家族なのだろうか、などと考えたことは一度もなかった。

そもそも、ブルーバードには過去の記憶がほとんどなく、昔どこで暮し、いつここにやって来て、何のためにこの仕事、荒れ地をパトロールするだけの仕事に就いているのかも、全くわかっていないのだから……。

「このチンポ野郎! 出ておいで!」

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