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今、再び、村上さん③

悲しいとき、迷ったとき、苦しいとき、
自然と浮かぶ村上さんの小説の言葉たち。

「でも可哀そうなお父さん。あんなに一生懸命働いて、店を手に入れて、借金を少しずつ返して、そのあげく結局は殆んど何も残らなかったのね。まるであぶくみたいに消えちゃったのね」
「君が残ってる」と僕は言った。
「私?」と緑は言っておかしそうに笑った。そして深く息を吸って吐きだした。「もう上に行きましょう。ここ寒いわ」
ノルウェイの森

わたしが思ってる以上に村上さんの作品の言葉たちがわたしの心や体に染みついている様子。
そのことによって救われるような、人生に深みが出たような、もしくは幸薄くなったような(ご無礼)。

緑とワタナベくんのこのやりとり、今まで何度も読んで、その都度心に響いたけど、彼らの年齢を優に超えた今、それまでとはまた違う風に響くような、変わらず同じように響くような。

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