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自分の勤めてるサロンで髪を切らない理由

美容師になる前は、美容師に行くのがとても楽しみだった。予約してから、美容室に着くまでも、時間通りに行かないと。とか。ちゃんと歯磨き忘れないように。とか。色々考えドキドキしながら行っていたな、と思う。

デザイナーをやっていた頃は、パソコンを長時間使うので目は酷使していたし、肩もバキバキにこっていて、髪を切ってもらっている時間に寝落ちすることもあったが、美容室の後は、それが楽になるから本当に不思議だ。ただ髪を切るだけの時間じゃなかったんだと感じる。

それがいざ、美容師になるとその体験がなくなることに気づく。髪を切ること、その他の技術もスタッフ同士で出来てしまうので、割とサクッと済ませてしまうことが多い。もちろんクオリティはそのままなので仕上がりは申し分ないのだが、どこか物足りない気持ちもあった。

家に帰るまでが美容室

物足りないのはなんなのか。を考えてみる。
技術は同じだけど違うのは、程良い緊張感なんだと思う。
緊張感のある中で家から美容室へ向かい、気の合う美容師さんと話しをし、髪を切って帰る、帰った後洗面台で髪型を確認する。

この流れが美容室なのかもしれない。緊張と緩和が生み出す心のリラクゼーションも大切な要素だ。

小学生の遠足も、前の日のワクワクして眠れない高揚感から、家に帰ってクタクタですぐ寝てしまうくらい楽しい思いをするのが遠足。
先生も、「家に帰るまでが遠足ですよ。」と言っていたが、まさに家に帰るまでがイベントなんだと思う。


外の世界を知ることの大切さ

美容師になって、この事に気づくまで、数年かかったが今では、月に一度必ず髪を切りに行く。もちろん社内で切る事を否定している訳ではない。社員同士で切ってもらえば、その時間は大切なコミュニケーションの時間になるし、新しい材料の実験にもなる。


ただ、世界はどんどん狭くなる。


デザイナーの頃との大きな違いは、外部の方との繋がりが全くないこと。美容室で働いていると、基本お客様が美容室に来てくれるので、自分達は美容室にいる事が多い。
取引先の方も美容室に来て頂くことが多い。
自分の足で外に出て、違う価値観や、違うフィールドにいる方とコミュニケーションをとることがほぼ皆無だ。

凝り固まった、小さな思考で無く、
もっと広い視野で、核をしっかりと捉えた思考で仕事をしたい。美容室に行くという小さなきっかけがやっぱり自分には大切なので、気の合う美容師さんのところへ髪を切りに行く。

思考の領域が、ヘアカタログやYouTubeで見て生まれたヘアスタイルと。

たくさんの体験や、情報を自分の足で感じた中から生まれたヘアスタイル。


自分は後者のヘアスタイルを創りたい。
やっぱり根はデザイナーで、自分で考えて、自分で手を動かして創りたい。
表現の領域が、空間から髪型へ変わってもデザインをする気持ちは忘れたくないし、毎日徹夜しながらデザインしたり、デザインの考え方を教えてくれた先輩や上司の大事な思いも表現したい。その思考と、今の美容室で学んだサービスの知識、職人の技術をかけ合わせたらどんな髪型が生まれるのだろうか。

その領域を表現したい。



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