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線引き

  発達しょうがい……いったい人のどこをどうみたら、その診断がつくのか…、線引きはどこにあるのか、時折そんな疑問を持つ社会生活だと思う。

テレビで見たこと。
 発達しょうがいと言われた男性が、自分の状態を公開していた。
 その男性は、図書館の受付係をしていた。返却期限の本を、引き続き借りたいと言った人に対して、返してくださいとして、頑として譲らない。
    私の最寄りの図書館では、予約している人がいない場合は、再貸出しをしてくれる。その図書館でもそのくらいのことはできそうだ。
 でもこの人は、簡単な臨機応変の方法が全くわからない様子だった。やり方などを教われば大丈夫なんだとは思うが、自分でちょっと考えればわかることが、わからないらしかった。

聞いた話。
 ある人が定年退職をして再就職を得て、はるかに年下の先輩に仕事を教わった。仕事は簡易なもので、勤務している人は70代ばかりであるが、その先輩だけなぜか30代。そう聞いただけで、ん? と思った。
 その先輩、教えるにあたり、仕事の全体像も位置づけも目的も理由もなく、1 これこれ、2 これこれ……とだーっと走った。とてもついていけるはずもなく、目的などを質問しても、わからない。さらに間違うと、馬鹿だとか覚えが悪いとか、表情がきらいだとか、罵倒を繰り返したと聞いた。
 これは辛いかも。仕事をいくつ変えたのだろう…。怒鳴られた年配には申し訳ないが、30代の方に同情してしまった。
 診断の話は聞いていないが、発達しょうがいのニオイがする。

 聞いた話+体験談。
 あるママさん。自分の子が強度アレルギー。そして汚部屋に住んでいる。
お子さんと同じ幼稚園のママ友さんとお子さん、遊びに来てと言われたが、汚部屋なので行きたくなかったそうだ。でもあまりにも何度も誘うので行った。それほど仲が良かったわけではなかったので、アレルギーのことなど知る由もない。
 そうしたら、ママ友さんたちが持参したお菓子の袋を、すべてひっくり返して表示を読み「これ、子どもが食べられないからいらない。持って帰って」とのたもうたそうだ。

 私の場合は、内容は忘れたが、苦手なことがうまくできないと、何気ない愚痴を言ったら「できないなんて、信じられない。理解できない」と言われて驚いた。せめて「そうなんだ~」くにらいにしてほしかった。
 それ以外にも、嫌だなと思うことをさんざん言われ、一時期悩んだ。ある友人にこぼしたら「小学生によくいるよ。発達していないんじゃないかな」と言われ、ストンと腑に落ちた私であった。

 仕事場で見た人 2連発
 周囲にへりくだり、ぺこぺこしていた人。ある買い物の場で、店員に対して横柄だったのでびっくりした。
 相手が営業だと知ったとたん、ドアを目の前でバタンと勢いよく閉めた年配。
 どちらも、私の過去には存在しなかった人間性で、記憶に残った。

 これらの人々は、線の上か下か?
一見びっくりする言動だけど、本人たちは健常者だと信じて疑わないだろう。
 自分の行動は棚や雲に上げて書いてきたが、自分も含め、みずからのすべてに線を引いた場合、なにもかもが健常に入るか? 
 実のところ、世の中の人は、多かれ少なかれ、線を引いたら何かのしょうがいと言われるものを持っているような気がする。
 気が付かないだけだ。
 
 テレビで見た男性は、自分のしょうがいを受容し、変化と成長を求めて努力していた。知り合いのママさんは、十数年の時を経て、だいぶ穏やかになった。仕事場で見た二人は、反省していればいいのだけど、どうかなあ…。

 自分を知ること、その努力をすること、そしてそれに基づいた行動を取ること、それってやっぱり素敵でかっこいい。

 


 
 
 

 
 
 


   
   

 


 

 
 
 
 

 
 

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