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「仕事と介護の両立支援、みんなが幸せになるために事業主が取るべき施策とは?」

社会保険労務士の山地です。

前回は介護に直面している従業員への一連の取り組みに付随して、ぜひ活用していただきたいツール「仕事と介護の両立支援 面談シート兼介護支援プラン」についてお話しました。

今回は仕事と介護の両立支援シリーズの最後になります。
「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」5つの取り組みの最後は「働き方改革」です。

働き方改革関連法が可決・成立してはや3年余り。日本はすでに人口減少期に入っています。2020年平均の労働力人口は6,868万人。2065年には3,946万人になると予測されています。

働く人が減るということは、これまでのように残業もいとわず長時間労働で勤務地も限定しない(転勤がある)ような働き方ができる人だけでは立ち行かなくなるということです。そうなると、これまでの正社員のあり方を見直さなければなりません。

これからの時代は育児・介護・病気の治療などなんらかの制約がありながらも働く人が増えていきます。高齢者や女性、障害のある人にも労働市場に参加してもらう必要があります。

従来の正社員のようになんの制約もない働き方を見直すことで、有効な人材活用を図っていくのです。


働き方改革の二本柱は次のとおりです。
1. 長時間労働の是正
→過重労働を防止し健康を守ってワーク・ライフ・バランスを実現できるようにする。

2.雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保 (同一労働同一賃金)
→正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差を解消し、どのような雇用形態であっても納得して働けるようにする。


仕事と介護の両立支援においては、特に1.長時間労働の是正が重要です。
具体的な取り組みは2点あります。

1.通常の働き方の見直し
すべての社員に「時間に制約がある」ことを前提として職場環境を整える必要があります。
介護する社員が遠慮せずに社内の両立支援制度を利用したり、職場で互いに助け合いサポートしあえる職場風土づくりが求められます。

また、どんな会社(職種)でも程度の差はあるにせよ、繁忙期や閑散期はあると思います。
問題なのは恒常的に残業がある職場です。無駄がないか、省略できることはないか、アウトソーシングできないか、など業務の効率化を図り日ごろの働き方を見直しましょう。

2.多様なニーズに即した柔軟な働き方の提供
育児と仕事の両立以上に介護と仕事の両立は、個別性が高いものです。介護保険をはじめとした利用可能な福祉サービスや介護に協力してくれる親族の有無などが異なるため、介護する人のニーズは様々です。

最低限、育児・介護休業法に則った両立支援制度を整えるのはもちろんですが、それ以上に介護している社員のニーズに合うような、労働時間(短時間勤務や始業時刻の繰り上げ、繰り下げ)や働く場所(在宅勤務の可否)など選択肢を増やすことが望まれます。

社員の抱える課題に理解を示し、寄り添い、その解決に努めることが生産性向上のカギを握ります。

投資すべきは「人」です。

社員が満足すれば顧客に提供する製品・サービスの質が向上し、顧客が満足することで業績(売上)が上がれば、経営者も満足できます。

みんなが満足できる、幸せになれる職場環境づくりにぜひ努めていただきたいと思います。(*^_^*)

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