「短時間正社員制度の導入(2)〜大事なのは「量」ではなく「質」」
社会保険労務士の山地です。
前回は短時間正社員制度を導入するための手順として、(1)短時間正社員制度導入の目的を明確にする、についてご説明しました。
今回は、(2)短時間正社員に対する役割(職務内容等)の検討についてご説明します。
役割を検討するためのポイントは次の3つです。
1.正社員に求める役割に応じた職務内容になっているか
→労働時間が短くても、正社員であることに変わりはありません。事業所は、フルタイム正社員と同じレベルの役割を期待しましょう。
2.職務内容等が社員のキャリア形成やスムーズな業務の遂行を考慮したものになっているか
→期待された役割を通じて短時間正社員がキャリア形成できるように、またフルタイム正社員への復帰を前提に職務内容を設定しましょう。
3.職務内容の「質」はフルタイム正社員と同等とし、勤務時間の短縮を考慮して「量」を調整しているか
→短時間になったからと言って、仕事の質を下げてしまったらモチベーションがダウンしてしまいます。
福祉や医療の現場では、短時間正社員であっても利用者や患者を受け持ち、介護記録や看護記録を作成してもらいます。但し労働時間が短縮される分、受け持つ利用者や患者の人数を減らしましょう。
短時間正社員に責任のある仕事を任せることが難しい場合は、本人の希望も考慮したうえで異動や配置転換を検討します。
管理職は短時間正社員が残業することなく、ちゃんと時間内に業務を終えているか、定期的に確認しましょう。
またフルタイム正社員から短時間正社員になったことで、他の社員に負荷がかかり過ぎないように、これを機会に職場全体の業務分担や仕事の進め方を見直しましょう。特に経験の浅い社員にワンランク上の仕事を担当させることができれば、人材育成にもつながります。
次回は、(3)短時間正職員制度の設計(適用事由、適用期間、労働時間)について、ご説明します。
出典:これで解決!人材確保と定着 「短時間正社員制度」導入・運用支援マニュアル(看護師・介護士・保育士) 厚生労働省
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