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「仕事と介護の両立支援、互いに支えあえる関係が必要です」

社会保険労務士の山地です。

前回は「4.介護に直面した従業員への支援」として、具体的に取り組むべき課題6つのうちの「2.企業の仕事と介護の両立支援制度の手続き等の周知」「3.働き方の調整」についてお話しました。


今回は残りの3つについてすべてご説明します。

4.職場内の理解の醸成
これは育児と同じです。仕事を休まなければいけなくなったり、遅刻・早退したり、短時間勤務をしながら介護をしようと思えば、やはり職場の理解が必須です。

介護をしている本人は日ごろから介護について職場で話し合えるような雰囲気があればいいですが、そうでないとなかなか言い出せない人もいます。

しかし、介護をしている事実をきちんと職場の人に理解してもらわないと、急に休むようなことが頻回にあったり、普段ならしないようなミスをしたりすると、あの人は仕事ができないと誤解されることになるかもしれません。

ですからきちんと事情を説明して、急に休むことがあっても周りの人に適切にサポートしてもらえるように、日ごろから自分の仕事の進捗状況を職場で共有するようにしましょう。

上司も介護と仕事が両立できるように支援していくことを部下に伝え、職場全体で介護している従業員を支えられるように協力を呼びかけることが求められます。


5.「上司や人事による継続的な心身の状態の確認」
介護をする期間は平均で4〜5年、長い人だと10年以上という人もいます。育児の場合は子どもが成長するにつれて少しずつ手が離れていきますが、介護の場合は一般的にそうではありません。

徐々に認知症が進んだり病気になるか、または持病が悪化するなどで一時的に入院したりすることもあり、要介護度が上がっていく(重くなる)というのは珍しいことではありません。

介護が長期化することで介護している従業員の心身の状態に変化がないか、上司や人事担当者は両立が困難な状態になっていないかを定期的に確認することが求められます。


6.社内外のネットワークづくり
介護をしている人同士で情報交換をしたり、悩みを打ち明けあったりできる場所があると介護している従業員の精神的な負担が軽減される可能性があります。

人事担当者にはぜひ社内にピア・サポーターを設置していただきたいと思います。ピアは英語のpeerで、仲間や同僚を意味する言葉です。同じ境遇の人同士であれば互いをより理解しあえます。現に今、介護している人でなくても介護の経験のある人でもいいでしょう。

小規模な会社ですとサポーターになれる人がいないかもしれません。その場合は社外のネットワークを活用しましょう。介護者の会や家族会などがあります。自治体や地域包括支援センター、またはケアマネージャーさんにたずねれば教えてもらえるでしょう。

人は独りでは生きられません。いろいろな人たちの手によって私たちの生活は支えられています。

介護は一般的には長期戦になりがちですが、みんなで協力し互いに支えあって乗り切りたいものです。o(^-^)o

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