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「仕事と介護の両立支援、制度設計はできていますか?」

社会保険労務士の山地です。

前回は従業員の仕事と介護の両立支援において、最初にやるべきこととして、今、介護しながら働いている従業員がいるのか、いないのか? またはこれから介護が始まりそうな人がいないか?について、アンケートを取って実態把握しましょうというお話でした。

今回は「2.制度設計・見直し」です。

アンケート結果を分析し、自社の両立支援制度について主に次の点を確認します。

1.法定基準を満たしているか

2.従業員に周知されているか

3.利用要件がわかりやすいか・利用手続きが煩雑でないか

4.従業員のニーズに対応しているか、などです。


1.「法定基準を満たしているか」

育児・介護休業法に定められている「介護休業」や「介護休暇」「短時間勤務」「所定外労働(残業)免除」などの両立支援制度が就業規則に定められているかを確認します。

最近の改正では、

子の看護休暇・介護休暇が「時間単位」で取得できるようになっています。(令和3年1月1日より)

両立支援制度は実際に利用する人が出てこないと人事担当者も知らないことがあります。

以下のページにわかりやすく解説されているので、参考にするとよいでしょう。

介護休業制度|厚生労働省 (mhlw.go.jp)


2.「従業員に周知されているか」

これは育児同様に非常に重要です。育休取得の実績があれば、人事担当者のみならず社内でも多くの人が知っています。介護も実績がないと、介護を理由に休暇を取ったり休業したりすることができるということがなかなか知られないという事態に陥りがちです。

知らないものは使えません。

介護にも両立支援制度があることを知らずに、従業員が退職を選択しないようにしっかり周知していきましょう。


3.「利用要件がわかりやすいか・利用手続きが煩雑でないか」

これがわかりにくい、面倒くさいと感じてしまうと利用が進みません。

例えば介護休業するのに法定通りであれば、従業員から「介護休業申出書」を提出してもらい、会社からは「介護休業取扱通知書」を交付する必要があります。

介護休業開始予定日及び介護休業終了予定日、休業期間中の給与や社会保険料、税金の取り扱い、復帰後の労働条件などを書面で通知します。

トラブル防止の観点からも省略できないので仕方ありませんが、法よりも手厚い独自の制度を設けている場合などは手続きについて確認、見直すのがよいでしょう。


4.「従業員のニーズに対応しているか」

これは実際に制度を利用する人が出てきてから対応しても遅くはないと思います。法定通りでも独自の制度でも利用してみないことには、どこがどう使いやすいのか、使いにくいのかわからないと思います。

最初から100点満点の制度はありません。利用する人の声を拾い集めて、少しずつ改善していきましょう。

介護はいつ始まるかわかりません。従業員からいつ相談に来られてもいいようにキチンと準備しておきましょう。o(^-^)o


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