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「仕事と介護の両立支援は一に周知、二に周知、三四がなくて五に周知です!」

社会保険労務士の山地です。

前回は「3.介護に直面する前の従業員への支援」として、

ある日突然親の介護が必要になって慌てなくてもいいように、従業員には充分な情報提供をし、教育しておく必要があること。

そして、具体的に取り組むべき課題6つのうちのひとつ、「1.仕事と介護の両立を企業が支援するという方針の周知」についてお話しました。

今日はその続きです。

「2.「介護に直面しても仕事を続ける」という意識の醸成」

会社として従業員の仕事と介護の両立を支援していくという方針を経営者自ら、周知することに加えて、ここでは従業員に親の介護の必要性に迫られても仕事を続けていくという意識づけが必要です。

親の介護をするなら仕事を続けるのはムリと思い、短絡的に「退職」を選択させないようにしなければいけません。

少し古いデータですが、平成25年1月に実施された「仕事と介護の両立に関する労働者調査」では、介護のための離職による影響度において

「非常に負担が増した」「負担が増した」を合わせると

・経済面では74.9%

・肉体面では56.6%

・精神面では64.9% になっています。

以前のブログ「介護を理由に仕事を辞めてはいけない理由」にも書いたのですが、この数字からも、介護のために仕事を辞めても決してラクにはならないことが読み取れます。


「3. 企業の仕事と介護の両立支援制度の周知」

両立支援制度の周知の重要性については前々回も書きました。ここでは周知の具体的な方法についてご紹介します。

両立支援制度については就業規則に記載され、明文化されていると思います。ただ、就業規則をなかなか従業員さんは読みません。正直なところ、就業規則で読んだことのある項目と言ったら、休日(休暇)や手当(給料)くらいでしょう。(笑)

就業規則は文字がぎっしりの状態でなかなかわかりにくいのですね。そこで、厚生労働省が周知のためのツールを提供しています。

「仕事と介護の両立準備ガイド」

事前の心構えの重要性や両立させるための必要なポイント、社内の相談窓口や両立支援制度を一覧表形式(Word)にしてわかりやすく記載(加工)できるようになっています。

「仕事と介護の両立セミナーテキスト」

社内研修用の資料としてパワーポイントで提供されています。上記の両立準備ガイドをより詳しく、わかりやすく、そして介護保険制度の概要についても学べるようになっています。

どちらも、「仕事と介護の両立支援 両立に向けての具体的ツール」で検索すると、厚生労働省のホームページが出てきますので、そこからダウンロードできます。

これらの情報提供や従業員の教育はその年度に40歳になる従業員を対象に行うといいと思います。「20歳になったら、国民年金」というキャッチコピーがありますが、「40歳になったら、介護保険」です。

40歳は介護保険料の天引きが始まる年齢ですから、給与明細書を見たらいつもより少ない!?ことに気が付きますね。そろそろ親の介護について考え始めるきっかけになります。

早め早めの情報提供と教育で退職を考える前に、仕事を続けることを考えてもらえるようにサポートしていただきたいと思います。o(^-^)o


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