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「親が若いから大丈夫はNG! そう思っている従業員をどう支援しますか?」

社会保険労務士の山地です。

前回は仕事と介護の両立支援において、自社の両立支援制度が

 法定基準を満たしているか?

 従業員に周知されているか?

 利用要件がわかりやすいか・利用手続きが煩雑でないか?

 従業員のニーズに対応しているか? 

など、制度設計と見直しをするというお話でした。


今回は、「3.介護に直面する前の従業員への支援」です。

介護に直面する前の従業員とは、次のような人たちです。

・今、介護はしていないけれど、そう遠くない将来、介護することになるかもしれない人。

・まだ親が40代くらいで若いため、介護なんてまだずっと先だと思っている人。

たとえ親が若くてまだずっと先だと思っている人であっても両立支援は必要です。

なぜなら介護は基本的に予測不能で、いつ始まるかわからないからです。

私が母の看病と介護のために仕事を辞めたのは35歳のときでした。当時は社会保険の「社」の字も知らず、親の介護なんて10年以上先のことだと思っていました。

私の従妹は38歳のとき、脳梗塞になりました。従妹には子どもが4人いて、当時高2を頭に一番下はまだ小学校にあがったばかりでした。

幸い後遺症もなく無事に回復しましたが、もし要介護状態になっていたら、子どもたちは「ヤングケアラー」になっていたかもしれません。

ある日突然親の介護が必要になって慌てなくてもいいように、従業員には充分な情報提供をし、教育しておく必要があります。


そこで以下の6点が取り組むべき課題になります。

1.仕事と介護の両立を企業が支援するという方針の周知

2.「介護に直面しても仕事を続ける」という意識の醸成

3.企業の仕事と介護の両立支援制度の周知

4.介護について話しやすい職場風土の醸成

5.介護が必要になった場合に相談すべき「地域の窓口」の周知

6.親や親族とコミュニケーションをはかっておく必要性のアピール


1.「仕事と介護の両立を企業が支援するという方針の周知」

育児の場合はおめでたいことであり、子育てしていることがわかれば自然と応援したい気持ちになる人も多いでしょう。介護の場合はこれから親の介護をします!と宣言する人はあまりいません。

職場に迷惑をかけてはいけないと、有給休暇を使いながら人知れず介護している人がどこの会社にもいるものです。そのような人だけでなく、従業員の大多数が将来親の介護の必要性に迫られます。

全従業員に対して、会社として従業員の仕事と介護の両立を支援していくという方針を経営者自ら、しっかり周知しましょう。

親の介護をするために仕事を休むことは恥ずかしいことではありません。

育児にしろ介護にしろ、働く人たちには家族があり、様々な事情を抱えている人もいます。育児同様、職場の理解なくして仕事と介護の両立はできません。

従業員の抱える事情に理解を示し、従業員に寄り添い、課題解決をサポートしていきましょう。

取り組むべき6つの課題を今回すべてお話すると長くなりますので、続きはまた次回に。(^_^;)

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