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扶養制度改革と税の一体改革の提案

鹿児島で社労士をしています原田です。

 扶養制度を実質上廃止しようとして最低賃金を上げ続ける政策が続いています。同時に経済成長を超える最低賃金の上昇幅は中小企業を圧迫するばかりではなく、社会保険の強制加入によって、実質賃金が下がる中、低所得層の可処分所得はそれ以上に減少し続けており、社会保障制度を維持するために、貧困層から巻き上げるという異様な状態になっています。

 これらの要因は「社会保障財政が厳しいから」と言われており、実際社会保障給付費の国庫負担は増大し続けています。

厚生労働省白書 社会保障給付費の推移より

 最も増加している福祉費の中身の多くは、実は子ども手当となっており、上記のグラフは国庫負担金の中身ですが、「社会保険制度」として、これよりも多くの社会保険料がこれらに充てられており、高齢者向けに年金・医療を支える予算と、子どもに使う予算のために、現役世代が負担をする造りになっています。

 これらの一番の問題は少子高齢化ですが、そう簡単に少子高齢化が改善できれば、誰も苦労などしていません。ただ現状で行われている急激な扶養外しは、少子化促進効果があるので立ち止まって考える必要があると思われます。

配偶者扶養制度を見直す

 そもそも配偶者の所得が130万円以下なら、社会保険料は無料という驚くべき優遇制度。
130万円に改定されたのは1993年で、最低賃金(加重平均)583円の時代です。この130万円も国会論戦で決着したもので、合理性があるものではありません。

提言1 130万円の引き上げ

 低所得層が困窮しない中で働けるよう、社会保険の扶養範囲を引き上げます。金額は最低賃金を基準として2024年は1054円なので、
(1054円÷583円)×130万円≒235万円

これぐらいが実勢に合っています。と同時に配偶者の所得2分の1要件を撤廃します(貧困共働き層への配慮)

 これでは主婦優遇政策だと非難する方もいるので、別途で徴収も定めます。それは被扶養配偶者がいる扶養配偶者が加入している方について、
「配偶者保険料」を徴収します。
その額は扶養者の標準報酬の2%(料率は再計算して調整の必要あり)

つまり月額30万円なら6000円、月額100万円なら2万円です。
賞与からも取ります。

 これは企業は給与から控除して支払いますが、会社負担分は無しにします。(会社負担を取ると、婚姻している人がいるだけで会社負担が増えるため、従業員の婚姻を歓迎しない構造を生む可能性があるからです)

 この扶養の範囲引き上げによって、子育てを中心として働きたい家族を支援する体制が構築できます。多様性の社会の中で、子育てに注力したい夫婦も尊重されるべきです。

 これは少子化対策の一環でもあり、また、住民税非課税枠や特別扶養控除の額を変更しなければ、扶養の範囲で稼ぐ人によっては税収も上がります。

提言2 福祉費用に充てる会社役員への増税

 怒る人がいるかもしれませんが、児童福祉や障害福祉の国庫負担が近年では最も増大しており、社会保障費の増大の最大の原因となっています。

 そもそも福祉政策は社会全体の問題であり、健康保険制度が支えること自体に合理性がありません。取りやすいからついでに取っているだけです。

 それらの費用負担を企業の社会的責任として、運営する法人役員から徴収する方法です。その額を2%(パーセンテージも検討の必要あり)とします。

 現在の上場企業の役員報酬平均額は3282万円で、役員数は4万人です。
これで年間260億円が財源となります。
対象はすべての法人なので、推計ですが上場企業と同額程度は集まると思われるため、520億円が財源として調達できます。

 同時に、社会的責任を負う全ての議員及び首長からも徴収します。
地方議員数は全国で32000人、国会議員と首長を足して約33000人が対象となります。これから60億円も追加財源となります。

 これらは、非常勤役員や国外在住の外国人役員からも「税」として徴収できるので、国内で収益を生んだことで生み出した役員報酬に対して、幅広く徴収できる手段となります。

反対意見がでるでしょう

 8割ぐらいは今日昨日の思い付きなので、反対される方もいるでしょう。
しかし現在の扶養制度を無くすためだけの最低賃金引上げや、社会の中で働くことより別のことを重視したい人の意思を無視して、130万円の枠を消せと言うよりもましではないかと思うのです。

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