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社労士との出会い

はじめての投稿で、私は前職が社労士事務所だったとお話しました。

社労士試験の受験を考えたこともなかった20代前半の若者が、なぜ社労士事務所の仕事を選んだのか。

私が『社労士』という仕事に出会ったきっかけは2つ。
今日はそんなお話です。



所得税ってこんなに高いっけ?


まだ19歳で専門学生だった頃、新しくできた個人経営の小さなジャズレストランでホール兼音響スタッフのアルバイトをしていました。

最初にもらった給与明細をみたときに、やけに手取り額が少ないと感じました。

今まで他でのバイト経験はあるので、計算の仕方は知らないけれど、だいたいこれくらい働いたらこれくらい差し引かれて手取りはこれくらいになる...という大まかな感覚は持っていました。

しかしなぜか所得税とやらが1万円近くも差し引かれている。
8万円くらいまでなら所得税ってかからなかったはずでは...?

疑問に思ったのは私だけではなく、他のスタッフ達もでした。
経理の方がよくお店にご飯を食べにきてくれるので、その時にみんなで聞いてみると...

みんなは雇用契約じゃなくて業務委託だからー
給与じゃなくて報酬という扱いになるのでー
計算方法が違うんですよー

確定申告したらある程度は戻ってきますから時期になったら忘れずにやってくださいねー


無知な学生アルバイトの私たちの頭の中は、

 ?  ?  ?
ナ 二 ソ レ ?

採用時に契約書をもらったわけでもないし、
業務委託とか聞いてないしなんだかよく分からないけど、まぁそういうものなのかなと納得したのでした。

さすがに貧乏学生にとっては積み重なると額も大きいので、
3月になり仕方なく激混みの税務署へ行き、職員の方に教えてもらいながら人生で初めての確定申告。

その時に、
「私は税金のこととか、給与のこととか、本当に何にも知らない世間知らずだな」と感じました。

少し前に簿記3級にハマっていたこともあり、
こういうことをちょっと勉強してみたいなと思い、軽くネットで調べてみると、

雇用契約と業務委託の違い
所得税の甲欄と乙欄とは
年末調整と確定申告の違い

などなど、色々と社労士や税理士の先生方が書いたWEBページが出てきますが、当時は読んでもイマイチよく分かりませんでした。(ごめんなさい)

しかしその時に、初めて『社労士』という仕事を認識しました。

本屋さんの資格コーナーではよく見かける名前ですが、こういう感じのことをしている仕事なのかとふんわり思ったのです。


はじめての労働審判


その後卒業して初めての会社に就職するわけですが、
今思い返してもなかなかのブラック企業でした。

小さな会社なので、まだ若い社長のワンマン経営。
社長の気分次第で次々とターゲットが変わり、
仕事ができない人認定を受けると、攻撃されます。
耐えきれずどんどん人が辞めていきます。

みんな辞めていくから私は1人で何人分もの仕事を抱える羽目になり、

朝6時に一番に出社してすぐに仕事開始

一切休憩無しで仕事をして、21時半頃にようやく休憩でコーヒーを1杯飲む

そこからすぐ夜中0時頃までまた仕事

帰宅してご飯を食べて寝るのは深夜2時頃。
また朝6時には会社へ。

それを月曜〜土曜まで毎日繰り返す。
唯一の休みは日曜だけ。

若かったからこそなんとか耐えていましたが、もう過労死寸前。
でもそうしないと仕事が次々溜まっていって終わらないのです。

業務ごとにPCが分かれていたため、
空席だらけのオフィスで机5台とPC5台を1人で横移動しながら鬼の形相で休みなく仕事をしていたので、千手観音くらい手が欲しい気持ちでした。

猫の手も借りたいくらい忙しい。
100本くらい手が欲しい。


そんな中、会社宛に元従業員から労働審判の書類が届く。

泣きたいくらい忙しいのになぜか私だけが一緒に弁護士事務所や裁判所に連れて行かされ、陳述書も作らされ、審判の当日も同席しました。

頑張って作成した陳述書の内容を弁護士の先生に確認していただくのですが、
「大変簡潔かつ丁寧に作成できてますので、手直しの必要は全くありません。本当にまだ20歳なのですか?」と冗談半分で驚かれたりもしました。
(今思えば貴重な経験になりました)


その打ち合わせの中で、
解雇のルールや労働基準法については社労士の先生がとても丁寧に説明してくれました。

「私の働き方もだし、この会社は労働基準法違反ばかりじゃないか...?」と頭の中で思いながらも、

『社労士』という仕事は、労働に関する専門家なんだなと、やっとその時にしっかりと認識しました。


社労士事務所の求人を発見


ブラック企業で1年半耐えましたが、さすがに身体が限界を迎えていたため、21歳でついに転職を考え始めます。

希望のエリアに、珍しく社労士事務所の求人を発見。

例の『社労士』に関する仕事だ!と思い、
しかも前にちょうど勉強したいと思っていた給与計算をメインとするスタッフの募集。

1名の枠に経験者の方の応募がたくさんあったと後から聞いたのですが、
なぜか全く未経験の私を採用していただき、給与計算のみならず色々なことを学びました。


社労士事務所はブラック
だとよく聞きますが、私のいた事務所は全くそんなことはなく、
お給料も年齢にしては十分で、
優秀な先生がたくさんいて不明点は優しく教えてくださり、とても平和でした。

顧問先の給与や個人情報を扱うミスの許されない仕事のため、当然業務を行う上での緊張はありますが、
仕事に関しては責任感が強いタイプですし、顧問先とのやり取りや細かい業務も得意なので、やりがいを感じて楽しく従事していました。

何より前の会社の労働環境が酷すぎたので、
ちゃんとお昼に労働から解放されてご飯が食べられる幸せ、15時になったらオヤツがでてくる幸せ、適正な業務量である幸せ、定時で帰れる幸せ...
改めてそのありがたみも感じていたのです。


振り返ると私の人生にとって『社労士』との出会いは大きなものだったなと思います。

入所してしばらくしてから、事務所の先生の繋がりで夫と出会います。
出会った時から夫はすでに社労士で、社労士法人に勤めて顧問先もたくさん抱えていて、デキる人オーラに満ち溢れていました。

今ではすっかり貫禄あるベテランの開業社労士になっていますが、
よく考えたら、当時夫はまだ社労士5年目くらい。
でも貫禄はその頃からありましたね。

果たして私は5年後、同じようになれているのでしょうか。

負けないように、日々修行に励みたいと思います。


最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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