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音楽の話をしよう②


こんばんは。
前回の続きです。

今回さらにマニアックなお話になりますが、ご興味ある方は引き続きお付き合いください。


ミキシングとは

ミキシング (Mixing) とは、多チャンネルの音源をもとに、ミキシング・コンソールを用いて音声トラックのバランス、音色、定位(モノラルの場合を除く)などをつくりだす作業である。元のチャンネル数から少ないトラックに移行させるため、同義語としてトラック・ダウンとも呼ばれる。

Wikipediaより引用

マイクもいろいろ

ライブなどの現場において、
スピーカーから音を出力するために、
まずは音を電気信号に変える必要があり、
そのためにマイクを使います。

音響現場では様々な種類のマイクがあり、
マイクの特性を考え最適なマイクを選びます。

ボーカルやコーラスマイクはもちろん、
ドラムも1つ1つの太鼓やシンバル等に対してそれぞれマイクを使います。
つまりステージセッティングが終わると、マイクやケーブルだらけになります。

それらの信号を、1本1本ケーブルを通じてミキシング・コンソール(ミキサー卓)という大きな機材に、素材ごとにチャンネルを分けて集めます。

ミキサー卓にツマミやフェーダーが大量にあるのはこのためです。

さあ、ここから楽しい料理の始まりです。


ミキシングは料理に似ているかも


ミキサー卓に集められた音の素材は、
どれもバラバラ。

強く叩くドラムは音が大きいし、
声が小さいボーカルは聞こえない。

マイクの位置や立て方によっても音が変わるので、セッティングがとても重要です。

それらの素材を、ミキサー卓で1つ1つ調理していきます。

ゲインで小さな音を一定レベルに増幅したり、
コンプレッサーで音を圧縮したり、
イコライザーで周波数を変えて聴きやすくしたり、
エフェクターを使って音を加工したり...と
いろんな機材を経由して独自の味付け(=音作り)をします。

音の位置(定位)を素材ごとに左右に微調整しながら振り分けることで、音に広がりも生まれます。
(普段イヤホンで音楽を聴いてる時に、
右から左へ音が流れる曲があったりすると思いますが、あんな風に音の位置を変えることができます。)

個人的に最も楽しいのはドラムの音作り。
ドラムだけでマイクを10本近く使うので、とてもやりがいがあります。

ミキシングはある程度セオリーがありますが、
完璧な正解などはありませんので、
エンジニアによって個性があります。

現場で先輩のセッティングを見て学んだり、
あとは自分が美味しいと思うように調理していきます。とにかく経験とセンス。

とは言っても、PAだけが音作りをするわけではなく、あくまでメインは演者。
結局は素材が全てです。

どんな音を出したいのか、コミュニケーションをとりながら作業していく。
一緒に作り上げていくイメージです。

難しいスピーカーチューニング


家で音楽を聴く時スピーカーは左右1つずつが多いと思いますが、
ライブハウスになるとメインスピーカーもたくさんあり、低音・中音・高音など音域ごとに独立して分かれています。
ライブハウスでは常設していますが、
外現場だととても重いスピーカーを設置するところから始まります。
女性にはなかなか辛く、腰も痛めます。

スピーカー自体にも周波数特性があり、
素のままでは特定の周波数だけが大きく聞こえたりとバラつきがあります。
せっかくミキサー卓等で繊細に仕上げた音作りも、最終的にお客さんに届けるスピーカー自体に音のクセがあったら、グチャグチャになってしまいます。

なのでスピーカーチューニングで、
スピーカーの周波数特性に合わせてグラフィックイコライザーという機材で調整し、不要な部分を削ってできるだけフラットな状態にしておきます。

これが結構難しく、
楽器も音叉を使い耳でチューニングしたりしますが、
高周波数から低周波数まで全てチェックしていくため感覚を掴むまで難しく感じます。

音を扱う仕事なので、耳がいちばんの商売道具です。

「チェックチェック、ワンツー、ツー」

などと独特の声で舌打ちの音を鳴らしたりながら、
音響さんがライブの前にマイクを持ってリハーサルしている姿をフェスなどでみたことがある方もいるかと思いますが、

あれは機材の配線ミスがないかなどチェックを行ったり、
自分の声で様々な帯域の周波数を出し、チューニングをしたりしています。

また、スピーカーチューニングはハウリング防止のための大切な作業でもあります。
本番でハウリングを起こしたら、最悪ですからね。

ある程度フラットになったと思ったら、
音源を鳴らして確認します。

ちなみに、PA現場でのサウンドチェック音源の定番といえばこちら。(私調べ)

色んな周波数の音があるので、チェックに最適なんだそう。

毎回同じ曲を使うことで、慣れ親しんだ音でスピーカーの具合を確かめます。
自分も含め私が出会ったPAさん全員がなぜかこの曲を使っていました。
これが流れると、とりあえず一通り仕込み完了の合図です。

このアルバム自体名盤ですし、普通に曲としてかっこいいので、今でも私はよく聴きます。

全体的なバランスを調整


そしてリハーサルに入り、
各素材の調理が終わったら、
最終的に全体のバランスをとっていきます。

ステージの中と外では聴こえる音が違うので、
ステージの演者の足元にモニタースピーカーを置いてあります。
そこから聴こえる中音のバランスは、演者のリクエストに答えて調整したりします。
リハ中にPAもステージの中に入って、中音の聴こえ具合を確認します。

お客さんに届ける大切な外音については、
ミキサー卓のヘッドホンで聴いた場合と、
メインスピーカーから聴いた場合とを自分の耳で色々聴き比べて調整します。

リハーサル時にはお客さんがいませんが、
たくさん人が入ると音を吸収することも考えます。

好きなアーティストのライブにいくと、
近くで観たいので一番前に行きたくなりますが、

ライブやコンサート時において、
音を楽しむ基準で考えた場合、
最も良い音で聴くことが出来るのは、PAブースの直前の席だと言われたりします。

PAは、だいたいステージの正面センター、少し後方あたりの全体を見渡せる位置にミキサー卓など大きな機材を並べて鎮座しています。
照明卓とセットで並んでいたりもします。

会場によっては異なりますし、
どの場所でも均一に聴こえるようリハの時から客席の色んな場所へ移動して音を聴き、
きっちり仕上げるのがプロの仕事なので必ずしもそうとは言い切れません。

でも結局私はいつもPAブースの前で聴きます。
PAさんのお仕事もみたいからですけどね。


卒業後は趣味として楽しむ


様々な現場に入り、
アマチュア向けのライブハウスや小さなジャズレストランで音響をしてきた学生時代ですが、
卒業後は全く別の道に進みます。

こんなに長々と熱く語っておいて、なんでだよ?

と思われるかもしれませんが、自分でもそう思います。

人脈は広がっており、
ありがたいことにFMラジオの音響会社やライブハウスからお声がけをいただいていました。

ただ、自分の中で悩んでいた時期でもあります。
好きなことを仕事にする難しさ。

このままこの道で自分は本当に一生やっていけるのか。
潰しがきかなくなるけどどうするか。

低賃金、重労働、長時間拘束、昼夜逆転、男社会、身分不安定...

※あくまで私の経験です。

何も考えずただ憧れだけで目指してきたけど、
現実に目を向けると不安になりました。

両親が『進路は自分で考えなさい』とのスタンスだったのをいいことに、
進路相談で大学進学を強く薦める担任の意見を頑固に拒否し、
自分の希望でこの道に進学したのに本当に申し訳ないけれども、

やはり一般的な土日祝休みの会社に就職して、
仕事は仕事として頑張って、
音楽は趣味として楽しんだ方がいいのではないか...という考えに最終的には至りました。

今思えば、まだ若いから少しくらい寄り道してもなんとかなっただろうし、
潰しが効かないわけでもないのだからまず一度はチャレンジしてみればよかったのに...とも思いますが。

まぁギリギリまで悩んでその選択をしたことで、焦ってブラック企業を選んでしまってからの今があります。

↓ブラック企業のお話はこちら。

これはこれで、結果としてはよかったですね。
この選択がなければ、きっと社労士の仕事には出会えませんでしたから。

音楽が好きな事に変わりはありませんので、
現在は趣味として音楽を楽しんでいます。

子供が産まれてからはなかなかライブにも行けなくなりましたが、
DTMで自分が好きな曲を1人バンドでレコーディングしたり、ミキシングして遊んでます。

誰に聞かせるわけでもない、ただの自己満足ですが、とても楽しいです。

これからも音楽はずっと私の心の支えになってくれることでしょう。

小さな趣味部屋。
極力お金をかけずに楽しんでいます。

今回色々と振り返る事で、懐かしい気持ちを思い出すことができました。

長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。

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