仕事が出来ない。

 私は仕事ができない。そもそもやる気がない。
 なまじっか給料の良い会社に勤めているため辞める気はない。会社にとってはいい迷惑な癌社員である。
 どれくらい仕事ができないかというと、まず書類のミスが多い。自分で言うのもアレだが、誤字脱字が多い。これは対策がある。ある程度確かめたら、「ま、いっか」と思い切って提出する。そしたらほぼ100%の確率で怒られるが、みんなミスを見つけてくれるので、そこを修正すればよい。
 我ながら天才である。
 また私は失読症かと言うくらい、文章を読むのが苦手である。
 仕事がら、論文を読むことが多い。論文から必要な情報をさがしだすのである。
 文章を読むのが苦手な私が、小難しい、長い文書から目的の文面を読み解けるはずがない。
 お目当ての文章が見つからず、上司に「これ、書いてないですよ」と、不機嫌そうに文書を手渡すと、上司はいつも「ここに書いてあるやんけ」と教えてくれる。
 私が確認した時は書かれてなかった文章が、なぜか上司が読むと浮かび上がるのである。
 炙り出しかと思うほど不思議な現象である。
 これに関しては対処法がない。私はパソコンのctr+Fで思い当たる関連単語を、ダダダダダ!!とひたすら打ち続ける。そして10分後には「うん、やっぱ書いてない。やりきった」と満ち満ちた気持ちになると同時に窮地に追い込まれる。
 こう言う時はもう諦めるしかない。後は上司任せである。
 そんな私ではあるが、英語は得意である。会話、チャット、メールで正直困ったことはない。
 英語の会話など、現地の人間しか言い得ないような単語をひけらかし、日本語を話す時よりも大きな声で自慢げに話をする。
 しかし単語力はなく、ほぼ相槌が全体の大半を占めている。
 うまく周りを騙しているのである。
 他の英語ペラペラの社員の前では急に静かになる。英語力がバレることがこわいからだ。
 こうやって虚勢を張って生きてきたから成長してないのであろう。
 若い衆に言いたい。
 虚勢は張るな。お前の成長を止めるぞ。
 虚勢を張るなら、給料のいい会社に入れ。そしたら特に何もしなくても金はもらえる。怒られても生きていける、と。
 私は、後者を取って、のらりくらりと残りの人生を歩んでいきたい。
 

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