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アラサージブリ考察「君たちはどう生きるか」

昨晩は気になっていたジブリの新作映画「君たちはどう生きるか」を観に行きました。タイトルだけを見て
・あの本と同じタイトルだけどどんなストーリー?
・映画をみた後はどんな複雑な気持ちになるのだろう
が期待ポイントでした。映画自体は割と予測しやすく、心の温かくなるようなヒューマンドラマのようなもので、過去の世界戦争時代を背景にしていながらも明るい映画で気持ちよく帰れた映画でした。

アート作品を長く眺められるのは画家さんが「これはどういう意図で?」などの読み解くための問いをするからですよね。この映画もそのようなアート作品としてシーンにおける意図・目的・キーワードを、30代で、会社員で、エンジニアで、ジブリで日本語の勉強をした外国人で、女性で、ジブリファンである自分視点で自分に問いながら解釈したアナリーゼを書いてみました。(正解は監督さんにしかわからないですが)

ーーーーー映画のネタ注意ーーーーー

「鳥」

脱毛症の青サギと幸運を持たらす青い鳥

個人的には映画の序盤の青サギと後半の青サギは大分イメージが異なります。主人公の眞人が蛙まみれになる序盤までは「覗くド変態・恐怖な魔法使いのような存在」だったのですが、後半では主人公たちを責任感を持って助けていたので「アオサギスーツの力を借りたお節介おじさん」と大分キャラがドラえもん化しました。

青い鳥といえばですが、本「The Blue Bird」の青い鳥には「幸運(探し望むもの)はすぐ側にある」という意味があります。映画ポスターが青サギがクローズアップされていること、映画後半でヒミのカミングアウトのストーリーを考えると「探し求めているものはすぐ側にあった」ともその意味でも繋げられるかとも思いました。

映画に登場する青サギは脱毛症かと思うくらい、映画の序盤から中盤に入るために入手しないといけないアイテム「青サギの羽」を撒き散らすのです。この青サギの羽が落ちやすくしたのも、この青サギの羽で作った弓矢が勝手に青サギをロックオン攻撃したのはの「大叔父さんの意思」だと思っています。

鳥のフンも様々なシーンで複数登場するので、何かの意味を持っていると思ったのです。青サギが窓側で追い払われた際に青サギが窓際に残したフン、最後に異世界が崩壊する際にインコたちがお父さんとナツコさんたちに降らしたフンがその例ですが、

「たつ」

積み木で「たち上げた世界」の崩壊

現実世界は戦争中の日本ですが、積み木で作り上げた大叔父さんの世界が洋風であるのは大叔父さんの生まれ育ったのが西洋だから。きっと眞人が世界を作ったとしたら、和風な世界になるのでしょうね。

この大叔父さんを宮崎駿・ジブリ自身なのでは?と思ったのは私だけではないと思います。
大叔父が眞人を世界に誘導した張本人とも考えるのですが、
・大叔父さん自分はもう老衰しているためこの世界から引退したい
・眞人ならもっといい世界が作れると思う
この気持ちが両立したのだと勝手に思っていました。ジブリのアニメーションの「ストーリーと世界観づくり」がまさにこの世界観を引き継ぐ人が決まってはいないものの、後を継ぐ人がいるとしたらきっとまたいい作品が作れるだろうと思ったのではないでしょうか。産屋で生まれる弟の後継のできる子になるので、大叔父さんの異世界では石たちや紙モビルもナツコの妨害を嫌っていたのだと思います。

自分が持っている3つのブロックから1つを選ばせて、自分の世界を積み上げろとしていたのに、眞人はそれを望んでおらず、それでもいつの間にかズボンのポケットに1つのブロックが入っていたのは
・ブロック
=大叔父さんの世界を構成するパーツであり
=大叔父さんの異世界からの唯一な遺産
=宮崎駿さんの残す「作品」や「ジブリ」
とも考えることができると思いました。

ブロックを積み上げるのはブロックを一つずつ、立たせること。そう考えると漢字の「立つ」と「建つ」は同じ発音ですよね。

宮崎駿さんの名前の記述が「宮崎」→「宮﨑」

サキの「大」が「立」に変わってポスターに記載されていますよね。
この映画とは違う作品ですが「風立ちぬ」も「立つ(たつ)」の漢字が入りますよね。何かのヒントなのでしょうかね。

「見守り、お守り、守り人たち」

全員主人公を見守って助けてくれる人々たち

小学生の眞人には母がいらっしゃらないのですが、それでも周りの皆んなは主人公がピンチの時には必ず表れて助けてくれることが、必ず見守っている人がいる世界。タイミングが良すぎてるのでやっぱり「大叔父さんの大孫への気持ち」を否定することができません。

そして「お守り」=「人たち」という「結局、人だよ」という描写のように受け取れたのは「子供(眞人、ヒミ、あわあわ)の無事を願う」家族(大叔父さん)、友達(青サギ)、使用人たちの優しい心にあるので単純に家族愛の枠を超えたと考えました。

・青サギから眞人を守ってくれたナツコさん
(・学校の帰り道で喧嘩をしたら仇を打ってやると味方になるお父さん)
・自分は入りたくないが眞人が入る塔に嫌々入ってしまったキリコさん
・ペリカンから眞人を守ってくれた青サギの羽のかけら
・ペリカンを追い払ってくれた若いキリコさん
・異世界でもババたちの人形
・キリコさん人形のお守りをくれた若いキリコさん
・インコたちから眞人を助けてくれたヒミ
・異世界に入っている眞人にこの世界から出ていくようにいうナツコさん
・インコから眞人を助けてくれた青サギ
・異世界の崩壊時に最後まで脱出を誘導した青サギ
・行方不明になった息子と妻を探すお父さん

こうした予知夢を見るようにしてくれたのも、ヒミがちょうど良いタイミングに現れて眞人を助けられたのも、大叔父さんのいる世界で大孫が求められていて、大叔父さんがそっと助けているのだろうと想像します。

今までのジブリ作品の要素が溶け込んでいる世界

ジブリで日本語を勉強しながらほぼ全作品を繰り返して何度も観ているので、この「君たちはどう生きるか」のさまざまなシーンや設定、例えば
・「千と千尋の神隠し」の「湯や」の外壁のような塔の外壁
・「もののけ姫」のように捌くお魚
・「となりのトトロ」のように母は入院中の設定
・「となりのトトロ」のトトロの道のような塔までの道と森
・「千と千尋の神隠し」のように水の上にポツンとある建物のシーン
・「ハウルの動く城」のような自空間を移動できるドア
・「魔女の宅急便」のようなジブリ飯
・オウムのような飛行機パーツ
・「天空のラピュータ」のように浮いている巨大石
などからジブリの世界観の集結したと感じました。きっと、他のジブリファンの方々もそうであると考えます。

ジブリの優性DNA、ジブリあるある

今回の作品にも当てはまるようなジブリのあるあるDNA(世界観の好み)を並べてみました。

・男子主人公の性格は真剣(シリアス)、静か、正義感に溢れる、良い育ちをした良い子
・主人公を違う世界へ導く動物
・結婚する相手は金持ち美人熟女:「紅の豚」ジーナと「風立ちぬ」ナホコさんを足して2で割ったようなナツコさん
・ありきたりのジャムパンでも特別で美味しそうに描かれるジブリ飯
・お婆さんは大概鼻が大きく曲がったディズニーのワル魔女の鼻
・どこかしらで戦争をしている時代背景
・主人公のお引っ越し。生活は続く。(サツキ、キキ、千尋、…)

単純に印象に残ったもの

日本の過去の時代も溶け込んでいて、眞人は最初感情表現が固く良い子すぎて、それに対比してこの映画では父上がお笑いキャラなのか?と思うくらい一度も時間移動をしていない父上のセリフが現代人の私にとっては余計に面白かったです。

ツボったのはお父さんの3つのセリフ。

父上「学校にはダットサンで送ってやるよ」

映画「君たちはどう生きるか」

ダットサンの時代か〜日産自動車さんの展示で見たことあるあの「DATSUN」ね!というか、学校初日から車で投稿とかめちゃ目立つじゃん…

父上「学校には300円寄付してやった(ドヤ)」

3 coins… (戦争中だしきっと当時は偉い金額だろうけど)
お金で解決する方法が一番簡単だもんね

父上「眞人がセキセイインコになっちまった」

🙋‍♂️🦜🦜🦜🦜🦜🦜💩💩💩💩💩

新作ジブリ飯「パン+バター+ジャム」

この映画で登場したヒミが焼いたパンにバターとジャムをこれでもかと思うくらい盛れたバタージャムパンが食べたくて、翌日はブランチに食べました。ヒミの手作りなのかジャム瓶には「TOM??」のような文字が書かれてあったので、トマトジャムなのか?と思ったのですが、トマトピューレの気分ではなかったのでいちごジャムにしました。

このバタージャムパンを作る際のおすすめですが、
・バターは常温で20分以上置くと映画のように塗りやすいです。
・ジャムをたくさん乗せるので甘さ控えめの「アヲハタ まるごと果実 いちご」がおすすめです。


ポジティブな気分になる映画なので、皆さんもぜひ観覧いただき、追加・異なる解釈があれば是非教えてください。


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