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「普通」の大学生が「普通」を活かしてメディアの仕事をした話 【#これを語って入社しました 番外編】

採用面接でスキを語った社員の回顧録である、#これを語って入社しましたシリーズ。
ラブライブ、さだまさし、中日ドラゴンズ、特撮ヒーロー、ライブ等々、これまで数多くのエピソードをご紹介してきました。

そうはいっても、そこまで熱量高いスキはない!と悩んでいる就活生の方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、自身を「普通」の大学生だったと振り返る入社13年目社員・Yさんが、「普通」を活かしてメディアの仕事に取り組んだエピソードを番外編としてご紹介します。


#これを語って入社しました
というお題をいただき、書かせていただいています。

入社13年目で現在は主にエンタメ・野球のPRの仕事をしています。
「入社しました」と言ってももうだいぶ前のことでして、さらに私は「これを語って」という、人前で語れるほどのものを持ち合わせた面白い学生ではなく、部活動とバイトを頑張っていただけの「普通」の大学生でした。

他の社員の記事を読んでいると、本当にそれぞれ素敵な語れるものがあって、就活生の頃の自分が「趣味・特技」の欄を埋めるのに大変苦労したことを思い出し、羨ましく思います。
熱く語れる何かを持っている人というのは「特別」だなと思います。
趣味の一つもない私にとっては今も昔も「憧れ」でもあります。
でも私のように、趣味を聞かれても困る、人に語れるものなんてない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
取り立てて人より秀でているものはないけれど、メディアの仕事には興味がある、でもきっと、もっとクリエイティブな人でないと出来ないんだろうな、と漠然と自信を持てない方もいるかもしれません。

本来であれば、入社時に何を語ったのか、その熱意と愛情をお伝えする場ではありますが、私は「特別」ではなかったので、今回はそんな「普通」な私が制作部へ配属され、番組制作というかなり特殊な現場に携わる中で気がついた、普通という特性の活かし方について書いてみようと思います。
昔からTVが好きだったとか、アニメや漫画が大好きでとか、そういった傾向は全くなく、スカパー!を志望したのも、ただ単純に当時は珍しかった「多チャンネル放送」というビジネスモデルに興味が湧いたからでした。
どちらかというとTVより映画、漫画より小説、出来れば家でゆっくり過ごしたいタイプ、世間一般の”メディアの人”のイメージとは真逆の性格で、面接時もこれといった強みもないので『とにかく笑顔でハキハキ喋る』その一点突破で入社いたしました。

それなのに。
なぜか4年目になるタイミングで、番組制作部へ異動。
ここは皆さんの想像するいわゆるテレビの現場であります。
BSスカパーというチャンネルを刷新するタイミングで、各部署から精鋭たちが集められ、明治維新のような、新しい時代が来るぞ!自分が何かを成し遂げてやる!という勢いのある集団の中で、益々こんな取り柄のない私の居場所ではないなと、不安でいっぱいの始まりであったことを覚えています。
BAZOOKA!!!、ダラケ!、ダメ絶対、モノクラ〜ベ、FULL CHORUS、高校生ラップ選手権、破門、アカギ…
皆さんもお聞きになったことがある番組があるかもしれません。
地上波ではNGとされていた題材を扱った、スカパーらしさ満点の放送ギリギリコンテンツを次々と生み出していた時代です。
これらの現場にAP(アシスタントプロデューサー)として加入し、先輩についてあらゆる会議・現場に出向き、一つずつ仕事を覚えていきました。
どこへ行っても、普段の生活でお目にかかれるようなお相手との仕事はなく、どの現場も緊張感でヒリヒリしていました。(内容はぜひ検索してみてください)

とある現場のリハーサル風景

そんな環境に刺激され、とにかく変わった企画を考えなくては、注目されるような仕事をしなければ、そのためには「特別」でなければ。そんな焦りを払拭するために、派手な髪色にしてみたり、おかしな発言をしてみたり、何かと目立つように振る舞うものの空回り。「特別」というよりも「特殊」な若手の誕生です。
現場で先輩のように振る舞っても、当時20代の私が向き合っていたのは40歳を超えるベテランたち。相手にもされず仕事もうまく回りませんでした。
それならなんでもいいからとにかく何かに詳しい人になろうと、趣味探しにもたくさんの時間をかけました。世界中旅をしてみたり、日本中のフェスに行ってみたり、映画をたくさん観てみたり、写真を撮ったり、野菜を育てたり、飲み歩いたり…なんでも良いから何かを熱く語れる魅力的な人にならなければ。そんな思いとは裏腹に、何をやってもそれほどハマることはなく、私は元の私のままでした。

写真を撮ってみたり
宇宙について勉強したり

そのうち頑張って「特別」になることにも疲れてきて、もう普通のままでいいやと、自分のできることをコツコツと、派手じゃないけれど裏方の細かい仕事を丁寧に、そして人の言葉を聞いて実直に業務に取り組むようになった頃、周りの反応が変わり、自分の見える景色も変わってきたのです。
相手の話を聞けば、こちらの要望にも応えてくれる、誰のために何をしたいのかを伝えれば、ワクワクするような企画を一緒になって考えることができる。
内容に納得できなければ、徹底的に話あう。視聴者さんに届かないと思ったら、違う角度から考え直してみる。
これらは、何か特別な仕事のやり方でしょうか?
決してそんなことはないと思います。誰でも出来ることです。
プロフェッショナルたちが集う現場で、一番の「一般人」として発言すること。
これが、「特別」にならなくてはという思い込みから脱した私がたどり着いた、「普通」な自分の活かし方です。

面白い台本が出来るのはそこにプロのディレクターさん、作家さんがいるから。自分の気が回らなくても現場がスムーズに進むのは技術美術さんがしっかり準備をしてくれているから。面白いを生み出すプロフェッショナルの集う現場で、私が「特別」な必要なんてはじめからなかったということに、何年もかかって気がつくことができました。

人には役割があります。私の役目は「普通」の感覚を忘れないことです。
振り返ってみれば、
タレントさんへの交渉前には何度も何度も話す練習をして、特番の前には近隣の皆さんへの挨拶回り、どんな現場も朝一番に行って元気に挨拶。
どれもスマートではないけれど、きっと私が誰よりも「普通」で、最初から自分を「特別」だと思えなかったからこそ、当たり前を継続する努力を選択することが出来たのだと思います。

もちろん、誰も思いつかなかないようなアイデアを考えたり、センス光る編集能力があれば、その力を伸ばすべきです。
就職活動中にそんな力があるなら、もういっそのことそのまま起業しても良いと思います。
自分には何にもないな、と思っても、元気に面接を受けられるならそれだけで大丈夫です。
特別なことが出来なくても、自分だけでは想像できないスペシャルな仕事はたくさん出来ます。
入社するときに何も語ることがなかった私でも、この10年で人に語りたくなるようなたくさんの特別な経験をすることが出来ました。
今はその経験を活かして、新しい領域にも挑戦しています。
もし自分の特性に魅力を感じないという方がいらっしゃっても
活かし方次第で充分輝きます。


プロデューサーとして初の現場!

だからこそ今この瞬間に語れるものがなくっても、自分を信じて進んでほしいなと思います。


「特別」にならなくてはという思い込みから、「普通」の感覚を活かすことで当たり前を継続する努力を選択することが出来たというYさん。

今まさに「普通」であることに思い悩んでいる方も、Yさんの「普通」の活かし方を参考にしてみてはいかがでしょうか。

▽これまでの「#これを語って入社しました」シリーズはこちら


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