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グリーン・ジェントリフィケーションについて

造園科学科卒業生として
グリーン・ジェントリフィケーション
この観点は授業でも取り上げられていた記憶があまりない。

都市景観は住環境や防災等の全てを含めて考えるが
それらを改善することで確かに環境は良くなるが

それに伴って、土地代が上がり、家賃が上がり
実際に住んでいる人たちの話を聞いたことがないし
立ち退きが起きている現状について分かってはいたが、

議論し、深く考えたことはない

しかしながら、公園や庭を作る際によく言われることとして、

現地へ行き、
歴史や風土、植物の状況、住環境も含めたすべての環境要因を把握したうえで作るべきだと。

これはその最たるものであろう。

街は今住んでいる人、これから住む人と一緒に作り上げていくものであり追い出すものではない。

ここにもあるが
ある一部の地域を良くしたことによって
他の地域に悪い影響を及ぼすことはそもそもランドスケープアーキテクトとして、成立しないのではないか。
と思う。

しかしながら、実際に作り上げるときに
すべての問題を解決することは難しいだろう。

気づかない間に問題が起きていた。
そういうこともある。

私が大学の時に聞いた日本のわかりやすい例として、
ある地域では、富士見坂という
「富士山が綺麗に見える坂」を守るため
(もちろん他の要因もある)

建築物の高さ制限をかけていたという。

周辺の地区も高さ制限がかけられており
富士山を見ることができたという。

しかしながら、その富士見坂の延長線上にある
離れた地区は建築の高さ制限がなく、

たまたま、タワーマンションを建設したら
富士山が見えなくなり、その地区から非難が殺到したというもの。

実際にこういう例は本当にたくさんあって
これは「景観」の問題であるが

記事のように、街に防災公園や、排水システムを導入したことで、他の地域が水害に遭う可能性が高まるような状況になった地域もある。

海外の事例として2つ紹介したい。
一つ目は、
ニューヨーク市ブルックリン北部。
カラーのマッピング図などが非常に見やすく以下の論文が良いと思う。
興味ある人は是非参照してほしい。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/urbangeography/10/0/10_34/_pdf/-char/en
(藤塚吉浩 (大阪市立大学) , ニューヨーク市ブルックリン北部におけるジェントリフィケーション —2000 年代の変化— 2013年11月)

二つ目は
アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市。
サスティナブル等に詳しい人ならば聞いたことある街ではないだろうか。
ここもジェントリフィケーションに陥っているらしい。
以下の論文を参照してほしい。

https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/19764/1/kyoyodezainkenkyu_14_39.pdf
(明治大学博士後期課程 教養デザイン専攻 2018年度入学 長野 悠 NAGANO Haruka, 持続可能な都市を問う
― オレゴン州ポートランド市におけるジェントリフィケーション― ,2018年)

このように、一部の住環境を良くしようとした結果、他のところに悪影響を与えてしまっている。
本末転倒なような気がしなくもない。

今後もこういう問題に当たっていくだろうし
日本も再開発が進むことで
こういう問題が起きやすくなっていくだろう。

街づくりに造園、ランドスケープを学んだ人が
どんどん関わっていければ、こういう問題も少しずつ解消されていくと思うのだが

いつになるのやら。

https://wired.jp/2020/04/08/cities-fighting-climate-woes-hasten-green-gentrification/

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