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かしまさん

小学校高学年の頃、オカルトブームが学校内でありました。

花子さんや口裂き女はもはや古い話でしたが、学校が昔、墓場で雨が降ると校庭から白骨が浮き出てくるとか、二宮金次郎像が夜歩き回るとか、2月22日午前2時22分に白い壁を触ると吸い込まれるとか、いろいろありました。

そんな中、「かしまさん」というのが流行りました。

不気味な女の人が追いかけてきて「私は誰?」なんて聞かれたら「仮面のか、死人のし、悪魔のまのかしまさんです」なんて答えるのです。

答えられないと殺されてしまう、というような話です。

当時は本当に流行りました。怖かったのを今でも憶えています。と同時に、この名字の人はかわいそうだなとも思いました。

ですが、いつの間にかその呪文が「かは仮面のか、しは死人のし、まは悪魔のまのかしまさんです」なんていう、まどろっこしいものに変わっていました。

僕に初めて教えてくれた友達も、初めからこの呪文だって言い張りました。僕の覚え間違えかもしれません。

噂というか伝わっていくものって何が本当なのか分からないと、そちらのほうが不気味に感じました。

FIN

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