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祖母様へ(noteリスペクト)

空心菜おひたち様の企画「片思いのラブレター」に参加致します。メイプル楓様のイラストを使わせて頂きました。

書いてみて、恥ずかしいながらもいろいろ思い出して懐かしさにひたりました。それではいってみましょう。

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私の長男が幼児の頃あなたがだっこした記憶がありますので、そのころがお別れだったのだと思います。

心疾患で意識が無くなり、そのまま旅立ってゆきました。

もうあまり思い出すことは無くなりましたけれど、私の中の祖父母の中では一番記憶に残っているのが、最後にお別れしたあなたでした。

父方の祖父は老衰、祖母は糖尿病と認知症。母方の祖父はクモ膜下出血。祖父が意識を失った入院中、あなたと少しだけお話しましたね。

「この人には苦労ばかりさせられた」と。

あなたは乳児だった私の母を背中に背負い、東京大空襲を生き延びました。戦後の大変な状況の中、5人の子供を懸命に育て、言葉に出来ない苦労をたくさんしてこられたのでしょう。

子供の頃、私の従妹はあなたを大好きでした。アピールも上手く、プレゼントもしょっちゅう贈っていたと聞いています。私の母がそれを聞きつけ、負けじと私にもその義務を課しました。

修学旅行には必ずあなたへのお土産を買ってこなければならなくて、敬老の日にも自分の小遣いでプレゼントを買わなければならなくて。あなたの前に座り、横から母親が「長生きしてねって言いなさい」とひそひそと言われて「長生きしてね」とあなたに言いました。

ごめんなさい。私はあの頃、義務でやらされていたのか、心からあなたを好きだったかどうか、今となってはもう覚えていないのです。しかもあなたの不用意な発言に心を傷つけられたこともありました。

でも、私があなたの歳に近づいてきて、やっとあなたの気持ちが分かってきました。あなたは生きるのに必死だったのだと思います。そして力強く、忍耐強く、天命まで生きてきたのだと思います。あなたがいたから私も生まれた、そのことに感謝します。祖母様、ありがとうございました。

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