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パンケーキ(映画「リトルプリンス 星の王子様とわたし」)

自宅で作るパンケーキとの出会いは遅く、1年くらい前からでした。ホットケーキのふかふか感も好きなのですが、パンケーキは焼くのに手間がかからず、ホットケーキよりも軽くて食べやすく、一度に何枚も焼いて余ると冷凍、おやつや朝食に消費していました。やんごとなき緊急事態宣言の最中、家で作ろうと思ったらお店から消え失せてしまい、困ったなあ、、と思っていたら徐々にお店に並ぶようになりました。転売品を買える程お金持ちではありませんし。家でパンケーキやホットケーキを作って食べられる生活は、当たり前だと思っていた自分にとって、お店から粉が消えたのは大変ショッキングな出来事でした。

映画「リトルプリンス 星の王子様とわたし」には、パンケーキという言葉は出て来るのですが、現物は出てきません。9歳の少女と隣人のおじいさんとで、誕生日ならパンケーキが無料になるお店があり、車でそこに出かけようとするのですが、行きつけなかったのです。しかもお巡りさんに職質され、おじいさんは免許を持っておらす、、「あああああー」という展開にゆくきっかけとなったシーンです。

原作「星の王子様」は読み返すたびに新しい印象を抱く本なのでした。友人との関係に悩んでいたころに読むと、キツネの友達作りのお話が響き、仲の良かった年配の方と死別したころに読むと、お星さまが笑うエピソードがハートにぶっ刺さり。同じように、この映画は原作をオープンエンドとした、リスペクトのスピンオフ作品なのだろうと思い鑑賞しました。原作通りの挿絵を再現したクレイアートと、現代を生きるキャラクターとの描き分けがなされますが、作品が進むにつれていつのまにか融合してゆくのです。そこに不自然さはありませんし、王子様と、9歳の少女とが王子様の故郷の星に行く場面は感慨深いものがあります。

そのひとときは、少女の夢の中の出来事だったのでしょうか。少女のイマジナリーな物語だったのでしょうか。どちらだったとしてもいいのです。王子様は蛇の毒によって、故郷に帰っていった原作でよかったのか。大人になった姿からの変革を経て原点回帰をしていったのか。どちらでもいいのです。だって大事なことって目に見えない。そして言葉にすることも出来ない、作品を見ている、読んでいる人達同士が共有する事実にすら出来ないと思うからです。


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