冬の蝶は春の夢をみる

春になればいいことがある
春になれば何かが変わる
期待は外れるだけなのに
冬の蝶は春の夢をみる

芋虫だったころは 空に憧れていた
地面を離れたらどんなに素敵だろう
蛹を脱ぎ捨て 空に飛んだら
退屈な毎日が ただ 待ってただけだった

嫌われるものと 愛されるものと
見た目がすべてじゃないなんて
愛される奴を 妬んでいる自分は心が醜い

春になれば 空に飛び立とう
夢を描いたころは もっと馬鹿だったのかもしれない
ひとつ何かを覚えるたびに 夢が ひとつずつ消えていった

羽はあるのに飛ぶことを知らない
飛ぶことを止めた冬の蝶は壁に張り付いた

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