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運命の人が本当にいるんだとしたら、きっと彼が、そう

私が今までの人生の中で、
一番心から好きだった人の話をしたい。


好きになんてならないと思ってた。

彼は高校の同級生。
当時数多くいた友達の中でも、飛び抜けて仲の良い男友達だった。
なぜこんなに仲良くなったのかは、覚えていない。

クラスでもよく一緒に話していたし、

授業中も、教室の端と端の席から大声で小テストの点数競い合ったり、

文化祭の片付け中、こっそり廊下でサボって2人で写真撮ってたり、

休み時間、毎回のように私の席に教材を置きに来るから、いつの間にか理科の教科書が入れ替わってたりもした。


それだけ一緒にいたから、当然周りからは「付き合ってるでしょ」とかよく言われてたけど、
彼と付き合うとか、好きになるとか想像してみても、「いや、それはないな」っていう、根拠のない何かがあった。

ぶっちゃけ、タイプではなかった。


ーー
高校2年生当時、私には別に彼氏がいた。

その彼氏は彼と同じ部活で、私と彼が仲良いことも了承していたと思う。

ところがある日の放課後、私は人生で初めて、彼氏に振られた。

「◯◯(彼)のこと、好きでしょ?」って。


そのとき、一瞬で色んなことを頭に巡らせて、そして、何故か腑に落ちたのだ。


あぁ、好きだ、って思った。


どこが好きかと聞かれても、わからない。
いつから好きだったのかも、わからない。

ただ、文字通り「気付いたら」好きだった。

もうとっくに、好きになっていた。


ーー
それから3年生で彼とはクラスが離れ、それでも関係は変わらず、なぜかほぼ毎日顔を合わせてはふざけ合っていた。

お互い受験で忙しくなって連絡頻度は減ったが、一緒に勉強したり、交互に面接練習をしたり、お互いの試験当日には必ず応援メッセージを送り合った。


恋愛感情を抜きにしても、
居心地のいい、頼れる、唯一無二の存在だった。

そして彼も、確かに同じ気持ちでいてくれてたのだと思う。


そして卒業の日。

私は気持ちだけ伝えて、返事は求めなかった。

これからも友達として仲良くしよう、という約束をした。


ーーー
それから数年。

彼とは今でも良い関係が続いている。

月に2.3回会うときもあれば、恋人がいる期間は2年近く会わなかったりするときもある。

それくらいの距離感がちょうどいいのだ。


今でも、彼のことは好きだ。
でもその「好き」は、恋愛感情よりももっと大きい括りの何かなような気がしていて。

言葉で表現してしまうのは惜しいくらい、
私にとっても、彼にとっても、お互いが唯一無二の存在であることは確かな気がしている。



いつだか、
「結婚適齢期になっても、お互いに相手がいなかったら、、」なんて話をした事がある。

長い付き合いでお互いのことはよく分かっているし、そもそも、人として好きじゃなかったらここまで付き合いを続けていない。

結局は、仲の良い異性友達と結婚するのが、一番上手くいくんだろうね、という結論に至ったのだ。


ふと、お互いにタイミングが合えば、いつかそうなるんだろうなぁ、なんて漠然と思ったりもする。
そうだったらいいな、とも思う。


好きなものや考え方は大体似ているし、
会うときは大抵、合わせてないのに合わせたような服装になる。

居酒屋ではポテトは必ず頼むし、
洒落たお店は居心地悪くて、必ず一杯だけ飲んで店を出る。

部屋の芳香剤がホワイトムスクなのも、使ってたCHANELの香水も偶然同じだったりする。

◯◯といえば、の答えは大抵一緒だし、
話題の映画で泣くか泣かないかも毎回一緒。

好きな季節だけは一向に合わないけど、
そんなとこも「合わねーな」って笑い合える、そんな関係が好きだったりする。


運命の人が本当にいるんだとしたら、きっと彼が、そうなのだと思う。


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