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【書評】はじめての統計的因果推論

はじめての統計的因果推論を読みました。

本書は因果推論の各手法に関する概念を総合的にわかりやく説明している点で大変優れていますが、なによりも『第9章 エビデンスは棍棒ではない - 「因果効果」の社会利用に向けて』が勉強になる(とともに身につまされる)内容でした。

因果効果の推定において統計学はすばらしい学問ですが、『その推定結果を実社会に応用するには、統計学の外側にある見識が大変重要になる』というのは、結論だけみれば当たり前ですが、狭い見識の中で不適切な外挿を喧伝したり、センセーショナルな見出しとともに時に意図的に曲解されている例は枚挙にいとまがありません。因果推論の書籍において、この章を最後に持ってきた作者の構成には共感を覚えました。

並大抵ではない熱意と温かい文章で構成された、値段以上の価値がある本だと思います。

初学者向けとのことですが、「相関関係と因果関係というのがあるんでしょ?」くらいだと挫折すると思います。個人的には、完全に理解できなくとも『因果推論の科学』を一度読んでおくと理解が進むのではないかと思い、おすすめしておきます。

ルービンも読むべきなのでしょうが、なかなかページが進みません。。


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