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社内SEのこと

前回、「文系で新卒SEになること」について記事を書いたが、
今回は転職界隈でよく聞く「社内SE」について書くことにした。

いわゆるSIer(システムインテグレーター)会社のSEは「ベンダー」とも呼ばれ、基本的には「ユーザー」(親会社や別の会社)からシステム開発や運用を受託して行うことを仕事としている。
ユーザーが日本を代表するような大企業だったり、無理難題を言ってくるような会社であればシステム案件が山のようにあるので、当然日々の業務は忙しくなる。ちなみに銀行や証券は毎日莫大な金が動くので本当に忙しい。
生損保は大手であれば人もコストも潤沢なので、それほどではない。
逆に中堅レベルは人とコストが限られた中で大手と渡り合う必要があるうえ、各種規制や法令にも大手と同様に対応しなくてはならないため、超激務である。

一般的に、この「ユーザー」側でシステム系の仕事を行う人のことを
「社内SE」という。どの会社にも「情報システム部」とか「IT部」みたいな名前で存在しているはずだ。
そこまで情報システムが重要でない業種だったり、あまりシステム投資に積極的でない会社であれば基本的に業務量は多くないため、システムの切り替え作業等の繁忙期でなければ定時で帰ることも十分可能だ。
そのため、「ベンダー」での激務に疲弊した人がよく目指す職業と言われている。人気ポジションゆえ、悪質な転職情報サイトなんかだと、どう見ても普通のベンダーのSE職にしか見えない求人が「社内SE」として出されていたりする。
客先常駐ではないので「(自)社内(で勤務する)SE」というわけだ。
応募する際は十分に注意されたい。

さて、この社内SEだが、新卒で募集している会社はまず存在しない。
総合職採用でたまたま情報システム部配属というのはたまにあるようだが、システム開発のイロハを一通り習得している20代後半~30代後半を即戦力として中途採用する企業が圧倒的に多い。
そのため、将来的に社内SEを目指す人は、必然的に「ベンダー」に就職して、ある程度の「修行」を積む必要がある。

進む「内製化」

社内SEの求人に関しても、やはり色々ある。
最近よく聞かれるワードが「内製化」だ。
「ユーザー」企業における情報システム部は、基本的に総務や人事と同じ、管理部門扱いとなることが多い。自分たちで数字(営業利益)を出すことが出来ないからである。そのため、大企業でもせいぜい50名程度の規模であることが多く、この人数でシステム開発や運用をすべて行うことは出来ない。
・・・と言いたいところだが例外もある。詳しくは後述する。

そこで「ベンダー」の出番となるわけだが、当然、システムの開発・運用を発注するとお金がかかる。小さなパッケージソフトを入れるだけでも何百万、基幹システムの開発になると何千万とか何億という金が動く。
IT化が進んでいる現代では業務のシステム化は不可避であり、新しいシステムにすれば業務の効率化や近代化に大きく貢献するため、これは一種の投資なるわけなのだが、IT化推進に積極的な一部の企業を除き、
経営層は「システムへの投資」を非常に渋る傾向がある。
理由は簡単、一度に多額の金が必要となるからである。しかも固定資産で。

そのため、最近では「簡単なシステムであれば自社の社員に作らせよう」という傾向が強まっている。これが「内製化」である。
これは企業によってまちまちで、VBAとかAccessを使った自動化ツールのようなものから、プログラムを作ってSQLサーバーで動かす本格的なものまでさまざま。このことから、最近の社内SEの求人には
「プログラムを作れること」とか
「サーバーを構築・運用できる人」とか
実際のシステム開発スキルが必須になっているものが多い。
更に、ある程度の上流工程経験(要件定義~基本設計)もセットで要求されることも多いことから、修行するための「ベンダー」を選ぶ際には十分注意する必要がある。
Web系のシステムをやっている会社なら特に問題ないが、銀行や生損保は1980年代に開発された古くてバカでかいシステムをツギハギして使っているところが多い。これを「勘定系システム」とか「汎用機系」と呼ぶのだが、

「汎用機系」のシステム開発・運用経験は「経験」としてみなされない。


もし汎用機系のシステム開発・運用を行っているSIerに入社する場合は、
ユーザー系SIerの最大手を選ぼう。SESはダメ絶対。

人手不足が続く中小企業になると更に高望みとなり、
「システムの企画提案から開発運用まで一人で出来る人」
「上流工程の経験5年以上必須!35歳未満!」
みたいなかなりの無茶振り求人をよく見かける。
こういう会社に入社してしまうと本当に全部一人でやることになる。
下手をするとベンダー時代より激務になってしまう。

社内SEの求人を探す際は、
・「(自)社内(で勤務する)SE」ではないか
・情報システム部門の規模
・入社後求められるポジションとミッション
・内製化の有無、レベル感

を十分に確認しておくことが重要だろう。

あ、その会社全体のブラック度と想定年収の調査も忘れずに。

おわり

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