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文系で新卒SEになるということ

「文系だけどSE志望」の理由は様々だろう。

「自分には営業や接客業は無理」
「かと言って工場労働はイヤだ」
「何となくコンピューターに興味があるから」

「文系は総合職採用で営業配属され、全国転勤でバシバシ飛ばされるもの」という時代ではなくなってきている。
結論から言えば、別に情報系の大学や専門学校を出ていなくても、適性さえあればSEにはなれる。と思う。
今回は「適当に大学生活を送ってきた文系だけど、そこそこラクなSEになりたい、収入もある程度欲しい」という人向けの記事を書いてみたい。

方向性を明確にする

一口にSEと言っても色々な業務形態がある。
まず最も重要なのが、
「バリバリ開発(プログラミング・コーディング)をしたい」のか
「上流工程(要件定義・各部門との調整)をやりたい」のか
自分はどっちなのか?である。

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・バリバリ開発をしたい
 ⇒ Web系システムやスマホアプリを自社開発している中小規模の会社

言うまでもないことだが、プログラミングのスキル、
というかセンスが必須になる。
マトモな会社なら入社後に多少の研修はあるが、情報系の大学や専門学校を出ていない場合は少々大変かもしれない。まあ、開発業務をやりたいと思っている時点で、学生時代に趣味の範囲等で多少プログラミングをいじっているとは思うのだが・・・。

また、ある程度大手の会社だと分業が進んでいたり、実際の開発業務は下請け(協力会社)に丸投げ、というケースも多々あるので、"バリバリ開発"をやりたいならWeb系のシステムやスマホアプリを自社開発している中小規模の会社にターゲットを絞り、福利厚生や年収、残業時間などで選定していくと良いと思う。ちなみにオフィスが綺麗だったり、PCのスペックやコミュニケーションツールが充実している企業ほどホワイト度が高い。
"自社開発"については後述する。
ちなみに、SEである以上どうしても資料作成や会議、ユーザーとの折衝は発生するので「プログラミングだけやりたい!!」ならPG(プログラマー)になった方が良い。

・上流工程をやりたい
 ⇒ 大手ユーザー系SIerの会社(自社開発のみ)

こちらは入社後の研修期間が終わるまで、もしくは長くても入社後1年程度で、実際に手を動かしてプログラミングする機会はほぼ無くなる。下請け(協力会社)に丸投げしてしまうからだ。
あとはひたすらOfficeで報告資料を作り、ユーザーとの間で要件定義、基本設計を行い、スケジュール確認と進捗報告を行う日々が待っている。
立場が上がってくるとお偉いさんの前でプレゼンしたりすることもある。
前述の"バリバリ開発"を期待して入社した人には苦痛な環境らしい。

企業選びの基準だが、親会社が非IT系、たとえば大手の生損保や銀行、商社、重工業の会社名が社名に入っている会社であれば、基本は安泰だろう。
福利厚生や給与水準もさすがに親会社には劣るものの、同世代の平均年収なみか、それ以上は貰えるはずだ。定年まで勤めあげる人も少なくない。
ただし、PCのスペックやコミュニケーションツールは期待できない。
PCの性能が低いせいで残業する、なんてのもザラである。

よくある間違いとして、親会社がITに手を出しているところ、たとえばN○Cや○立、富○通の系列はメーカー系SIerに分類され、日本全国に飛ばされ、後述するSESの皆さんと仲良く客先常駐になる可能性が高いので、オススメできない。ちなみに親会社の方に入っても同じような目にあう。
ここでも"自社開発"のワードが出てくるが、このあと記載する。

入ってはいけない会社

・SES(システムエンジニアリングサービス)業態の会社
15年ほど前から「SEはブラック」と言われるようになった元凶。
このタイプの会社にだけは絶対に入ってはいけない。

"システムエンジニアリングサービス"とは何ぞや?ということになるが、
こちらに詳しく書いてある。

SES(システムエンジニアリングサービス)とはソフトウェアやシステムの開発・保守・運用における委託契約の一種であり、特定の業務に対して技術者の労働を提供する契約です。

IT業界におけるシステム開発の契約形態には、大きく分けて、

[1]顧客から依頼されたシステムの完成を約束し、納品する
(この場合、顧客は納品物の対価を支払います)
[2]技術者の労働を提供する
(この場合、顧客は技術者の労働の対価を支払います)

の2種類があり、SESは[2]に当てはまります。SES契約では、システムエンジニアの能力を契約の対象とし、客先のオフィスにエンジニアを派遣して(常駐)、技術的なサービスを提供します。

要するに客先(IT系の場合も非IT系の場合もある)のオフィスに協力会社のエンジニアとして毎日出勤し、そこで業務を行う、いわゆる「客先常駐」タイプのSEである。
開発を行うアプリ系、ネットワークやサーバーの保守を行うインフラ系などがあるが、全部やらされたりすることもしばしば。

一見すると派遣社員と似たような状態だが、指揮命令系統があいまいだったり単価がピンハネされているのが当たり前の世界であり、
ユーザー「あんなに高いカネを払ってるのにロクな仕事をしない!」
SE「毎日こんなに残業してるのに給料が安すぎる!」
みたいな悲劇のすれ違いが毎日のように起きている。
基本的に客先の言いなりになるので、労働環境は総じて悪い。
ひどい場合には入社してすぐ、ロクに研修も受けないまま、
たった一人で客先にぶちこまれる。"経験3年"の若手として。

見分け方としては、募集要項の「勤務地」にある。
「各地のプロジェクト先」「クライアント先」などと書いてあれば間違いなく客先常駐である。
ただ、悪質な企業になると勤務地に関して一切言及しなかったりするので、企業の口コミサイトなども確認しながら実態を掴むしかないだろう。

・100%自社開発ではない会社
ちらほら出てきた"自社開発"がここで登場する。
「実際の開発業務は協力会社に委託している」という意味合いであれば良いのだが、中にはユーザー系SIerであっても客先で業務を行うケースがある。

SESに比べればブラックではないものの、大抵は住宅地のど真ん中や、千葉・多摩の奥地といった僻地のデータセンターや事業所の勤務となる。
当然、客先の建物なので服装や施設の利用方法などはすべて客先のルールに従うことになる。基本的に居候扱いなので肩身が狭いことから、目立つ行動をするとすぐ悪評やクレームが付いてしまう。

会社の近くに住み、家と会社の往復しかしなければ慣れていくかもしれないが、やはり電車で2時間近くかけないと都心まで出れないのは辛い。
本社勤務でキラキラしている同期と比較すると「島流し」であることをひしひしと感じることになるだろう。ちなみに部長クラスにならない限り、本社に戻れることはない。
こちらもマトモな企業であれば、「勤務地」に本社以外の勤務先がズラズラと書いてあるので、よく確認するようにしよう。

・裁量労働制、固定残業代制度を採用している会社
間違いなく残業が多く、しかも給料をケチる会社なのでやめましょう。

終わりに

「そういうお前はどうだったんだよ?」という話になるわけだけど、
「そこそこ大手のユーザー系SIerなのに上流から下流まで全部やらされ、しかも100%自社開発ではない」というレアケースな会社に入社してしまったクチである。非常に長い話になるので、いずれ連載形式で書くことにする。

おわり

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