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WooDee SoundCloudシーンから羽ばたく新星アーティスト:sprayer Interview

2003年生まれ、2022年11月からキャリアをスタートさせ、東京を拠点に音源制作やライブ活動を行っているHIPHOPアーティスト、WooDee。2023年8月にSoundCloud上で公開した楽曲「ゲツヨウビ」は約2.2万回(2024年8月現在)の再生回数を記録し、今年3月には初のサブスク配信作品「Endless Story」をリリースするなど、10代のリスナーを中心に着実に支持を広げている。

8月16日には待望の2ndシングル「White」を配信開始。前述の「ゲツヨウビ」と、大胆なタイトルを冠した「SoundCloud」の2曲を収録。ともに自身もリスペクトするlilbesh ramkoをプロデューサーに迎えた。今回は、リリースを目前に控えたWooDeeに、活動の原点、リリックやサウンドへのこだわり、そして最新シングルにも込められたSoundCloudシーンへの愛憎入り交じる思いを聞いた。

SHO-SENSEI!!、kZm、lilbesh ramkoからの影響

-WooDeeさんが最初に音楽にハマったきっかけは?

高校入りたてぐらいの時、HIPHOP好きな友達に誘われてAKLOさんのライブを観に行ったんですけど、客演で出演したANARCHYさんのライブパフォーマンスがカッコよすぎて。こんなカッコいい職業があるんだ!って、目が煌めきましたね。

-WooDeeさんの現在の音楽性と比べると、最初は結構ハードコアなHIPHOPからハマったんですね。

そうですね。HIPHOPにハマる前までは米津玄師さんとかが好きだったので、その影響もあるのかもしれないです。

-その後はどのようなアーティストに影響を受けましたか?

『BEATCHILD』っていうイベントに足を運んだのをきっかけに、STARKIDSとか、Hyperpop系のアーティストにもハマっていって。SoundCloudを通じて、自分の嗜好を追求するようになりました。

-自身でマイクを握ったきっかけは?

僕、中学から大学までエスカレーターで行ける学校に通ってたんですけど、頭がそんなに良くなくて……。進路について考えた時に、古典の勉強をするか、芸術学部に行くかの二択を迫られたんです。それなら、俺はラッパーになるわってことで。いまは大学3年生で、音楽を専攻しています。

-なるほど。

ただ、大学に入学してから半年ぐらいは怠惰で、大学生活を楽しんでて(笑)。そろそろ何かやらなきゃ!ってことで、町田のサイファーに飛び込んだんですよ。そこで紹介された相模大野中央公園サイファーっていうのが、僕の活動の原点になっています。

-sprayerのプロフィールでは、影響を受けたアーティストとしてSHO-SENSEI!!、kZm、lilbesh ramkoの名前が挙げられています。

SHO-SENSEI!!の「Thunder」は、初めて泣いた曲です。こんなに響く歌詞って書けるんだっていう。僕もこういう歌詞を書いてみたい。

kZmは、定期的にヒット曲をリリースするじゃないですか。だけど、自分のやりたいこともちゃんとやってて。そのバランスが取れてる姿がカッコいい。

ramkoさんは、サウンドが本当に唯一無二。こんな音が作れるんだなと思って。もちろん歌詞もすごく響いて、楽しいけど切ないみたいな感じがすごくいいなと思います。

-WooDeeさんは「自分でしか表せない音楽」を活動のコンセプトとしているそうですが、WooDeeさんにしか表現できないこととは?

僕は、ある意味ちょっと裕福な家庭で育ったんですけど……その人生をまっすぐに表現するアーティストやラッパーってあんまりいないと思うんですよね。そういう人ほど、恋愛の曲を書いたり。でも、僕と同じような人生を歩んできた人も多いと思うので、僕はこう思ってるっていうことを音楽にすることで、似たような立場の人も頑張っていいんだと思えるような曲を作りたいです。

-リリックを書くにあたって心がけていることは?

自分語りをしすぎないこと。僕だけが「やってやんぞ」って気持ちになるんじゃなくて、僕含めみんなで「やってやんぞ」っていう気持ちになるような歌詞を心がけてますね。元々バカ騒ぎするのが好きなタイプなので。

-確かにそういう意味では、歌詞も口語に近いというか、友達とLINEしてる文章のようなくだけた印象があります。

できる限り固くしたくないなっていうマインドで書いてますね。

-Hyperpop系のビート選択が目立ちますが、その理由は?

正直、自分でもわかんないんですよね。気付いたらコレに乗ってたみたいな感じです。でも、今はDrillを作ってて。Hyperpopメインでやりたいわけじゃないかもしれないなって思いまして、試行錯誤してる日々です。

-Hyperpopに合わせたラップやボーカルのスタイルについて意識していることはありますか?

オートチューンを使ってはいるものの、色んな人に「声が強みだよね」って言われてて。僕自身でボーカルミックスもやってるんですけど、どれだけキレイに聴かせられるかは気を付けてます。あとはガヤのコーラスを重ねて、深海にいるような、妖精の国にいるような世界観を出せることは、自分の武器として使ってます。

-サウンドというものが、ビートだけで完結するとは思ってないと。

ボーカルも含めてやっと音楽になると思ってます。

ーただリリックとメロディーがあればいいっていうだけじゃなくて。

そうですね。

-WooDeeさんに初めて触れるリスナーにオススメしたい楽曲はありますか?

やっぱり新曲の「SoundCloud」は絶対聴いて欲しいです。自分の全部を詰め込んだ曲なので。SoundCloudに上がってる曲だと、「Dead or Alive」「FLAG」は自分でもお気に入りです。

-WooDeeさんの作品はストリートなテイストのジャケットも印象的ですが、どなたが手がけているのでしょうか。

大学で出会った、いまはタトゥーの彫り師をやってる友達がいて、彼が全部デザインしてくれています。


SoundCloudシーンへの愛憎込めたニューシングル「White」

-8月16日にリリースされたシングル「White」では、収録曲「ゲツヨウビ」「SoundCloud」2曲ともに憧れのアーティストでもあるlilbesh ramkoさんがビートメイクを手がけています。制作のきっかけは?

本当に、僕がファンで……ビートに乗りたいと思ってramkoさんにDMしたら、快く引き受けてくださって。

「ゲツヨウビ」に関しては、ramkoさんの曲を中心にリファレンスを共有して、キーはこう、BPMはこれくらい、前半と後半でドラムの打ち方を変えてほしいとか、ある程度の構想をお伝えした上でお願いしました。

「SoundCloud」は、こんなテーマの曲ということはふわっと伝えつつ、ramkoさんの好きにやっちゃってくださいってことで。

-「ゲツヨウビ」は約1年前にSoundCloudにて公開された楽曲で、2.2万回以上の再生回数を記録するなど、WooDeeさんの代表曲となっています。制作時から手応えはありましたか?

ビートを聴いたときには、乗れるのかな?っていう不安があったんですけど。Yani Melancholyくんがミックスしてくれたのを聴いたら、「お、良い曲じゃん」って思いましたね。

-リリース後、周囲の環境や自身のモチベーションに変化はありましたか?

それまで最大のいいねが100くらいだったんですけど、1時間も経たずにそれを超えちゃって。ちょうどその時に居酒屋で飲んでたんで、「やべーよコレ、俺もう行っちゃうんじゃないの!?」って盛り上がって。それからライブにピックアップゲストで呼んでもらえることも増えたし。嬉しかったですね、シンプルに。

ただ、それで天狗になっちゃって。ちょうどそのころ彼女が出来たりもして、2か月くらい曲も出さずにダラけちゃって……。いまはその時期のことを「暗黒時代」って呼んでるんですけど(笑)。その間に友達のラッパーもグングン上がっていったので、ヤバいぞってことでようやくケツに火を点けました。

-そしてもう一つの収録曲は新曲「SoundCloud」ですね。インパクトのあるタイトルですが、どのような思いで制作した楽曲なのでしょうか。

実は「ゲツヨウビ」の次に出した曲が面白いくらいに伸びなかったんですよ。その頃から、そもそもSoundCloudのリスナー自体が減ってきているような状況だったんですけど。「ゲツヨウビ」が回ったからこその悔しさや怒りが湧いてきたので、それに対するアンチテーゼとして書きましたね。

-その思いは、歌詞のどういった部分に表れているんでしょう。

「変わらないと知ってるなら / 価値を持て。んで共に賭けろbro」のラインは、SoundCloudのシーンをディスってて。現状が変わらないと思ってるなら、自分の曲に価値を見出そうぜって感じ。あとはSoundCloudを「鳥籠」にたとえたり。

-現在のサンクララップのシーンに対して思うことはありますか。

うーん……面白くないなと思います。僕がサンクラを聴き始めたのって2020年前後で、2回目の全盛期だったと思うんですよ。STARKIDS、trash angels、e5とかがバーっと出てきて。でも今はなんていうか、目新しさがない。最近ワクワクした曲は、jailuくんの「i know.」くらい。

去年の末ぐらいにサンクラの仕様が変わったんですよね。「Your Mix」っていう、各リスナーへのレコメンドがトップに表示されるようになって。それはそれで良いんだけど、そこにはもう既に人気のあるアーティストの楽曲しか表示されないから。

-現状は、新たなムーブメントが起こりづらいプラットフォームになってしまっている。

そうなんですよ。でも、本当に面白いものってまだ数字を持ってない人から生まれると思うんです。


音楽で、世の中を少しだけ優しくしたい

-今後のリリースの予定について教えてください。

シングルは毎月リリースしようとしていて。それと、来年の春までにはアルバムを一枚出したいなと思っています。

-楽曲制作はもちろんですが、ライブ活動に対してのモチベーションはいかがですか?

今後も精力的にやっていきたいですね。やっぱり自分の気持ちを素直に伝えられるのは結局ライブだし、自分自身もちろんライブに食らってきたので。

-では最後に、WooDeeさんのアーティストとしての目標を教えてください。

できるだけ、人を傷付けない歌詞を書くようにしているんですけど。それを曲やライブで人に伝えることによって、その思いが広がっていって、世の中がもう少しだけ優しくなれば良いなと思います。

-自分の優しさを、音楽を通じて人に伝播させていくみたいな。

そうですね。具体的な目標はあまりないかもしれないんですけど……リスナーと楽しく、ワクワクできる音楽を作り続けたいと思います。


Text:サイトウマサヒロ(@masasa1to
Edit:sprayer note編集部


Profile:WooDee

2003年生まれ2022年11月から東京を中心に活動を開始し、「自身でしか表せない音楽」をコンセプトにジャンルに囚われないスタイルを貫いている。 2023年8月にSoundCloud上に公開した楽曲「ゲツヨウビ」は現在21k再生を越え10代を中心に支持を得ている。

▼SoundCloud
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▼Instagram
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▼YouTube
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