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ピアノのバッハ 12: バッハは笑う

ゴルドベルク変奏曲の後半部のカノン特集の続きです。


5.6 第六のカノン(六度)

第十八番変奏曲。

拍子はアラ・ブレーヴェ、息の長い二拍子。

Cのような記号に縦線の入った速度記号はルネサンス時代以来の古い記譜法の名残りなので、おおらかに歌う音楽が拍子記号から求められています。

楽譜も伸びる音の多くてたくさんの余白があり、非常に声楽的。

だから実はチェンバロで演奏するよりも、よりカンタービレなピアノの方が美しいと個人的には思います。

弦楽器や管楽器だとさらに素晴らしい。

一拍遅れて、アルト声部の最初の音のシより、
六度上のソからソプラノ声部が始まります
見事な対位法音楽
右手の声楽的なメロディとは対照的に
左手は器楽的に動き回ります

ゆっくりと鷹揚に。

中世教会音楽のような瞑想的な音空間。

寛ぎの音楽ですね。

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