英語慣用句(4): Has a nice ring to it
備忘録として、最近実際に出会って今後使ってみたいなという英語慣用句を書き記しておきます。
非英語ネイティヴと会話するのはネイティヴよりも簡単であることが多いですね。
ネイティヴが使うような言い回しを使わずに、純粋培養された分かりやすい英語ばかりで喋りあうからです。
歴史的に意味深い言い回しや慣用句を使える非英語ネイティヴは数少ない。
シェイクスピアや聖書を引用したりすると、お互いの会話が滞ることは間違いありません。英語は非ネイティブには国際共通語でしかなく、英語文化を楽しむために使われることは少ないのは残念ですが、それだけ語学習得とは大変なものなのです。
日本語を思い出してみるといいですね。
外国出身の優れた日本語話者でも、四字熟語や慣用句を理解できても、なかなか使いこなせないはず。
ここである問題を指摘できます。
アクティヴ・ボキャブラリーとパッシヴ・ボキャブラリーの違いです。
人はたくさんの言葉を日々使いこなしていますが、ある人が自由自在に書いたり喋ったりできる語彙はどんな人でも非常に限られたものです。
聞いて読んで理解できる語彙はパッシヴ・ボキャブラリーと呼ばれます。
一方、自分自身が会話などに使える語彙は読んで理解できる語彙よりもずっと少ないのが普通です。
これらはアクティヴ・ボキャブラリーと呼ばれます。
本をたくさん読む人はきっと多くのパッシヴ・ボキャブラリーを持っていることでしょう。でも喋ったり書いたりしない人のアクティブ・ボキャブラリーは貧弱なものだったりします。
語学の学習には使える語彙を増やすことが大事。
ですので、これから使えるようになりたいなと思った言葉を書き出してみましょう。
本を読むとパッシヴ・ボキャブラリーは増えるけれども、積極的にアウトプットしないとアクティヴ・ボキャブラリーはいつまで経っても増えないのですから。
ついでに言うと、VOCABULARYという単語、日本人が発音するのに苦手とする言葉。Vは唇を噛んで、Aはアとエの中間の音、そして難関であるLとRを続けて言い換えないと発音出来ません。
無理矢理カタカナにすると、ヴォゥキャビュゥラァリー!
音節で分けると、
と言うふうに五つのシラブルからできていると言う難しい言葉です。
語源的には、ラテン語のVocare (喋る) から派生した言葉。Dictionrary の語尾のAryと同じことからわかるように、喋る言葉を集めて一つにまとめたものが、Vocabulary、Dictioは書くなので、ボキャブラリーはあくまで喋るためのもの!
喋れるアクティヴ・ボキャブラリー、増やしてくださいね。
この備忘録、お役に立てると幸いです。
“What's on your plate this week?”
今朝は月曜日でしたが、上司からこんなメッセージが送られてきました。
この言い方は慣用句で、普通は次のような Too much on my plate のような使い方が一般的です。
つまり、自分のお皿とは、自分の予定や行動のことで、自分のお皿がいっぱいすぎるのは忙しすぎると言うこと。
上に挙げた疑問文は、
と上司はカジュアルに聞いてるわけです。
なんて尋ねるのは失礼だし、こんな言い方する上司は部下を信用していないと言えるでしょうね。
だからあなたのお皿は?って尋ねるのはとても良い説ですね。
“A Glowing Report”
これは慣用句というほどのものでもないですが、素敵な言い回し。
Glowで輝くという意味ですが、Shineのように光り輝くではなく、夕映の輝きのように燃え上がるように輝くという言葉。
Evening Glowで夕映で、Sunsetなんかよりも詩的な表現。
つまりGlowing reportは良いお言葉で、人に誰かの良いことを伝えたとかを別の人に語る場合、
と言うと、あなたについて褒めておいたよ、素晴らしい報告をしておいたよと言う意味。素敵な言葉だと思います。
“Say to my face”
これは陰口を叩く相手に、自分に直接言えよなんて迫る時に使う言葉。
これは結構使える表現。
わたしが大好きな映画「King’s Speech」を見ていて次のような表現に出会いました。
父王である英国王ジョージ五世が崩御して、ヨーク公のちのジョージ六世のバーティーは、兄ディヴィッドは王位を継がないであろうことを予見していた父の言葉をスピーチセラピストのライオネルに伝えますが、父王は自分には王位を継ぐことを直接には語らなかったと次のように語ったのでした。
と言う言葉で、父親が自分に対してこれほどに期待していたことを知り、そして自分の「どもり」のために、父の期待通りに王位につきたくても出来ないのだと悲しみます。
直接この言葉を語ってくれなかったことを複雑な思いで受け止める、コリン・ファース扮するバーティー!
こういう強い表現だからこそ、バーティーの悲しみが深く伝わり胸を打ちます。
“Has a nice ring to it”
とても素敵な言葉ですね。
素敵なベルがついてるよ、つまりとても望ましい、大歓迎だ、と言う意味。
ぜひ使ってみてください。
“Ring a bell”
これもベルという単語付きの表現ですが、こちらも非常によく使われる表現です。
ベルが鳴るとは、仄めかされた何かを思い出すこと。直接言いたくないことを相手に伝えたい時にこんな表現が使えるのです。
少しこの表現を変えると次のようにもなります。
王様のスピーチから。
というわけで、こういう慣用句を使うと、婉曲表現や強調表現が簡単に言い表せるのです。Glow以外には特に難しい単語は使われていませんが、全く言い回し次第で英語は難しくも複雑にもなる。
中学校で習うような英語だけで確かに英語日常会話は問題なしという方がたくさんいますが、それはこういう慣用表現を単純な単語を使ってできるか次第だと思います。
そういう意味で、今回引用した「王様のスピーチ King’s Speech (2010)」は超おすすめです。主演のコリン・ファースは主人公である、昨年亡くなられたエリザベス女王のお父さん(現国王チャールズ三世のお爺さん)のジョージ六世を演じて、アカデミー主演男優賞を受賞。
ジョージ六世はお兄さんのデイヴィッド、エドワード八世の自主的退位に伴って無理矢理王冠を被せられたのです。
ジョージ六世には幼少期の虐待体験から生じた「どもり、吃音」という発話障害に障害苦しんでいましたが、王族なのに不屈の努力によってその障害をスピーチセラピストとともに克服した実話がこの映画。
王様であることは大変なのです。
この映画、わたしは同じような発音矯正映画のマイフェアレディと同じくらいに大好きで何度も見ていますが、英語の発音矯正を受けた自分は英語を流暢に話せないジョージ六世に心から共感して、彼が練習した早口言葉を毎日練習するくらいでした。
吃音のジョージ六世になったつもりで早口言葉、頑張ってみてください。
映画を観た後に、本物のジョージ六世の戦時スピーチをYouTubeで聴かれると感動しますよ。
英国王はもちろん英語ネイティブですが、吃音のために訛ってて、なんとも言えない味わいの英語です。ジョージ王のようなわかりやすい英語でゆっくりと喋ること、そして難しい単語なしに素敵な慣用句を交えて喋れると最高です。
感動作のおすすめ映画ですよ!