美しい英単語 ランキング(3): Aurora etc.
Serendipity という単語を紹介した記事からの続きです。
最も美しい響きの言葉
わたしが純粋に言語的な英語の音として最も美しいと思うのは次の言葉。
わたしが前回検証した七つのサイト中、五つのサイトが美しいと挙げていた言葉でもあります。
だからわたしの個人的な美的偏見によって選ばれただけというわけではなく、栄えある美しい英単語の代表と呼んでも間差し支えないことでしょう。
その言葉とは:
という言葉でした。
Serendipity 同様に、単語の意味する内容が美しいことであることも考慮されているはずですが、この言葉は本当に響きが素晴らしい。
美しい英単語は舌の動きに特徴があります。
英語発音を勉強したことのない日本人には難しい言葉ほど英語的には美しく響くとわたしは思います。
「世界一美しいお姫様」と呼ばれるディズニー・プリンセスの Sleeping Beauty 眠り姫がこの名前なのも言ってみれば必然なのです。
グリムやペローの原作には姫の名前は記されてはいないのですから、ウォルト・ディズニーは英語で最も美しいであろう女の子の名前を眠り姫につけたのでした。
英語で最も美しい女の子の名前の一つ。でもそれだけに安易に白分の娘に名付けられる名前ではないと言えることでしょう。
英語発音をしっかりと学んでいない人にはまず間違いなく正確に発音できないのです。わたしも長らく発音できませんでした。
伸びる母音に英語特有のRと曖昧母音の組み合わせが二回。だから美しい。
オーロラはただ単純に森羅万象の神秘ですね。
響きの美しさの特徴
美しい響きの言葉には、L系の言葉かR系があるようです。
LとRの両方含まれている言葉は前回紹介した Serendipityなど。
他にも、例えば語尾が -rally となる形容詞は詩的な響きであるというのがわたしの個人的偏見です。
単語の意味を度外視すれば、Linearly や Literally や Similarly は美しい響きの言葉だと私は思います。詩の世界で韻を踏むのに使えると最高です。
Brilliant /ˈbrɪl yənt / 光り輝く、輝くように素晴らしい=最高級の誉め言葉。わたしの大好きな言葉。
Surreal / səˈri əl, -ˈril / あまりに原語の発音から程遠いのですがカタカナでシュールリアル=超現実。無理やり書くと「サリアル」。
Labyrinth / ˈlæb ə rɪnθ / 迷宮=カタカナでラビリンスとも綴られますがあまりに原語からは遠い響き。カタカナ表記不可能な言葉。
Parallel /pˈærəlèl(米国英語), ˈperʌˌlel(英国英語)/ 並行のこと。日本語でパラレルですが、これも英語とは響きが全く違うのでカタカタ語では通じない。
なども、この単語を発音するとき、舌が忙しく動き回る響きの良い言葉です。もちろんどれも発音が難しい。
日本人が苦手な言葉の代表
は子音Rと子音Lが両方とも含まれています。
ですが、カタカタの「ヴォゥキャビュラリー」の並びが子音+母音の繰り返しとなるのがどこか非英語的で美しくない。英語的に響きが良くない言葉に思えます。Voが二重母音なのがリズムを崩していますね。個人的にはビュの音が不快。
ちなみに英語のRはドイツ語のRともフランス語のRとも別の響きです。日本語のラ行とも違う独特な響きです。
英単語のアクセントパターン
英単語は必ず強弱アクセントから出来ているので、三音節の単語には三通りのパターンがありますね。
仮に「Tatata」という単語があれば、アクセントを太字にすると、
Tatata タータタ
Tatata タタータ
Tatata タタター
という三通りが考えられます。
上記のAurora オーロラは最初のパターン。
二つ目はStart、Skate, みたいな単語。
三つ目は英語にはあまりないパターンですが、本来は外来語だったShampooがそうですね。
この三つの場合、どれが一番音楽的かと言えば、やはり最初のタータタ。
後ろの音を弱く響かせることで弱音の美が体現されているようです。第一拍=強、第二拍=弱、第三拍=弱の三拍子みたいに。
二つ目は最初の拍が弱く、音楽的にシンコペーションで面白いけれども、美しいとは違う。
三つ目は裏拍でやはり美しいには相応しくない。ジャズ的だけれども美しいとはどこか違う。
英語特有の美を有する言葉たち
次は六つのサイト中、四つのサイトが美しいと挙げていた言葉。
あまり日常語とは言い難いものが多いのですが、詩句などに使われると美が際立ちます。
Mellifluous / məˈlɪf lu əs / [ muh-lif-loo-uhs ] 甘美なとかなめらかなという形容詞。A Mellifluous Voiceと言えば、歌声に対する最上級の誉め言葉。わたしが英語の美の要素の要因といったLが入っていますよね。L音が二つ連なる部分が美しい。
Felicity / fɪˈlɪs ɪ ti / [ fi-lis-i-tee ] 女性の名前にも使われる美しい言葉。意味は至福、素晴らしさ。Blissも類似語ですが、音の美しさでFelicityにかないません。やはりLが含まれています。カタカタで「フェリシティ」としばしば表現されますが、「フィリシティ」の方が英語的。やはり口を大きく開けてはいけない短いアイiが重なり合います。Fは下唇を軽くかんで優しく発音すると美しい。罵倒語もFで始まりますが、あの言葉は思いきり強く発声するF。FにはFantasticなどいい言葉もあり、良い響きにも悪い響きにもなるのはおもしろい。
Epiphany / ɪˈpɪf ə ni / [ ih-pif-uh-nee ] 直感や洞察、ひらめきという良い言葉。キリスト教の祝祭日もこの言葉。これもFの言葉。Felicity同様に最後が「イー」という終わり方をするのは美しいのかも。
Elixir /ɪˈlɪk sər/ 不老不死の薬、万能薬、特効薬、霊薬のこと。秦の始皇帝が求めたのはまさに「エリクサー」。でもより英語的にはイリクサー。わたしは学生時代にファンタジー系のロールプレイングゲームでカタカタ語として初めて出会いました。ファンタジーゲームの世界には必ず出てくる言葉かも。
Ephemeral /ɪˈfɛm ər əl / 「人の夢」と書く「儚さ」ですね。松田聖子の歌でそう歌われていました笑。単語の音もまた、儚さを思わせる美しい音が並ぶ単語。この言葉を見るとサン=テグジュペリの「星の王子さま」を思い出します。「ぼくの花は儚い」My flower is ephemeral。本当に美しい言葉です。
どれも発音が難しいですが、それだけに本当に英語の中の英語といった趣の美しい響きの言葉。わたしの好きな言葉たちばかり。
さらに選ばれた美しい単語たち
三番目の言葉たち
続いて、三つのサイトが共通して美しいと挙げていた言葉たち。
Syzygy / ˈsɪz ɪ dʒi / カタカナで無理やり書くと「スィジズィー」。音の微妙さが何とも言えない。zとdʒは似て非なる子音。音自体は日本人には難しくはないですが、区別が必要。単一子音のザ行のZと二つの子音が一緒に発声されるジャジュジョのdʒは違う音。Qがクkではなくクァkwであるのと同じ。さてSyzydyは古くは天文用語で星が一列に重なり合って並ぶこと。古代では太陽と月が地球が重なりあうことは神秘現象だと考えられました。また韻文では複詩脚、つまり二つ以上の韻のパターンが含まれていること。最近はハードウェアの世界でもよく使われる。相乗作用のSynegyと似た意味と綴り。重なり合うという意味で似ている。
Solitude /ˈsɒl ɪˌtud, -ˌtyud/ カタカナで「ソリチュード」。最初のソの母音は日本語の母音オよりもっと深いところで響かせる母音。孤独という意味。Lonelinessがただ単に物理的に独りでいることなのに対して、Solitudeはより詩的なニュアンスを持ち、詩句として好まれます。Lで舌が上がり次に下がるという音の移り変わりが上記 Elixir 同様に美しい。この言葉は米国ニューヨーク出身のシンガーソングライター・スザンヌ・ヴェガの名曲をいつも思い出させます。「孤独が窓際に立っている」Solitude stands by the window という詩句で始まる歌。Loneliness では成立しない詩的世界。
Panacea /ˌpæn əˈsi ə / これも万能薬。
Petrichor /ˈpɛt rɪˌkɔr, ˈpɛ traɪˌkɔr / 雨上がりの甘美な匂いという意味ですが、わたしには馴染みない言葉。きっと乾いた気候の土地では大地を潤す慈雨が蒸発してゆく時の匂い。雨の匂いを香しいとか思ったことはないのですが、良いにおいの雨上がりもあることでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
初心者向きではありませんが、英語学習中級者以上ならば知っておきたい英単語ばかりです。美しい響きで発音できるようになりたいものですね。
次回は四番目に選ばれた単語たちです。わたしが特に好きな Tranquility などが含まれます。
おまけ
追記:
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