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別れからの 贈り物

あの人が願っていたこと では

描かせてもらった 絵を 
希望する方に 送ることにしている

現在の形に 落ち着くまでに
紆余曲折は あったが

絵を 返却することは 
かなり初期に 決めた

理由は はっきりしている

絵は 誰のために産まれたか と言ったら
本人のために 産まれたからだ

だから 

本人の側にあってこそ 意味がある 
そう思っている

✳︎

展示会も 無事に
終えることができたので

飾らせてもらっていた 絵を
ひとりひとりに 送り届けている

額を 梱包し
宛名を書き 封をする

裏側のシールを剥がし
袋にぽん!と貼る

よし 完成

会場の片隅で
ひとつひとつ 包んでいく

手放すことは 寂しい
けれど それ以上に
絵への 感謝が湧いていた

一枚一枚
あの人の願いだけを考えて
絵にしてきた

描かせてくれて ありがとう
よく がんばったね

産まれてきてくれた 絵に
そんな 声をかけていた

✳︎

別れる必要は 無いのかもしれない

けれども この仕組みがあることで
たくさんのことを 得た

ひとつめは 展示会

送り届けると 決めたからこそ
手放す前に見てほしい という
気持ちが 湧き出てきた

別れが 無ければ
展示会は やらなかったかもしれない

ふたつめは 語り手さんとの繋がり

実際に 送り届けることで
話し手の人たちから 改めての言葉をもらった

別れが 無ければ
改めて 絵の話をすることは 無かったかもしれない

どちらも この別れがなかったら 
得られなかったことだ

✳︎

別れは さびしい
できれば 避けていきたい

しかしながら だからこそ
得られたり 気付くことがある

それって とても 
豊かなこと なんだと思う

僕は そのことを改めて学んだ

いただけたら、とてもうれしいです!サポートは、台紙となるマーメイド紙、絵に使う画材、額装、などの道具代に還元させていただきたいとおもいます。