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影から真の王者へ

9月24日さいたまスーパーアリーナで開催されたRIZIN.44衝撃の結果が待っていた。

この大会のメインイベントとなった
クレベルコイケvs金原正徳

金原は40歳のベテランファイターだ。
かつて"神の子"山本KID徳郁とも対戦し、勝利を収めている。

RIZINには2021年の参戦から負けなしの3連勝中である。
対戦相手も実績のある選手たち(下記参照)ではあるが、金原の経験が上回り圧倒している印象だ。

・芦田崇宏(元DEEPチャンピオン)
・摩嶋一整(第3代Rebel FCチャンピオン)
・山本空良(初代PFCチャンピオン、初代Fighting NEXUSチャンピオン)


実はフェザー級最強の日本人は金原ではないか、そんな声もあり、"日本フェザー級裏番長"と言われている。

一方、クレベルは2021年に東京ドームで開催されたRIZIN.28にて朝倉未来と対戦した。
人気格闘家である朝倉未来を三角絞めで絞め落とし、世間に衝撃を与えた。


タイトルマッチとして組まれた鈴木千裕戦では体重超過によりチャンピオンベルトを剥奪されしまったが、
通算成績は31勝7敗そのうち一本勝ちは27度あり、RIZINフェザー級最強の柔術家だ。

ちなみに日本人相手には14年間負けなしである。


戦前から両者の相性的に拮抗するのではないか?
日本人で勝てるのは金原だけ!
結局クレベルの一本勝ち!

など、様々な意見が飛び交った。

そんな中、金原はクレベルとは相性がいいと豪語し、自信をのぞかせていた。

正にその言葉通りの展開だった。

1R、クレベルはいつも通りのスローな入りだったかと思う。終盤クレベルの膝蹴りにより金原はフラッシュダウンをしたように見えた。
そこからクレベルはギロチンチョークに入る。
この時の会場の悲鳴からも

金原でもやはりクレベルには勝てないのか
日本人はみんなこの寝技にやられるのだな

と負けることがチラついた人も多かったはずだ。

だが、当の本人は至って冷静だったようだ。
ギロチンチョークは入っておらず、金原は全く問題ないと感じていたため、次の寝技の攻防に備えつつもクレベルに力を使わせていたようだ。


これが経験値なのか、とインタビュー記事をみて驚いた。

組の展開を1Rではさけていたが、
実際に対峙してみて、組んでも勝てると判断し、2R目からはテイクダウンを狙っていく。
そして、狙い通りクレベルの打撃に合わせ、テイクダウンに成功する。

ポジションをキープし、クレベルを削っていく。
寝技の展開でもなにもできないクレベル。
そんな姿は初めて見た。
アメリカのMMA団体ベラトールとの対抗戦ではパトリシオ・ピットブルとの対戦で敗北を喫したが、この試合ではピットブルもクレベルの寝技を警戒し、スタンドでの攻防が主だった。

しかし、今回の試合では2R、3Rともに金原からテイクダウンをしかけ、寝技の展開でもクレベルを制圧した。

初めて見る展開に興奮を隠せない。
今までどのファイターもクレベルの寝技を警戒し、自らテイクダウンに行くことはなかった。
それどころか打撃で効かせて倒しても、追撃はせず、スタンドでの攻防を選択していた。

それが最善なのか、パウンドいけ!なんて思ったりもしていたが、まさか自らテイクダウンに行く選手がいるとは思いもしなかった。

経験に裏打ちされた寝技の展開になっても勝てるというその感覚、そして実際に問題なく対処してしまう実力、
MMAマスターのようなそんな貫禄すら感じた。

1Rを除き、金原が試合を支配し、
見事判定3対0で勝利を収めた。
完勝だった。

こうなってくると
次は現チャンピオン、ウガール・ケラモフとの
タイトルマッチだ。
影の王者が真の王者になる時が来た。
今後も目が離せない。

P.S.
その前にケラモフと鈴木千裕のタイトルマッチがありますね。衝撃のピットブルKO勝ちの再現なるか要注目です。



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