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【Doctor Tのスポーツ医学】息をする時横隔膜(おうかくまく)を動かせていますか?

 こんにちは、Doctor Tです。最近はヨガや健康プログラムで呼吸がいかに大切であるか耳にする機会が増えましたね。皆さんは自分の呼吸を意識したことがありますか?

 今回は「良い呼吸の仕方」についてお話します。アスリートのための呼吸法として勉強しましたが、これはアスリート以外にも当てはまり、日常に役立つと思うのでご紹介します。

息の仕方のクセ

 運動した時に息苦しくなる理由はいくつかあります。
1)運動不足
2)普段の生活で問題がなくても、運動によって誘発される喘息や、喉の周辺が腫れて通り道が狭くなる病態もあります(EIB,EILO)。これは医療機関に要相談です。
3)そして意外に見落とされているのが普段の呼吸の仕方によくない癖がある場合です。

呼吸のクセにはなかなか気付けない

 姿勢や喋り方などと同じで、無意識にしている呼吸にはクセがあり、意識しないとそれに気付けません。

呼吸の仕方を比較してみましょう!

ありがちなのが胸を膨らます呼吸

 運動した時に苦しくなる、ありがちな呼吸が胸式呼吸(図の左)で、息を吸うときに肩を上げて、首の周りに力が入ってしまうパターンです。肺の容積が増えないので十分に空気の交換ができません。

身に付けたいのは横隔膜を使った呼吸

 一方、オススメしたいのが横隔膜おうかくまくを使う呼吸(図の右)です。イメージとしては「下の方の肋骨に息を吸い入れる」感じです。息を吸うときに、肩が上がらないように意識的に下げるようにして、腹筋に少し力を入れると、上手くいくと思います。

ISEH Webinar YouTube "Sports Cardiorespiratory Medicine Conference Morning Session Part2"スライドを再編成

練習の仕方

  • まずは安静な状態で。

  • 1分以内でいい。

  • 胸とお腹の上に左右それぞれの手を置く。
    胸側でなく、お腹側の手が押されるのを確認しましょう。

  • 口を閉じる。
    (鼻呼吸にするため)

  • 静かに。

  • 呼吸と呼吸の間で一旦息を止めると、効果的に横隔膜を使うことができる。

呼吸はからだが回復する過程にも影響する

 呼吸は身体が回復する過程にも影響します。ゆっくりとした深い呼吸は、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスを変えるからです。良い呼吸ができると、気持ちを落ち着けたり、体を休める方に働く副交感神経が優位になります。

寝ている間の良い呼吸は睡眠による疲労回復をアップさせる

 寝ている間にも私達は無意識下で呼吸をしています。深いゆったりとした呼吸が自分のものになっていると、寝ている間もそれを行うことができます。逆に起きている間に浅い呼吸をしている人はそうでない人に比べ、寝ている間も浅い呼吸をしているのではないでしょうか。

まとめ

  1. 運動をした時に息が苦しくなる原因に呼吸のクセがある

  2. 横隔膜を使うと効果的に呼吸ができる

  3. 安静にしている時に意識的に練習する

  4. 良い呼吸は副交感神経を優位にする

  5. 寝ている間の疲労回復にも影響がある

 「理解していること」と、「実践できていること」は違うなと実感することがあります。私もイライラしたり、なんとなくスッキリしない時、自分が浅い早い呼吸をしていることに気づくことがあります。そういう時は、意識的に仕切り直しています。忘れたらまた思い出して元に戻せばいいだけです。気楽に行いましょう!

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