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Vol.2|新しい時代のスポーツ教育~ラクロスを通した勝利と人間的成長の両立~
2022年5月25日にラクロスコーチ向けのプログラムがスタートしました。ここでは、2回目のプログラムに参加してくれたラクロスコーチとともに、「新しい時代のスポーツ教育」ついて考えた内容について紹介します。
背景
本取組の背景としては、「スポーツをツールに活用した女の子のエンパワメント(ジェンダー平等推進)事業」支援を目的とする「プレー・アカデミーwith 大坂なおみ」があります。
プレー・アカデミー with 大坂なおみは、大坂なおみ選手、ナイキ(Nike, Inc.)とローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団のパートナーシップによってつくられたプログラムです。
プレー・アカデミーでは、生涯を通して影響が続くと証明されている遊びとスポーツを、現代社会に浸透しているジェンダー格差を埋めるのに役に立つエンパワメントツールとして活用し、女の子の生活に変革をもたらすことを目的としています。
しかし、多様なニーズに合った機会の欠如、女性コーチやロールモデルの不足、文化的な障壁は女の子が遊びとスポーツに参加する際に直面する数多くの課題のほんの一部に過ぎません。
プレー・アカデミーは、地域コミュニティ団体に助成金やキャパシティ・ビルディング、研修の機会を提供することで、これらの課題に取り組み、楽しく前向きな遊び体験とジェンダー・インクルーシブなコーチング研修を受けた指導者の増加を重視しています。
今回のプログラムでは、NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブ共同代表の石渡圭輔が経営する株式会社スポコンが助成事業に採択されたことから、株式会社スポコンと関りのあるラクロスチームのコーチへ向けて、ダブル・ゴール・コーチングのワークショップを実施しインパクトを評価することを目的としています。
本プログラムの目的
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2022年5月11日に実施したプログラムでは、「新しい時代のスポーツ教育」を主なテーマとして下記の3つのトピックをもとにスポーツコーチの方々とともに学び合いの場を設けました。
これからの時代に求められること
日本とスポーツの現状
DGCがもたらす人間的な成長と競技力向上
本プログラムの内容①これからの時代に求められること
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「これからの時代に求められること」のテーマの中では、下記のような情報を提供しました。
これからの時代はウェルビーイングが求められること
VUCAの時代といわれ将来の予測をすることが難しい時代になること
18歳の若者は将来に希望が見いだせず自己肯定感が低いこと
PERMAといわれるウェルビーイングの指標について
そのうえで、スポーツコーチが考える「これからの子ども達に必要とされることとは?」について対話をしてもらいました。
これからの子ども達に必要とされることとは?
将来やりたいことを見つけてもらうことと何事にもチャレンジする姿勢は子ども達にも身に付けてほしいなと思う。自分自身も色々挑戦してみて世界が変わったという体験もある。
大学生を指導している中では、失敗を恐れている大学生も多いなと感じることが多い。
失敗して取り返しがつかなくなってしまうこともあるかもしれないが、大した失敗じゃなくても「私どうせダメだし」と感じている大学生も多いと思う。だからもっとチャレンジしてほしいなと思います。
チャレンジして失敗することが恥ずかしいと思っている大学生って多くないですか?
人と同じであることを求められて、順位をつけない教育をしているからなのか、人と同じであることが良いこととされている風潮もあると思う。人より目立つことがダメなことと考えている人は多いと思う。
今Aさん(参加者)がおっしゃったことにつながるかもしれませんが、「自分独自の思考」は持つことが必要だと思っています。これからの子どもたちという議題じゃなくなるかもしれないが、情報過多の時代でメディア・テレビ以外でも情報を取れる時代になっている。
これはこうだという断定的なメディアも多いと思っているので、自分自身はどう思うか?という思考力は大切かなと思います。
子ども達だけに限った話ではありませんが、他の人と違う意見を持ってもよいことは理解してほしいし、自分の意見に誇りを持ってほしいなとは思いますね。
今の話を聞いる中で思ったこととして、オンラインなどでも人とコミュニケーションを取るときに伝える最初の言葉として「「學びて思はざれば則ち罔(くら)し。思ひて學ばざれば則ち殆(あやう)し」」という孔子の言葉があります。
簡単にいえば、教えてもらっても自分で考えなかったら意味がないし自分で考えているだけで学ばなかったら考えがこりかたまってしまうという意味です。今の時代は調べればすぐに正解がでてしまうこともあって、正解を直ぐに知ろうとする姿勢の人は多いなと感じます。
だから、いろいろな場所で自分たちで考えることの大切さを伝えるようにしています。
最近日本について聞く機会が多いが、日本は「誰かのために生きる」という気持ちがつよい人が多いという話をよく聞きます。
これは日本の良さだと思っているので、こうした日本の良さはこれからの時代においても残していきたいなと思います。
現代の風潮として日本のこれからは危ない・不安だという人も多いが、自分の国で自分が住んでいる国だから良い国にしていこうと思えるようにすることも大切なんだろうなと。
まだ私の中で答えがでているわけでもなくぼやっとしているのですが、これからの未来をつくっていく人たちに必要なことなんだろうなと思っています。
本プログラムの内容②日本とスポーツの現状
「日本とスポーツの現状」のテーマの中では、主に国際NGO団体Human Rights Watchのレポートに代表されるような体罰・ハラスメント問題についても話をしながら、柔道の全国大会が廃止されたニュース、各著名人の声明、2022年3月に改正されたスポーツ基本計画などについて情報を提供しました。
ここでは主にスポーツの現場の実態についてとスポーツ業界における構造的な課題についての情報をスポーツコーチの方々へ伝えながら、「このような社会構造のなかコーチとしてどのように子ども達と関わっていくか?」ということについて話をしてもらいました。
このような社会構造のなかコーチとしてどのように子ども達と関わっていくか?
話がずれてしまうかもしれないんですけど、そういった現状を解決できるのがラクロスなんじゃないかなって思っています。
ラクロスをしている人たちってラクロスが好きで楽しくて面白いという気持ちでやっている人が多く、未発展なスポーツだからこそ一緒に考えるという姿勢をもっている指導者って多いんじゃないかなって。
また、大学生からラクロスを人間的成長を感じることが多いからこそ、競技だけじゃないというのがラクロス界のニュートラルになっていると思っています。
だから「ただ我武者羅にコーチすればいい」というよりは、「どうやったら子どもたちが成長していくのか?」を考えられるようなアプローチをしていきやすいと思っていますし、自分自身も意識していることだったりするので、こうした姿勢が大切なんだろうなって感じています。
自分も高校まで野球をしていて、高校までの部活の在り方は今の話に上がった課題の部分がたくさんあって、勝利至上主義や大人に言われたことをするという風潮があるなと思います。
特に野球は昔ながらの指導が多かったのですが、ラクロスを始めて変わったのは自分で考えるという姿勢です。ラクロスは学生主体でコーチもいないことが多いからこそ、自分で考えるという力が自分自身でもついたなって思っています。
だから、自分もコーチとして指導するときに「こうやるんだ」「こうしなきゃいけない」みたいな教え方はすごく嫌いで、もしやるのであれば「なぜそうする必要があるのか?」を伝えるようにしていたりします。自分が教えるときにも、ただ教わるのではなくどう考えたらよいのか?を教えていきたいなという自分の軸はあります。
ほとんどの競技は大人が主体で大人がつくることが多い一方でラクロスは、学生や選手が主体になっている競技だと思っているので、自分で創るというスタンスを育みやすいなと思っています。
ラクロスはセカンドキャリアの問題も解決できると思っています。今のスポーツ界の課題を俯瞰してみたときに、ラクロスの良い文化とされることで日本のスポーツ界に伝えられることはたくさんあるなぁと思ったので、もっとラクロスを広めたいなと思いました。
ラクロスをやっている子どもの親御さんは、ラクロス経験者じゃないからこそ結果だけを見がちなところがあると思っています。
逆に自分が経験者じゃないからこそ試合までのプロセスの部分を見てくれる親御さんもいて、そういった親の考え方がバラバラになってしまっているところも難しい点だなと。
結局コーチも含めて子どもより熱くなったり前にでて、子ども達を恣意的に導こうとしてしまうことが問題だと思っていて、子ども達自身が創るスポーツなんだということは、大人が認識する必要があるんじゃないかと感じますよね。
コーチがどうコーチングしていくかということでいえば、大学生1年生やラクロスはじめたばかりの子どもに指導していると、なんでも言いたくなってしまうんですよね。
どうしても私のほうがラクロスを知っているので。だからそういった気持ちをおさえて、選手や子どもがやりたい気持ちを優先したり、そういった気持ちが湧き上がるのを待つっていうのも大切だなと思っています。
昔ながらの指導だとどうしても言いすぎてしまうということがよくあると思うので、言いたくなる気持ちを必死に我慢しながら、他のコーチと実際のコーチングについても振り返りながら指導しています。
そのバランスって結構難しいなって思っていて、言いすぎてもだめだし、選択肢がなさすぎても選手は困ってしまうですよね。だから私たちコーチも常にトライ&エラーすることが大切なんだなーと。
年代によっても違うなぁとは思いますね。キッズだと柔軟な考え方を持っていることがおおくて、教えてないのにそんなことできるんだみたいな時もあって、大学生くらいだと逆に教えてあげないと新しい発想がでてこないってこともあるのかなぁと。
教えるってことは全く悪いことだとは思わないですよね。教えることで新しい発見や次のステップにつながることもたくさんあると思うので。
あと、なんでそういうことをしたのか?を聞くことも大切だと思っていて、コーチがいったからとかではなく選手自身が考えるという姿勢を育むことも大事だなと思います。
本プログラムの内容③DGCがもたらす人間的な成長と競技力向上
最後に、スポーツで勝利と人間的成長の両立を目指した「ダブル・ゴール・コーチング」について参加者の方々へお伝えしました。今回では特に一つ目の原則である「勝者の再定義」に焦点をあてて、下記のような内容をお伝えしました。
ダブル・ゴール・コーチングとは?
勝者の再定義を実践するELM(詳細はこちら)
勝者の再定義によって育まれる成長マインドセット(詳細はこちら)
学習場面におけるELMの実験(詳細はこちら)
ELMがパフォーマンス向上・発揮につながるロジック
アスリートセンタードコーチングについて(詳細はこちら)
プログラム後の参加者の声
![](https://assets.st-note.com/img/1656644991027-rmd6NmgLmI.jpg?width=800)
プログラム満足度の理由
自分自身の経験からやはりその時期に指導を受けていたコーチの影響は大きく受けていると感じたから。
ノルウェーやアメリカのオリンピックでのメダルの話など、知識がありませんでしたが、エビデンスをもとに学ぶことができました。
また、自身が受けたコーチングも振り返ることができ、恥ずかしながら私自身、結果に対して自分を評価したり、人と比べたりしていたことを思い出しました。
最近子どもは練習で何を学んだかより、コーチがどんな人だったか、どういったことを言ってたかのほうが記憶に残るという話をきき、アプローチ含め子どもの考え方構築に影響があると考えているから。
子ども達に対してやりたいと思ったこと
努力の過程をしっかりと見て褒める
今、コーチをする上での課題が明確になっておりませんが、成果ではなく取り組む姿勢についてのフィード・バック、それを具体的に伝えること、認める姿勢でい続けることが大事だと思いました。
過程をほめる
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