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地上波のスポーツ番組のプロデューサー・ディレクターへのおねがい

Wリーグ(女子バスケット)、Weリーグ、Vリーグ、これからリーグワン(ラグビー)。女子ソフトボールリーグは来年からJDリーグとなる。ハンドボールリーグもリーグ改編を計画している。Jリーグ、NPB(プロ野球)は今シーズンは終了し、Bリーグは現在進行中。
Wリーグは、東京オリンピックで銀メダルの快挙を成し遂げた選手、大活躍した3X3代表の選手もいて、世界的にもレベルが高いことを示した。
Weリーグも、なでしこリーグから、プロ化し、再編成し、理念も明確にして、リブランディングをした。
リーグの活性化・活況の視点は様々あるが、観客動員を増やすことは、クラブ、チームの興行収入的にも、選手たちのモチベーション的にも、何より、多くの人達、地域の人達が、間近で選手たちのレベルの高いプレーを見ることが、何よりの価値提供である、体験である。しかし、Weリーグは、目標値の観客動員数に大きく達していない。かなり苦戦している。Wリーグも、私自身、試合にも行ったが、試合のレベルや選手たちの錚々たるメンバーに比して、観客数はかなり少なかった。
このような状況になると「リーグは何をしてる、もっと広報活動を、認知アップを、プロモーションを。」「いや各クラブ広報活動や選手のSNSを頑張ってください。もっと地域活動をしてください」「いやいや、連盟やリーグがもっと宣伝活動して。ガバナンスを。制度設計を。リーグが何もしてない」「いやいやいや、協会も連盟もリーグも、そんなリソースも予算も宣伝費もないよ」
みたいな、責任の押し付け合いみたいになりえる。スポーツなのに。選手たちのパフォーマンスは素晴らしいのに。

一定数のコアファンはいる。一方で、「観に行きたいけど、興味はあるけど、いつどこで、試合をやっているか分からない層」がめちゃくちゃ多くいるのではないか。各クラブ、各リーグ、各選手、SNSでの発信は頑張っている。SNSはコミュニティのファン、能動的に情報をとりに来てくれるファン、コアファンとのコミュニケーションやエンゲージメントには特に適している。しかし、能動的に情報は取りに来ないけど、興味がある、観てみたい層へのリーチには、弱いかもしれない。

地上波テレビ局のスポーツ番組のディレクター、プロデューサーへのおねがい

特に全国キー局のディレクター・プロデューサーへのおねがい。
”ニュース番組、その他の番組でリーグやクラブの試合や選手をとりあげる際、試合会場・試合日・対戦カード”の情報を必ず出して頂きたい”。できれば、チケット購入方法まで出して頂きたい。NHKでも。NHKは、特定のプラベートカンパニーに利する宣伝行為はしないかもしれないが、できれば、チケット購入ができるQRコードを、表示して頂きたい。
もちろん、時間的、画面上の制約はあるだろう。しかし、スポーツリーグの観客動員の課題は「興味はある、観てみたいが、いつ、どこで試合をしてるか分からない」人たちが沢山いる。
テレビ局側からしたら、なんでそこまでやる必要があるのか、試合の結果や映像は流してる。選手の取材もしてる、と感じるかもしれない。しかし、テレビ局、メディアには、「スポーツのインキュベーション機能」がある。歴史的にも、日本は、メディアが、スポーツコンテンツを育ててきた部分がある。テレビ朝日が世界水泳や水泳競技を、TBSが世界陸上や陸上競技を、日本テレビが箱根駅伝や巨人軍を・現在はラグビーやバスケットを、テレビ東京が卓球を、フジテレビがフィギュアを。スポーツコンテンツを育て、活性化することは、テレビ局にとってもコンテンツを育てることにもなる。もちろん、例えば、WeリーグはDAZNが主たる放映権社であり、地上波からすると、競争相手ん利することになるのでは、的なことを社内的に言う幹部もいるだろう。しかし、ニュース映像を流し、選手を取材するコンテンツとして、公共性もある地上波に、是非、”ニュース番組、その他の番組でリーグやクラブの試合や選手をとりあげる際、試合会場・試合日・対戦カード”の情報を必ず出して頂きたい”。
・NHK:サンデースポーツ、サタデースポーツ、ニュース9
・TBS:S1、ニュース23
・日本テレビ:GO-ING、ニュースZERO
・フジテレビ:S-PRAK、LIVE NEWS α
・テレビ朝日:報道ステーション
・テレビ東京:スポーツウオッチャー

地方のテレビ局は、積極的に「放映・サブライセンス」を

クラブパートナーのアクティベーションの機会醸成にも

先日、熊本に出張して、ロアッソ熊本の試合を観戦し、ロアッソ熊本の職員といろいろ意見を交わした。ちょうど、昇格がかかった試合が続いていたので、NHK熊本放送局が、中継の準備をしていた。年間で数試合、それも、今回は昇格の可能性があるので、中継をしている、という。また、旭川にヴォレアス北海道の試合を、苫小牧にレッドイーグルス北海道を、長崎にB3・長崎ヴェルカを、新潟にアルビBBを、それぞれ観に行き、クラブ関係者といろいろと話した。各地域では、例えば北海道では、北海道日本ハムなども含めて、地元のプロスポーツ情報番組がある。仙台でも、広島でも、京都でも、福岡でも、名古屋でも、地元チーム・クラブ応援番組がある。地元の夕方ニュース枠でも、地元チームを取り上げる。素晴らしい。長崎などは、B3の新設チームの長崎ヴェルカも、毎週のレギュラー番組もある。すごい。試合の中継番組もあった。アイスホッケーのレッドイーグルス北海道は、地元のケーブルテレビが中継し、番組制作もして、それを、全国にはYOUTUBE配信している。
各地で「応援番組」は結構ある。(もちろんそれもないところもある)。しかし、もっともっと毎週レベルで、「ローカルで試合中継」をして頂きたい。バレーボールも、バスケットも。放映権自体は、リーグや、ソフトバンクやDAZN側が一旦は独占権を持っていると思う。しかし、「サブライセンス(二次使用)」は可能である。地域のスポーツコンテンツを育てる=インキュベーション機能を、地域メディアは持っている。逆の視点で、地域メディアはスポーツコンテンツを育てないと、番組のコンテンツが減ってします。「ローカルで試合中継」が増えれば、観客動員増にもつながり、パートナー企業・スポンサー企業への価値提供も増える。地元のファンも、試合会場で見ることと、テレビでライブで試合が観れるのは、本当に嬉しいと思う。スポーツ中継の採算を取るには、民放の場合は、TVCM枠をセールスしなければならない。そこで、逆に、クラブパートナーのCM・スポンサーアクティベーションの機会にするのだ。旭川での、ヴォレアス北海道は、試合会場で、選手を起用した、スポンサーのコマーシャル映像を流していた。素晴らしい。例えば、それを、テレビ中継のTVCM枠でも流すのだ。地方のテレビ局は、積極的にサブライセンスを。

*私のTwitterのフォロワーや、FACEBOOKのフレンドには、地上波キー局全局のプロデューサーやディレクターもいます。「直接言えばいいじゃん」とか「メッセージだけだと動かない。ガバナンスや制度設計やインセンティブプランが大事だ」とか評論されるパターンも想定しています。キー局や地域メディアの方達にも届くように書いています。しかし、3年後に変わるであろう制度設計とか、アスリートや職員は待っていられないし、リブランディングや制度改革しても、リーグの観客が増える、放映権料が上がる、黒字になる、のようなバラ色のリーグにはなりません。制度改革をしつつ、成長するには、それぞれの立場で、努力をしていくこと。


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