図1

【サッカー観戦初心者向け】今からでも天皇杯を楽しく観られるように、準決勝に残ったチームを解説してみた

こんにちは!SpoLive編集部の成田です。

12/21(土)からサッカーの天皇杯準決勝が始まりますね!準決勝に残ったチームのファンじゃないけど、なんとなく天皇杯に興味を持っている方向けに、ベスト4まで勝ち残ったチームの戦術と注目選手をざっくり解説しています!

✂-----✂-----✂-----
ミニコーナー 天皇杯を知らない方への解説!

天皇杯とは、日本サッカー界における3大カップの1つです。(あと2つは、J1リーグとルヴァンカップ)

ちなみに、今回が第99回大会と長い歴史のある大会です!優勝したクラブはAFCチャンピオンズリーグ(アジアのチャンピオンクラブを決める大会)への出場権利が与えられます。

他のカップとの大きな違いはアマチュアチームも参加資格があること!出場資格を持っているのは、J1,J2の全てのチームと、各大会で成績を残したアマチュアチーム(学生チームを含む)です。ちなみに、過去最多優勝のチームは、なんと慶應義塾大学(9回優勝)!

大学の学生チームが最多優勝していることは、サッカーに詳しい人の中でもあまり知られていないので、教えてあげましょう!

解説終わり!

✂-----✂-----✂-----

日本代表を知る手倉森監督率いるV・ファーレン長崎

ベスト4まで勝ち上がった中で唯一のJ2チームの長崎。U-23日本代表監督や日本代表コーチを務めた手倉森誠監督が指揮しています。

チームの戦術は、非常にシンプル。最もベーシックなフォーメーションとされている4-4-2【DF(ディフェンス)4、MF(ミッドフィルダー)4、FW(フォワード)2】を採用しています。特別なフォーメーションやシステムは使わない分、それぞれの役割が明確で、個々の能力が発揮されやすいチームと言えます。

また、長崎は流動的なボール運びから生まれる連携よりも、ピンポイントで個々の能力が発揮されるセットプレーを得意としています。今シーズンの総得点のうち24.6%がセットプレーからの得点でした。

手倉森監督は、戦術家というよりも教育者に近い考えを持っていて、戦術面よりも選手それぞれのメンタル面を伸ばすことに時間をかけています。そのため、トリッキーな戦術を用いるのではなく、個々のプレーが最大限活かされる戦術が採用されているのです。

長崎の注目選手は、呉屋大翔。絶妙なポジショニングで、こぼれ球に反応してゴールを決めるストライカーです。

今シーズンの得点総数はJ2リーグ3位の22得点!
この動画でも、こぼれ球拾いすぎ!!(褒めてる)

元々、FWとしての素質は優れていたのですが、今年長崎に移籍するまでは、デビューからの3年間で通算10ゴールと芽が出ていませんでした。ですが、手倉森監督の指導を受けていく中で、ポテンシャルを発揮できるようになり、いまや長崎を代表するストライカーとなりました。

優勝候補筆頭!ジーコの遺伝子を受け継ぐ鹿島アントラーズ

12/21(土)の準決勝で長崎と対戦する鹿島。国内タイトル19冠、昨年悲願のAFCチャンピオンズリーグで優勝。国内最強と称されるチームです。

率いるのは、大岩剛監督。選手時代も鹿島でプレーしており、鹿島の伝統を知る監督です。監督に着任してから公式戦通算141試合を指揮し、77勝32分32敗と驚異の数字を叩き出しています。それにも関わらず、今年は重要な試合を勝ちきれなかったため、無冠の状態。タイトルを獲得できなかった責任をとって、今季限りの退任を表明しています。

鹿島はブラジルの伝説的プレーヤー、ジーコが現役最後にプレーしたチームです。引退後も、ジーコはテクニカルディレクターとして草創期を支え、ブラジル人の監督や選手を招集することで、鹿島におけるブラジルサッカーの礎を築きました。

ジーコの遺伝子を受け継ぐ鹿島の基本フォーメーションは、長崎と同じく4-4-2。「個々の役割が明確で、プレーにも自由度がある」というブラジルの伝統的なスタイルが踏襲されています。そして、鹿島といえばJリーグ随一の試合巧者。鹿島が勝っている試合の終盤は、鹿島のFWが前線でボールをキープし続け、試合終了まで相手にボールを渡しません。このプレーはJリーグファンから「鹿島る」と呼ばれるほど、Jリーグで浸透しています。

これが、鹿島るだ!

鹿島の注目選手は、今シーズン鹿島で輝きを見せ続けた選手がブラジル人MFのセルジーニョ。鹿島に移籍するまでは、ブラジルでプレーしていたため、鹿島の戦術にもフィットしています。

今シーズンの得点総数12のうち左足6、右足6と、両足ともにゴールを狙える器用な選手です。また、ミドルシュートを得意としており、角度のないポジションからでもシュートを放つことができます。

ボールを低くコントロールしたミドルシュート!

このセルジーニョもまた、ジーコがブラジルから連れてきた選手です。守備にも献身的に参加しており、24歳という年齢ながら、鹿島の中心選手となっています。

「戦術 = ドウグラス」爆発力の清水エスパルス

清水は今季で退任が決まっている篠田善之監督が率いています。今シーズンのリーグ成績ははJ1最多の69失点という結果になりました。

この結果だけを見ると、守備に粗があるように見えますが、清水が劣勢の場面で積極的に得点を取りに行った際にカウンターを受けての失点が多く、実際はそれほど守備に弱点があるチームではありません。

フォーメーションは4-2-3-1【DF4、守備的MF2、MF3、FW1】を採用しています。このフォーメーションで、何より重要なポジションがワントップのFW。FWが1人であるため、相手DFのマークを集中的に受けやすいのですが、それを苦にしないフィジカルとテクニックの両方を兼ね備えている必要があります。

そして、清水エスパルスの注目選手であり、このワントップを務めているのが、ドウグラス選手。フィジカルとテクニックはもちろん、今シーズン14得点を挙げた決定力の持ち主で、チームの要です。

2019年11・12月度のJ1月間ベストゴールに選ばれたドウグラスのシュート

清水のサポーターの中で生まれたパワーワード
「戦術ドウグラス」

怪物級ストライカーのドウグラスに加えて、清水にはスルーパスやロングボールパスができるMF陣が揃っているため、自陣まで攻め込まれても、一気に形勢を逆転する爆発的なカウンターを展開できます。

一方で、ドウグラスは、今シーズンは怪我や持病の不整脈のため、思うようにプレーできなかったことも多々有りました。天皇杯に向けて彼がどれだけコンディションを合わせられているのかが、明暗を分けるでしょう。

高レベルのポゼッションサッカーを可能にするヴィッセル神戸

準決勝で清水と対峙する神戸。ドイツ人指揮官のトルステン・フィンクを監督に据えています。神戸の特徴はボールをキープし続けながらチャンスを構築するポゼッションサッカーです。

ちなみに、世界で最も有名なチームであるFCバルセロナもかつてポゼッションサッカーを採用していました。そして、その時代のバルセロナの中心選手あったイニエスタが今の神戸にいます。さらにパスを受けるのは、ビジャ、ポドルスキといった世界レベルのストライカー。神戸半端ないって!!

また、フォーメーションは固定せず、相手によって陣形を変えるというスタイルも神戸の特徴です。ただ、どのフォーメーションになっても中心にいるのはイニエスタ。ここだけは変わりません。イニエスタのパスを起点に、チャンスを構築しています。

神戸のチャンス構築力の高さはデータからでも読み取れます。今シーズンの神戸の枠内シュート数は一試合平均5.3回とJ1で最も高い数字を叩き出しています。さらに、平均ボール支配率は57.9%で2位。多くの試合で有利な試合を展開できています。

どこまでフィールドが見えてるんだ!イニエスタ!
と思わされるピンポイントの超ロングパス

一方で、神戸にも弱点があります。それは今シーズンのJ1リーグワースト2を記録した一試合あたりの選手の走行距離です。招集されたレジェンドプレーヤーたちは全員が30代中盤~後半で、90分間スタミナを保ち続けることが難しい年齢です。

とくに、攻めの起点となるイニエスタは、休むことなく動き続け、パスを出し続けなければいけない役割を担っています。相手チームとしては、イニエスタにプレスをかけ続けることで、その選手のスタミナを削るという単純かつ効果的な対策を打つことができます。天皇杯においても、イニエスタ対策を対戦相手は講じてくると考えられるので、それに対して神戸のフィンク監督がどのようなアクションをしていくのかも見どころです!

ということで!!

今回の天皇杯のベスト4まで勝ち残ったチームを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。いい感じに個性が強いチームが残った印象です。ちなみに、決勝は完成したばかりの新しい国立競技場で行われます!(心の声:行きてぇ~!!)

SpoLiveでも、天皇杯の試合を中継する予定なので、ぜひぜひ使ってみてください!

それでは!