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Jリーグ誕生31年目の夜、Eピース広島で鹿島アントラーズに3発もボコられながら…記憶を巻き戻し、広島的”外偉人イレブン”をわがままに選出してみた⚽️外偉人レコード①


《満員御礼》の紫の千社札が掲げられ、鹿島アントラーズをEピース広島に迎え討った水曜日のナイトマッチ。平日の夜にサンフレッチェのホームゲームが全席完売するのは、1994年以来、実に30年振りの盛況である。

 木村和司がラモン・ディアスが、三浦知良がラモス瑠偉が、国立競技場のピッチを躍動し、ヴェルディのFWヘニー・マイヤーの右足鋭く振り抜いた豪快なミドルの弾道は、すかさず宙に舞ったマリノスの守護神・松永成立のセーブ遥か及ばぬ軌跡を描いて、鮮烈にゴールネットを揺らした。Jリーグの歴史に幕を開けたあの晩の、あの一蹴の、あの時メキから、既に31年の歳月が流れたと云う。

 しかし何と云っても、ブラジルの神様・ジーコが鹿島アントラーズのユニフォームを身に纏い、我が国のプロリーグのキックオフに降臨した事実こそが、Jリーグの歴史を振り返る時、今以ってして最大の衝撃であったと感じている。ピカピカのEピース広島で、その神様の置き土産・鹿島アントラーズと相まみえる幸せなJリーグ31歳のバースデーナイト。勝っても負けても相手に不足無いではないか。

きゃ〜〜ジーコ様の直筆サイン入り!きゃ〜〜

 案の定、試合は序盤から守備がバタついて、矢継ぎ早に呆気なく2失点を喫する。《矢継ぎ早》と云うワードは《三本の矢を意味する》サンフレッチェの為の常套句かと思いきや、後半からピッチに投入されたMFマルコス・ジュニオールが一矢報いたものの、その後、鹿島のFWチャブリッチに駄目押しのゴールを許し、結局、三本の矢は逆にアントラーズによって、守護神・大迫敬介の立ちはだかる広島のゴールに向かって放たれ、三たび割られた。やがて、鹿角でズタボロに突き崩されたような無惨な闘いに”GAME OVER”を告げるホイッスルが、広島の夜風に吹かれた。

 負傷者の傷も癒えて、前節・名古屋グランパス戰三失点の二の舞など喰らうわけがないと踏んでいたアニバーサリーなのに、純国産のスタメンは、なんだかジタバタしていて、妙に脆かった。足りない矢を互いにピッチに求め合う様な、なんとなくぎこちない紫の十駒は、照明灯に映えた天然芝のピッチを右往左往さまようばかり。そんなギクシャクした焦れったいフローを、紫一色に萌え上がるサポーターズシートから、私は俯瞰していた。

鹿島のFWチャブリッチが三点目のゴールを決め、歓声と溜息がこだまするEDION PEACE WING HIROSHIMA

 サンフレッチェの三本の矢を屈強に束ねて来た31年の歴史には、いや更に時空を遡り、JFLのマツダS.C時代まで、その根を深掘ってみても、広島の蹴球史には絶えず、外国人プレイヤー・指導者の経験と献身が息づいてきた。ミヒャエル・スキッべ監督が、この晩送り出した純国産イレブンのピッチに不足していたものは、海の向こうからもたらされるイマジネーションを、兵に臆すること無く悠々と自適に体現できるファンタジスタの存在であった。せめて、その欠落していた何かを、M・ジュニオールは一発回答で示してみせたわけである。

勝ち点3を信じて萌え上がるパープルに染まった広島サイドのサポーターズシート

 と偉そうに書いたものの、私は人生の多分な時間を海の外で過ごしてきた身であり、その間隙を縫うように広島の街に暮らし、サンフレに熱狂できた時間は、果たしてそれほど長くない。故に、私独断の外偉人イレブンは大いに偏っている、笑。けれど、去る水曜日の晩、アントラーズに3発もボコられながら、遠き国より異国・広島の地に赴き、マツダやサンフレッチェのユニフォームに袖を通し、広島を代表して闘ってくれた偉大な外様戦士達の心地よい記憶を巻き戻し、夜な夜な想いを馳せていた。

盧廷潤(Sports Graphic Number 343号より)

 『あの場面、盧廷潤の快速で切り裂いてくれれば、、チェルニー✖︎ハシェックの連繋があれば崩せたかも、、ミキッチだったら勝負した場面なのに、、ウタちゃんならキメてたじゃろ〜〜に..,hmmm...』などなど、夜のピースウイングを吹抜ける涼風に癒されながら、我が空想は、どこまでも身勝手に膨らんだ。そんな、わがままに選び抜いた広島的外偉人イレブン。無論、コリカさんやパトリックさんetc...オフト監督(マツダS.C)やミシャ(ペドロビッチ)監督に授かった御恩も忘れたわけでは御座いませんのでm(_ _)m

Ivan Hasěk(Sports Graphic Number343号より)

FW
ピーター・ウタカ(ナイジェリア)
ウェズレイ(ブラジル)
MF
イヴァン・ハシェック(チェコ)
パヴェル・チェルニー(チェコ)
盧廷潤(韓国)
セザール・サンパイオ(ブラジル)
ミハエル・ミキッチ(クロアチア)
DF
トニー・ポポヴィッチ(オーストラリア)
リカルド(ブラジル)
イリアン・ストヤノフ(ブルガリア)
GK
ディド・ハーフナー(オランダ)※マツダS.C
【3-5-2】
監督
スチュアート・バクスター(イングランド)

祖国クロアチアの首都ザグレブ市内で奥様とカフェを営むミカ(ミキッチ)を訪ねた昨夏。評判通り、ケーキがめちゃくちゃ美味しかったですぞ!



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